【法律別】民泊が可能な用途地域とは?注意すべき例外や調べ方も解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
【法律別】民泊が可能な用途地域とは?注意すべき例外や調べ方も解説!
2025-12-04

用途地域は、計画的な市街地を形成するために、用途に応じて13地域に分けられたエリアです。民泊運営の可否を左右する重要な要素ですが、法律ごとに運営可能な用途地域が異なります。
こうした事情を踏まえ、本記事では、用途地域の定義について説明した後、法律別に民泊が可能な用途地域について解説します。民泊に関する用途地域の例外や、民泊を始める際の用途地域の調べ方についても解説するため、参考にしてください。

用途地域は、住居や商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めた都市計画法のルールで、13種類あります。用途地域が指定されると、それぞれの目的に応じて、建てられる建物の種類が決められます。
たとえば、低層住宅のための第一種低層住居専用地域では、小規模なお店や事務所を兼ねた住宅、小中学校などを建築することが可能です。第一種低層住居専用地域を含めた用途地域の種類と目的・用途地域の要旨は、次のとおりです。
| 用途地域の種類 | 目的・用途規制の要旨 | |
|---|---|---|
| 1 | 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅のための地域で、原則として、住居を兼ねた小規模な店舗や、小中学校、診療所など以外は、高さが10メートルまたは12メートルを超えない低層住居しか建築できない。 |
| 2 | 第二種低層住居専用地域 | 主に低層住宅のための地域で、小中学校などのほか、2階建て以下で延べ床面積が150㎡以下の小規模な店舗であれば、小売店や飲食店の建設も認められている。 |
| 3 | 第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅のための地域で、病院や大学、500㎡までの店舗などが建てられる。 |
| 4 | 第二種中高層住居専用地域 | 主に中高層住宅のための地域で、病院や大学などのほか、1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられる。 |
| 5 | 第一種住居地域 | 住居の環境を守るための地域で、3,000㎡までの店舗や事務所、ホテルなどが建てられる。ただし、パチンコ店などの建設は禁止されている。 |
| 6 | 第二種住居地域 | 主に住居の環境を守るための地域で、店舗や事務所、ホテル、カラオケボックスなどが建てられます。 |
| 7 | 準住居地域 | 道路の沿道で、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。店舗・事務所の建築は自由に認められていますが、性的興味をそそるような施設の建設は禁止されています。 |
| 8 | 田園住居地域 | 農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域です。住宅に加え、農産物の直売所などが建てられます。 |
| 9 | 近隣商業地域 | 周囲の住民が日用品の買い物などをするための地域です。住宅や店舗のほかに、小規模の工場も建てられますが、キャバレーなどの娯楽施設の建築は許されません。 |
| 10 | 商業地域 | 主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域です。たいていの建築物は建てられますが、環境を悪化させるおそれがある工場や、作業場で延べ床面積が150㎡を超える工場の建設は許されません。 |
| 11 | 準工業地域 | 主に軽工場の工場やサービス施設などが立地する地域です。危険性、環境悪化が大きい工場を除いて、多くの建物が建てられます。 |
| 12 | 工業地域 | 主に工業の発展を図るために指定される地域です。住宅やお店は建てられますが、学校や病院、ホテルなどは建てられません。 |
| 13 | 工業専用地域 | 工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅やお店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。 |

