不動産投資の減価償却費とは?仕組みや節税になる理由を解説 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産投資の減価償却費とは?仕組みや節税になる理由を解説
2024-04-18
「減価償却費」は、不動産投資に取り組むうえで理解しておかなければならない知識のひとつです。減価償却費とは、価値が大きな資産について年々少しずつ費用を計上する仕組みをいいます。
今回の記事では、不動産投資における減価償却費の仕組みをまとめました。また、減価償却費と節税の関係性についても紹介します。
減価償却とは、高額な資産を購入したときに購入を一括で費用計上せず、年々少しずつ分割して計上する仕組みです。長期にわたって少しずつ価値が目減りすると想定される資産に対して適用されます。そして、減価償却をした結果、費用計上される金額が減価償却費です。
減価償却は、事業経営ではごく一般的な会計・税務上の処理で、不動産投資だけに限定されるものではありません。企業が機械・設備などを所有していれば、減価償却の対象となります。
減価償却には定率法と定額法があり、それぞれ次のとおりです。
・定率法:未償却残高(当初の資産価値と前年までの償却額の合計)に一定割合をかけて減価償却費を計上
・定額法:毎年一定金額を減価償却費として計上
個人の不動産投資では定額法で減価償却をおこなうケースがほとんどです。ここからは定額法を前提に、個人の不動産投資における減価償却について紹介します。
不動産投資における減価償却
不動産投資においては「建物」が減価償却の対象となります。土地については「少しずつ価値が目減りする」という定義に当てはまらないため、減価償却をおこないません。建物を始めとしたあらゆる資産は「法定耐用年数」というものが定められています。
法定耐用年数は資産の価値が存在する期間を意味していて、法定耐用年数が切れると資産価値が一旦なくなったものとして見なします(あくまで会計・税務上の考えであり、実際には法定耐用年数を過ぎても不動産として活用可能です)。
減価償却は、ゼロになるまで費用計上して資産価値を目減りさせる仕組みです。新築の場合は不動産の当初の価値を法定耐用年数で割った金額を毎年費用計上します。
・新築の減価償却費=当初の資産価値÷法定耐用年数
なお、法定耐用年数は、次のとおり物件の構造によって異なります。
木造 | 鉄筋コンクリート(RC)造 | |
---|---|---|
住宅 | 22年 | 47年 |
店舗 | 22年 | 39年 |
RC造の方が耐久性が高いとの前提から、法定耐用年数が長くなっています。中古の場合は、築年数が法定耐用年数を上回るかどうかで変わります。
・法定耐用年数以内の場合|耐用年数 =(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%
・法定耐用年数以上の場合|耐用年数 = 法定耐用年数×20%
※計算結果の端数は切り捨てる
以上の法則で耐用年数を計算したうえで、当初の資産価値(=取得価格)を耐用年数で割ります。
・中古の減価償却費=資産価値÷耐用年数
たとえば、築30年の木造物件を購入したときの耐用年数は22年×20%の計算結果から、小数点を切り捨てて4年です。すなわち毎年の減価償却費は、当初の資産価値の1/4となります。
減価償却費の計算例
たとえば、木造の新築アパートを6,000万円で購入したとき、土地と建物の価値が半々だったとします。この時の減価償却費は次のとおりです。
・取得時の建物の価値:3,000万円
・耐用年数:22年
・年間の減価償却費:3,000万円÷22=約136万円
続いて築20年の中古アパートを4,000万円で取得し、そのうち土地の価値が2,500万円あったときは、次のようになります。
・取得時の建物の価値:1,500万円
・耐用年数:(22年-20年)+ 20年×20% = 6年
・年間の減価償却費:1,500万円 ÷ 6 = 250万円
最後に、築30年の中古アパートを3,000万円で取得し、そのうち土地の価値が2,000万円あったとすると、次のとおりです。
・取得時の建物の価値:1,000万円
・木造アパートの耐用年数:22年 × 20% = 4.4年→4年(端数は切り捨て)
・年間の減価償却費:1,000万円÷4 = 250万円
減価償却費は計上するときには現金支出を伴わないので、減価償却費の多寡が月々の収支に影響を与えることはありません。一方で、毎年の所得税の計算や、売却時の譲渡損益の計算に影響します。
月々の収支やキャッシュフローは変わらない
減価償却は、すでに購入済みの資産価値の目減り分を費用計上する会計・税務上の仕組みです。費用計上しても現金が出ていくことはないため、月々の収支やキャッシュフローには直接影響を与えないのが特徴です。
不動産所得が減るため翌年の所得税の減少要因となる
減価償却費は、確定申告をするときの「経費」として計上します。所得税を計算するときの前提となる「所得」は、収入から経費をはじめとした控除項目を差し引いた残りの金額です。
不動産投資の場合「収入」は月々の賃料収入の年額となります。そこからランニングコストと、減価償却費などの「経費」を差し引いて所得が計算されます。減価償却費が多いと見かけ上の所得が少なくなるため、翌年の所得税を抑える効果があるのです。
売却時の譲渡損益にも減価償却が影響する
不動産を売却したときには「譲渡損益」が計算されます。利益が出ていれば譲渡所得税が発生します。譲渡所得税は所有期間が5年以下(短期譲渡所得)なら39.63%、5年以上(長期譲渡所得)なら20.315%です(住民税を含む)。
この譲渡損益は以下の式で計算します。
・譲渡所得=売却価格?( 取得費+譲渡費用)
・取得費=土地購入価格+(建物購入価格?減価償却費の累計)
すなわち、築古など減価償却が進んだ物件ほど低い売却価格でも譲渡益が計上されます。
減価償却費を大きな金額で計上すれば確定申告上は赤字となり、税金の還付が受けられます。このとき家賃により現金収支がプラスなら、収入が発生しているのに税金が減る状態となります。これが、不動産投資における減価償却による節税効果です。
富裕層や高所得者など税負担の大きな投資家は、節税効果を狙って不動産投資を手がける場合があります。次のような特徴の物件は、購入費に比して大きな節税効果が期待できます。
・建物の価格割合が大きい:減価償却は建物部分だけに適用されるため
・木造:法定耐用年数が短いため年間の減価償却費が高くなる
・法定耐用年数切れ:法定耐用年数の20%という短期間で全額償却できる
たとえば、建物の価格が共に3,000万円の木造アパートがあったとします。Aは新築でBは築30年としたとき、年間の減価償却額はそれぞれ次のとおりです。
・アパートA:3,000万円 ÷ 22年 = 約136万円
・アパートB:3,000万円 ÷ 4年 = 750万円
Bであれば、減価償却費を除いたアパートの年間収支が750万円を超えなければ、不動産投資を通じて税金負担額を減らせる計算となります。
このような投資で注意が必要なのは、減価償却が終了するとたちまち節税効果がなくなることです。Bの場合は4年後には減価償却が計上できなくなり、税負担が大幅に増えます。
減価償却費は現金支出を伴わない経費項目です。税金の計算や売却時の取得価格の計算において重要な要素となるため、自分の物件がどのようなペースで減価償却されていくのかを正確に把握しておきましょう。
減価償却の期間が終わってもローン返済が続く場合、ローン返済元金と減価償却費が逆転する「デッドクロス」の状態となります。税負担の増大や黒字倒産のリスクが高まる状態なので、投資計画を立てる際には注意しましょう。
デッドクロスについてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、合わせて参考にしてください。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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