不動産情報ライブラリとは?特徴や使い方、主な利用シーンも解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産情報ライブラリとは?特徴や使い方、主な利用シーンも解説!
2025-09-05

国土交通省が提供・運営する「不動産情報ライブラリ」は、不動産に関する公的情報を集約したウェブサイトです。不動産投資家が知りたい価格情報や防災情報、周辺施設情報など、不動産関連情報が一目で見えるよう設計されており、多くの不動産投資の現場で活用されています。
本記事では、そんな不動産情報ライブラリの概要や特徴、使い方について解説します。主な利用シーンや活用する際の注意点について解説するため、参考にしてください。

不動産情報ライブラリ(以下ライブラリ)は、不動産に関するオープンデータを利用者のニーズに応じて地図上に表示するウェブGISシステムです。国土交通省が円滑な不動産取引を促進するため、2024年4月1日に運用を開始しました。
ライブラリに実装されるGIS(地理情報システム)は、位置に関するさまざまなデータを電子的な地図上で扱う情報システム技術のことです。位置に関する複数のデータを地図上で重ね合わせ、視覚的にわかりやすい形で表示できるといった特徴があります。
ライブラリでは、オープンデータを活用し、価格や周辺施設など、不動産取引の際に参考となる情報を重ね合わせて表示させることが可能です。
たとえば、収益物件を取り巻くリスクやメリットを把握するために、洪水浸水想定区域と小学校区や学校、医療機関といった周辺施設情報を重ねたうえで、住宅地の地価に関する情報を地図上に表示するといった活用ができます。

不動産情報ライブラリが構築された背景

ライブラリが構築されたのは、消費者が不動産の取引価格情報や地価公示、公共施設の立地状況といった情報を一元的に把握するのが難しいという背景があったためです。
実際、不動産取引時に参考にされる価格情報では、不動産の取引価格情報は国土交通省や全国指定流通機構連絡協議会、地価は国土交通省や自治体がそれぞれ公開。価格以外の情報では、周辺の公共施設の立地状況・学区情報は地方自治体、ハザードマップをはじめとする災害関連情報は国土地理院が取り扱っています。
このように官公庁がさまざまな形式で情報を公開していることから、不動産取引に関する情報を取得するコストが大きいという実情があったのです。
こうした実情を踏まえ、国土交通省は情報探索コストを削減するとともに、2024年3月まで使われた同省による不動産取引の情報サイト「土地総合情報システム」の後継として、ライブラリを制作しました。
不動産情報ライブラリに掲載されている情報
ライブラリに掲載されている情報は、次の6つに分かれます。
①価格情報 | 地価公示、都道府県地価調査、取引価格情報、成約価格情報 |
---|---|
②地形情報 | 大規模盛土造成地、土地条件図、陰影起状図 |
③防災情報 | 洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域、津波浸水想定区域、高潮浸水想定区域、地すべり防止地区、急傾斜地崩壊危険区域、災害危険区域、指定緊急避難場所、地形区分に基づく液状化の発生傾向図 |
④周辺施設情報 | 市区町村の役場をはじめとした公共施設、小中学校及びその学区、幼稚園・保育園、医療機関など |
⑤都市計画情報 | 都市計画区域、用途地域、防火・準防火地域、立地適正化計画、地区計画、高度利用地区 |
⑥人口情報 | 国勢調査に基づく世代別人口および2070年までの将来人口推計(250mメッシュ)、駅ごとの1日あたり乗降客数 |
これらの情報は周辺情報の上に防災情報、さらにその上に価格情報といった形で地図上に重ね合わせることが可能です。複数テーマの情報を重ね合わせて視覚化することで、利用者は地図情報を立体的に理解できます。
不動産情報ライブラリの利用状況

ライブラリは2024年4月の運用開始後、毎月100万以上のページビューがあり、2025年5月には累計ページビューが2,000万を突破しました。
ライブラリに掲載されるコンテンツ情報を取得できるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の利用申請者件数は2025年6月更新時点で、3,096者です。利用申請者のうち、個人は2,037者(全体の66%)、法人は1,059社(同34%)となっています。
地図画面表示状況については、価格情報の閲覧が半数以上を占め、次いで防災、都市計画、周辺施設の順になっています。また、2024年度のAPIリクエスト状況については、市区町村コードに次いで、価格情報のリクエストが多いという結果になりました。


