「盛り土造成地」の物件は安全? 投資家が知るべきリスクと購入前の注意点 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
「盛り土造成地」の物件は安全? 投資家が知るべきリスクと購入前の注意点
2026-08-21

「盛り土造成地に建てられた物件は、地震や大雨で崩れるリスクがある?」「将来、売るに売れない『負動産』にならない?」
表面利回りの高さに魅力を感じているものの、同時に盛り土造成地に建てられた収益物件にリスクを感じている。そんな賃貸オーナーもいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からいえば、盛り土造成地の物件であっても、適切な地盤の補強工事が施されていれば問題ありません。とはいえ、盛り土は地面を削って造成する切り土と比べて地盤が弱く、土砂災害の発生リスクが高いのも事実です。
本記事では、盛り土の概要のほかに、盛り土が問題になる理由や盛り土造成地のメリット・デメリットについて解説します。盛り土のリスクを正しく把握したうえで、 収益物件の購入判断に、ぜひお役立てください。
目次

盛り土とは、傾斜のある土地を平らな土地にするために土砂を盛る作業、あるいはその盛り上げた土そのものを指します。盛り土に対し、斜面を切り取り平らな地面をつくることを「切り土」と呼びます。
盛り土や切り土を含めて、山や丘などの土地を宅地に変える行為については、宅地造成と呼びます。さらに、宅地造成によって形成された宅地が、造成地です。
盛り土を規定する法律は盛土規制法
盛り土のルールについて規定する法律が、宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)です。
盛土規制法は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害を踏まえて、土地の用途にかかわらず、危険な盛り土を包括的に規制するため、2023年5月26日に施行されました。
盛土規制法の施行に伴い、各都道府県や政令指定都市などでは、危険な盛り土を包括的に規定する次の2つの区域の指定・移行が順次進められており、2026年現在では多くの地域で新基準による運用が開始されています。
・宅地造成等工事規制区域:市街地や集落、その周辺など、人家などがまとまって存在し、盛り土が行われれば人家などに危害を及ぼしうるエリア
・特定盛土等規制区域:市街地や集落からは離れているものの、地形等の条件から、盛り土などが行われれば人家などに危害を及ぼしうるエリア
宅地造成等工事規制区域内の土地では、次のような盛り土や切り土を行う場合は、都道府県知事また政令市・中核市・特例市の市長の許可を受ける必要があります。
1. 盛り土の場合で、その部分に高さが1mを超える崖ができるもの
2. 切り土の場合で、その部分の高さが2mを超えるがけができるもの
3. 切り土と盛り土を同時に行う場合で、その部分に高さが2mを超える崖ができるもの
4. ①③に該当しない盛土の場合で、高さが2mを超えるもの
5. ①〜④に該当しない行為で、30㎝を超える高さで行う切り土または盛り土をする土地の面積が500㎡を超えるもの
ただし、都市計画法による開発許可を受けて工事をする場合は、改めて盛土規制法の許可を得る必要はありません。
切り土との違いは施工方法と強度
盛り土と切り土は土地を平坦にする意味で目的が共通しています。
ただし、盛り土と切り土は施工方法が異なります。実際、盛り土は土砂を盛ることで土地を高くするのに対し、切り土は土砂を削ることで土地を低くします。
両者にある相違は、施工方法だけではありません。盛り土は土砂を盛るため地盤の脆弱性が問題になりやすいのに対し、切り土は山や丘を削って宅地を造成するため地盤が強い傾向にあります。そのため、切り土は災害のリスクが低いとされています。
盛り土の種類
盛土には、道路盛土と鉄道盛土、造成地盛土、河川堤防、護岸堤防、調整池、フィルダムの7種類があります。
| 種類 | 主な役割 | 所要条件 |
|---|---|---|
| 道路盛土 | 交通過重の支持 | 1. 十分な支持力2. 沈下量、不同沈下が少ないこと 3. 法面の安定 |
| 鉄道盛土 | ||
| 造成地盛土 | 建物、施設の支持 | |
| 河川堤防 | 止水 水防 貯水 |
1. 漏水がないこと 2. 法面の安定 3. 沈下がないこと |
| 護岸堤防 | ||
| 調整池 | ||
| フィルダム |
このように盛土にはいくつか種類がありますが、本記事ではおもに造成地盛土について解説していきます。