民泊は法律別に次の3種類があります。
- 旅館業法に基づく民泊
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊
- 特区民泊に基づく民泊
ここからは、民泊が可能な用途地域について、上記3種類ごとに解説します。ぜひ参考にしてください。
なお、民泊の始め方については、下記記事で解説しています。あわせてご参照ください。
旅館業法に基づく民泊
旅館業法に基づく民泊は、次の用途地域で営業できます。
◯:営業可 ×:営業不可
| 用途地域の種類 | 旅館業法 | |
|---|---|---|
| 1 | 第一種低層住居専用地域 | × |
| 2 | 第二種低層住居専用地域 | × |
| 3 | 第一種中高層住居専用地域 | × |
| 4 | 第二種中高層住居専用地域 | × |
| 5 | 第一種住居地域 | ◯ |
| 6 | 第二種住居地域 | ◯ |
| 7 | 準住居地域 | ◯ |
| 8 | 田園住居地域 | × |
| 9 | 近隣商業地域 | ◯ |
| 10 | 商業地域 | ◯ |
| 11 | 準工業地域 | ◯ |
| 12 | 工業地域 | × |
| 13 | 工業専用地域 | × |
旅館業法に基づく民泊は「簡易宿所営業」と呼ばれます。簡易宿所は、客室を多人数で共用する宿泊施設で、カプセルホテルや山小屋など、1つの客室を多人数で共用する施設が簡易宿所に該当します。
簡易宿所は、13種類ある用途地域のうち、住居専用地域で営業できないのが特徴です。営業できるのは、「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」に限られます。
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊
住宅宿泊事業法に基づく民泊は、次の用途地域で営業できます。
◯:営業可 ×:営業不可
| 用途地域の種類 | 民泊新法 | |
|---|---|---|
| 1 | 第一種低層住居専用地域 | ◯ |
| 2 | 第二種低層住居専用地域 | ◯ |
| 3 | 第一種中高層住居専用地域 | ◯ |
| 4 | 第二種中高層住居専用地域 | ◯ |
| 5 | 第一種住居地域 | ◯ |
| 6 | 第二種住居地域 | ◯ |
| 7 | 準住居地域 | ◯ |
| 8 | 田園住居地域 | ◯ |
| 9 | 近隣商業地域 | ◯ |
| 10 | 商業地域 | ◯ |
| 11 | 準工業地域 | ◯ |
| 12 | 工業地域 | ◯ |
| 13 | 工業専用地域 | × |
住宅宿泊事業法は、年間180日を超えない範囲で、民間の住宅で宿泊料を受けて人を宿泊させる民泊(住宅宿泊事業)の規制を目的とした法律です。この法律に基づく民泊は住宅を建てられる用途地域内であればどこでも営業が可能で、工業専用地域を除く12種類の用途地域で営業できます。
住宅宿泊事業法に基づく民泊は、旅館業法の民泊ではできなかった「住居専用地域」でも営業できるのが特徴です。ただし、建物の用途が住宅等であることが条件となっています。住宅の対象となる物件は次のとおりです。
- 住宅
- 共同住宅
- 寄宿舎
- 長屋
特区民泊に基づく民泊
特区民泊は、正式名称を「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」といい、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊を指します。通常の民泊と違い、365日営業が可能なことから、安定した収益の確保が期待できるのが特徴です。
特区民泊は、旅館業法に基づく民泊ができる用途地域に加えて、住居専用地域での営業も可能です。自治体によっては、営業可能地域を制限している場合があるため、よく確認する必要があります。
2025年7月31日時点では、首都圏や関西圏を中心とした8つの自治体が、特区民泊の取り組みを進めています。
| 自治体 | 実績 |
| 東京都大田区 | 認定:343施設803居室280事業者(うち個人107人) |
| 千葉市 | 認定:1施設1居室1事業者(うち個人1人) |
| 新潟市 | 認定:3施設3居室3事業者(うち個人2人) |
| 北九州市 | 認定:3施設5居室3事業者(うち個人2人) |
| 大阪府 | 認定:38施設68居室38事業者(うち個人8人) |
| 大阪市 | 認定:6,696施設1万8,476居室3,725事業者(うち個人1,362人) |
| 八尾市 | 認定:5施設6居室5事業者(うち個人1人) |
| 寝屋川市 | 認定:2施設2居室2事業者(うち個人1人) |
用途地域だけ見れば民泊の営業が可能でも、民泊の営業ができない場合があります。
たとえば、特別用途地区に該当する地域や、自治体条例で規制される地域は、民泊の運営が制限されるケースが少なくありません。
そこでここからは、用途地域の例外として、「特別用途地区」と「自治体条例」について解説します。ぜひ参考にしてください。
特別用途地区
特別用途地区は、都市計画法に基づいて定められた13種類の用途地域に重ねて指定される制度です。既存の用途地域の制限ルールでは制限が不十分な場合、地方自治体は独自の条例に基づいて、特別用途地区を指定し、建築基準法の用途制限を強化または緩和することができます。
ある地域が特別用途地域に指定されている場合、通常民泊が可能な地域でも民泊の営業が不可になる可能性があります。反対に通常では民泊の営業が困難な用途地域でも、「娯楽・レクリエーション地区」といった特別用途地域であれば、民泊の営業が認められる場合があります。
1998年に改正都市計画法が施行されるまで、特別用途地区の種類は11種類に限定されていました。しかし、現在は市区町村が、自由な裁量のもとで、特別用途地区の種類や目的を柔軟に設定できます。こうした事情を踏まえ、民泊を始める際は、市区町村が民泊の候補地に特別用途地区を指定していないか確認しましょう。
自治体条例
条例は、地方自治体の議会の議決によって制定される法規です。用途地域では民泊の営業が可能でも、条例によって営業区域や営業時間が制限される場合があります。
たとえば、東京都新宿区は、月曜日の正午から金曜日の正午まで、住居専用地域で事業の実施を制限する条例を設けています。条例に基づく事業の実施制限の趣旨としては、「生活環境の悪化を防止するため」としています。
民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例については、観光庁の資料で公開されています。ただし、公表時期が2021年と古いため、最新情報については、民泊制度ポータルサイトの「各自治体の窓口案内(条例等の状況等)」から確認するか、直接問い合わせるとよいでしょう。