不動産情報ライブラリには、次の3つの特徴があります。
- スマートフォンから簡単に利用できる
- 地図上で複数の情報を一括表示できる
- 不動産関連情報を無料で閲覧できる
これらの特徴を把握すれば、スムーズにライブラリを利用できます。ぜひ参考にしてください。
スマートフォンから簡単に利用できる
ライブラリは、スマートフォンから簡単に利用できます。わざわざパソコンを立ち上げる必要がない分、移動中や移動先でも容易に情報をチェック可能です。
このような情報へのアクセス性が良さは、収益物件を探す際に有利に働くでしょう。たとえば、収益物件の内覧に訪れた場合は複数回タップするだけで、現地で物件周辺の価格情報や防災情報などを同時に取得可能です。
また、ライブラリがモバイル端末用に表示を最適化したモバイルフレンドリーとなっており、操作画面がシンプルで使いやすいのが特徴です。たとえば、トップ画面には用途別に「地図表示」や「地域検索」といったリンクが用意されており、Webに不慣れな方でもスムーズに操作できます。
地図上で複数の情報を一括表示できる
ライブラリは、地図上に複数の情報を一括表示できる機能が実装されています。この機能により、価格情報や地形情報、防災情報、周辺施設情報などを同時に比較できるため、一つのエリアを総合的に評価することが可能です。
また、ライブラリでは、地図の左下方に実際の距離を示したスケールバーが表示されています。スケールバーを使えば、最寄り駅までの距離を確認しつつ、周辺施設情報や防災情報が把握できるため、不動産投資の投資判断を左右する立地についても容易に分析できるでしょう。
不動産関連情報を無料で閲覧できる
ライブラリでは、詳細な不動産関連情報を無料で閲覧できます。これは、不動産取引データを有料で提供するサイトが多いなか、大きなメリットといえるでしょう。
実際、売買土地のみならず、賃貸の成約価格や平均面積といったデータも提供される「REINS(レインズ)」は国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営していながら、有料です。当然のことながら、過去の取引事例を閲覧できる「不動産データクラウド」や、物件調査に必要な情報を入手できる「不動産データプロ」などの民間サービスも有料となっています。
この点、詳細な不動産関連を無料で閲覧できるライブラリは、コストをかけずに情報収集できる点で、不動産投資家の心強い味方といえるでしょう。
また、国土交通省はライブラリの情報を無償でAPI公開しており、民間事業者はデータ連携を通じて自社システムを拡張させることが可能です。

ここからは、不動産情報ライブラリの使い方について、次の5つの方法に分けて解説します。
- 土地の価格を調べる方法
- ハザードマップを確認する方法
- 近隣の学校・病院・公園を調べる方法
- 土地計画情報を調べる方法
- 周辺人口・将来推計人口を調べる方法
それぞれの使い方は難しくないため、ぜひ参考にしてください。
土地の価格を調べる方法
土地の価格を調べる際は、任意のエリアを表示させた後、コンテンツ選択の「価格情報」から「国土交通省地価公示」か、「都道府県地価調査」をクリックします。

前者の地価公示を選ぶと、地図上に商業地と住宅地の地価公示情報が表示されます。詳しい地価公示情報を把握したい場合は「詳細表示」をクリックしてください。

詳細表示をクリックすると、過去の地価公示情報が表示されます。項目には対前年変動率も表示されているため、地価の伸び率を把握したい場合は参考にするとよいでしょう。

なお、土地価格を調べる際は条件設定から、住宅地や商業地といった用途区分、調査年を絞り込めます。
ハザードマップを確認する方法
ハザードマップを確認するためには、まず上部にある「防災情報」をクリックします。
すると、洪水浸水想定区域(想定最大規模)や土砂災害警戒区域など、9つの項目が表示されるため、調べたいハザードマップを選択してください。

たとえば、洪水浸水想定区域(想定最大規模)を選択すると、次のような図が表示され、凡例を開くと洪水浸水想定区域が確認できるようになります。

近隣の学校・病院・公園を調べる方法
近隣の学校・病院・公園を調べるためには、画面上部にある「周辺施設情報」をクリックします。
すると、保育園・幼稚園等や小学校区など、9つの項目が表示されるため、調べたい項目にチェックを入れたうえで決定をクリックしてください。

たとえば、小学校区と医療機関の病院、自然公園地域をクリックすると、次のような図が表示されます。

小学校区は青枠、病院は記号で表示されています。ただし、自然公園区域は表示されなかったため、当該マップ内になかった模様です。
都市計画情報を調べる方法
都市計画情報を調べるためには、まず上部にある「都市計画情報」をクリックしてください。
すると、都市計画区域や区域区分など、7つの項目が表示されるため、調べたい項目をチェックしたうえで決定をクリックしてください。

たとえば、都市計画区域と土地同士を集約し都市機能の向上を図る高度利用地区を選択すると、次のように表示されます。

都市計画区域は灰色の枠、高度利用地区はオレンジ色の枠で表示されています。高度利用地区はクリックすると、最終告示日と告示番号を確認することも可能です。
周辺人口・将来推計人口を確認する方法
周辺人口・将来推計人口を確認するためには、上部にある「人口情報等」をクリックします。
すると、国勢調査と将来推計人口250mメッシュ、駅別乗降客数が表示されるため、調べたい項目にチェックを入れたうえで決定をクリックしてください。