民泊を始める際の用途地域の調べ方には、次の3つがあります。
- 用途地域マップ
- 自治体が公開している都市計画図
- 自治体窓口への問い合わせ
どの方法も難しくないため、ぜひ試してください。
用途地域マップ

用途地域マップは、全国の市町村ごとの用途地域を色分けで表示してくれるウェブサイトです。メタウェアリサーチ有限会社が運営しています。
用途地域マップの使い方は都道府県を選択した後、自治体を選ぶだけです。自治体を選択すると、色分けされて用途地域が表示されます。
用途地域マップは用途地域を把握するうえで便利ですが、選択する自治体によっては情報が古い場合があります。また一部の市区町村については、用途地域データが公開されていないか、存在しない点に注意が必要です。
自治体が公開している都市計画図

自治体の都市計画図は、決定された都市計画を表示した図です。都市計画情報のみならず、用途地域もあわせて確認できます。「◯◯市 都市計画情報」とネットで検索することで、閲覧可能です。
また都市計画図は、株式会社テクノアートが運営する「全国都市計画図検索」からもアクセス可能です。すべての自治体の都市計画図が公開されているわけではありませんが、キーワード検索で、アクセスできない場合は、上記サイトを活用しましょう。
自治体窓口への問い合わせ
用途地域の最新情報を把握した場合は、自治体窓口に問い合わせると良いでしょう。
この方法では、ネット上では得られない最新情報について自治体の担当者から直接話を聞くことが可能です。ただ、アポイントなしで訪問すると迷惑がかかるため、担当課の連絡先と所在地を調べたうえで事前にアポイントを取りましょう。

民泊ができる用途地域がわからない場合の対処法には、次の2つがあります。
- 行政の担当者に相談する
- 行政書士に相談する
いずれも実際に実践するうえでは難しくないため、ぜひ参考にしてください。
行政の担当者に相談する
民泊ができる用途地域や条例がわからない場合は、行政の担当者に相談することをおすすめします。行政の担当者に相談すれば、用途地域や条例などについてその場で教えてもらえるでしょう。
行政の担当者に相談する方法は、特に自治体が用途地域を公開していない場合に有効です。自治体が用途地域の情報を公開していなければ、行政の担当者から直接得る情報が、最大の情報源になるでしょう。
行政書士に相談する
用途地域や条例がわからない場合は、行政書士に相談するのも一つの手です。民泊に詳しい行政書士であれば、用途地域や条例などの情報に限らず、民泊運営や届出全般に関する情報も提供してくれるでしょう。
行政組織は縦型に細分化されており、用途地域に精通した行政職員が民泊に詳しいとは限りません。逆もまたしかりです。そのため、民泊ができる用途地域がわからない場合は、横断的な知識を持つ行政書士に相談するとよいでしょう。
民泊ができる用途地域は、基礎となる法律によって異なります。そのため、民泊の運営を検討されている方は、事前にどの法律に基づく民泊を展開する予定なのかを決めておく必要があるでしょう。
そのうえで、開業する土地の用途地域を正確に把握することが大切です。用途地域を把握せずに民泊運営の準備を進めると、民泊を開業できないリスクがあります。
このようなリスクを踏まえ、民泊の開業する候補地を決定している場合は、候補地の用途地域を把握することが大切です。用途地域に対する正確な理解が、民泊の実現を後押ししてくれるでしょう。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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