たとえば、将来推計人口250mメッシュと駅別乗降客数を選択すると、次のように表示されます。

さらに、メッシュをクリックすると対象年ごとの将来推計人口、駅舎にあたる青色の線をクリックすると年別の乗降客数が確認できます。


不動産投資での不動産情報ライブラリの主な利用シーンには、次の4つがあります。
- 価格トレンドを分析する
- 周辺情報を把握する
- 災害リスクを分析する
- 売却価格を予測する
利用シーンを把握することで、ライブラリの活用の幅が広がります。ぜひ参考にしてください。
価格トレンドを分析する
ライブラリでは、収益物件周辺の土地価格の状況やトレンドを分析できます。
たとえば、国土交通省地価公示では、地図上に表示された調査地点をクリックすることで、収益物件近くの最新の地価を把握可能です。さらに、調査地点の「詳細表示」をクリックすると、過去の地価情報も表示されるため、価格トレンドの把握や未来予測にも役に立つでしょう。
周辺情報を把握する
ライブラリでは、学校や図書館、病院といった周辺施設情報が調べられるため、収益物件の周辺情報を把握する際に便利です。
周辺情報のうち、保育園・幼稚園等や小学校といった教育機関までの距離は、入居者が子育てをしやすいかどうかの判断材料になります。また、医療機関までの距離は、入居者が通院しやすいかどうかを判断するうえで役に立つでしょう。
周辺情報は、GoogleマップやYahoo!マップなどで検索可能です。しかし、ライブラリでは、複数の周辺情報が視覚的にわかりやすい形で明示されるため、民間サービスと比べて情報探索コストが小さいといえるでしょう。
災害リスクを分析する
ライブラリでは、収益物件の災害リスクを調べるうえで有効です。調べられる災害リスクには、次のようなものがあります。
- 洪水浸水
- 土砂災害
- 津波浸水
- 高潮浸水
- 急傾斜地崩壊
- 地すべり
- 液状化の発生傾向
いずれも発生すれば、収益物件に大きな損害を与える可能性のある災害です。これらの災害の発生リスクを事前に把握することで、住環境が安全な収益物件を選べるでしょう。
また、ライブラリでは、洪水や地震など、激甚災害から逃げるための指定緊急避難場所の位置を把握可能です。指定緊急避難場所を把握することで、避難所に近い安全な場所を投資先として選ぶことができ、災害発生時の入居者の安全確保につながります。
売却価格を予測する
ライブラリでは、成約価格情報を把握できることから、売却価格の予測が可能です。
成約価格情報で把握できる情報は次のとおりです。
基本情報 | 種類、価格情報区分、取引総額、取引時期、今後の利用目的、都市計画区分 |
---|---|
最寄駅 | 名称、距離 |
土地 | 坪単価、面積、㎡単価、形状 |
建物 | 延床面積、建築年、構造、用途、建ぺい率、容積率 |
前面道路 | 幅員、種類、方位 |
これらの情報のうち、取引総額や最寄駅までの距離、建物の延床面積・建築年・構造といった情報は、購入予定の収益物件の売却価格を予測するうえで特に役に立ちます。収益物件の諸条件が過去に取引が成約した物件と近ければ、実際にいくらで売れそうかが推測できるためです。
実際の成約価格情報をもとにした売却価格の予想は、出口戦略を構築するうえで重要です。出口戦略をしっかりと構築できれば、不動産投資の成功率を高められるでしょう。
なお、不動産投資の出口戦略については、次の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。

不動産情報ライブラリを活用する際の注意点には、次の2つがあります。
- データが最新のものとは限らない
- 調べられない情報がある
これらの注意点に留意することで、ライブラリを現場で正しく活用できるようになります。ぜひ参考にしてください。
データが最新のものとは限らない
ライブラリに掲載されているデータは必ずしも最新のものとは限りません。
たとえば、年齢区分に応じた人口を把握できる国勢調査は5年に一度実施されることから、閲覧するタイミングによって古いデータが掲載されています。
それこそ、2025年は10月に国勢調査が実施されますが、本記事を執筆している7月時点で調査はまだ実施されていません。そのため、ライブラリ上では、2020年実施の国勢調査のデータが最新となっています。
このように、ライブラリで掲載される情報が古くなっている可能性があります。最新情報を把握したい場合は、状況に応じて他サイトもチェックしましょう。
調べられない情報がある
ライブラリでは、登記情報や路線価を調べられません。
登記情報については、登記所が保有する登記情報をインターネット上で確認できる登記情報提供サービスで確認する必要があります。また、土地の相続税や相続税を計算する際に使用される路線価は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認しなければなりません。
ライブラリでは、土地の固定資産税評価額の基準となる固定資産税路線価も確認不可です。固定資産税路線価を調べたい場合は、資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」を活用する必要があるでしょう。
このように、現時点でライブラリだけではすべての情報を収集できません。そのため、用途や目的に応じて、ほかの公的サービスと併用する必要があります。
不動産情報ライブラリは誰でも無料で利用できる不動産情報検索サービスです。公示価格や取引成約価格、周辺施設情報などを地図上で一元的に確認できるため、収益物件の購入を検討する不動産投資家にとって、非常に便利なシステムといえます。
基本的に利用上の制約がないため、収益物件の購入や売却を検討されている方はブックマークしておきましょう。

「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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