盛り土が問題になる理由には、次の4つがあります。
- 締固め不足による不同沈下
- 雨水による地盤の緩み
- 擁壁の老朽化・崩壊
- 地震時の崩落
それぞれ解説するため、参考にしてください。
締固め不足による不同沈下
盛り土を施工する際は、外部から力を加えて土を圧縮することで土の空隙を減らして密度を高める「締固め」という作業を適度に行う必要があります。
この盛り土の締固めが不足していると、施工後に土が自重や建物の固定荷重で再圧縮され、不同沈下(*1)が発生します。
(*1) 不同沈下:建物の重みによって地盤や建物が不ぞろいに沈んだり、滑り出したりする現象
雨水による地盤の緩み
雨が降ると、雨水が盛り土の地盤に染み込んで、染み込んだ水の分だけ地盤が重くなります。
結果、盛り土の「滑り落ちようとする力」が「滑りに抵抗しようとする力」より大きくなり、斜面の崩壊が起きる場合があります。
擁壁の老朽化・崩壊
盛り土を造成する際は、土砂の崩落を防ぐためにコンクリートやブロックから構成される擁壁を設ける場合があります。
この擁壁は老朽化や施工不良によってひび割れやふくらみが発生し、最悪の場合、崩壊する場合があります。また、雨水が適切に排水されない状態でいると、想定以上の水圧が加わった際に擁壁が大きく変形、もしくは崩壊する場合があるため、注意が必要です。
地震時の崩落
盛り土で地震が発生すると、崩落が起きる場合があります。崩落は、谷間や山の斜面などで盛土造成されたひとまとまりの宅地が、地震による大きな揺れにより滑ったり、崩れたりする現象です。
この崩落は、盛り土の「滑り落ちようとする力」に地震力が加わり、これらの力が「滑りに抵抗しようとする力」を上回った結果として起きるとされています。

盛り土をするメリットには、次の2つがあります。
- 浸水被害を避けられる
- 住民のプライバシー保護につながる
これらのメリットを把握することで、盛り土造成地に建てられた物件の強みを正しく評価できるようになります。ぜひ参考にしてください。
浸水被害を避けられる
盛り土を造成すると、建物の土台や床を高くして水の浸入を避ける「嵩上(かさあげ)化」が図られ、浸水被害を避けられます。
たとえば、地盤の高さが50㎝である場合は、50㎝の盛り土を行うことで地盤の高さが1mになります。すると、地盤の高さが上がるため浸水が起きた場合でも、水位が1m以下であれば、浸水被害を最小限に抑えられるでしょう。
また、盛り土を施工すると敷地に傾斜ができるため、雨水や下水の排水がスムーズになるメリットもあります。
住民のプライバシー保護につながる
盛り土を造成すると、建物の位置が高くなるため、道路からの視線をうまく遮れます。結果、住民のプライバシーが保護され、防犯性向上も期待できるでしょう。
プライバシー保護や防犯性向上を目的とした盛り土は、敷地に塀を築くスペースがないときに有効です。

盛り土造成地のデメリットには、次の2つがあります。
- 地盤の不確実性が高い
- 修繕・保険リスクがある
盛り土の造成を検討されている方は、ぜひご留意ください。
地盤の不確実性が高い
盛り土造成地は、常に崩落のリスクを抱えています。谷埋め型(*2)の場合はそもそも水がたまりやすい谷状の宅地の地形であること、腹付け型(*3)の場合は擁壁と地盤の間に雨水が流入しやすいことから、土を盛った部分に水がたまりやすい性質を持っているためです。
盛り土造成地が崩落のリスクを抱えているのは、単に土を盛った部分に水がたまりやすいためだけではありません。近年は、頻発する豪雨の影響などで、これまでにない量の雨が降るようになり、排水しきれなくなった雨水による地盤の緩みとそれに伴う崩落が起こりやすくなっています。
(*2) 谷埋め型:谷状の地形を埋め立てた盛り土
(*3 )腹付け型:斜面に土砂を盛ってコンクリートなどの壁で土砂をおさえた盛り土
修繕リスクがある
盛り土の造成地には、修繕や保険加入にかかる経済的なリスクがあります。
経済的なリスクをもたらす修繕は、おもに古い擁壁の補修工事です。擁壁の補修費用は擁壁の状態によって変わりますが、少なくとも次のような料金がかかります。
- ひび割れ補修:1mあたり3万円
- 水抜き穴設置工事:1カ所あたり3万円
- 石積み補強工事:1㎡あたり4〜10万円
盛り土の造成費が1㎡あたり4,000〜5,000円程度とされているため、擁壁の補修にかかるコストは比較的大きいといえるでしょう。

盛り土造成地に建てられた物件を購入する前に確認すべきポイントには、次の4つがあります。
- 大規模盛土造成地の有無と地盤の安定性を確認する
- 宅地造成等工事規制区域に該当するかを確認する
- 実際に現地確認する
- 地盤強化を目的とした補強工事がどのように行われたかを不動産会社に確認する
盛り土造成地が安全かどうかを判断するには、専門知識が求められますが、購入者自ら判断できるに越したことはありません。ぜひ参考にしてください。
大規模盛土造成地の有無と地盤の安全性を確認する
まずは、候補物件の建つ場所が大規模盛土造成地に該当しないか、地方自治体が作成する大規模盛土造成地マップで確認しましょう。
大規模盛土造成地は、次に要件に該当する土地です。
1. 谷埋め型大規模盛土造成地
盛土の面積が3,000㎡以上のもの
2. 腹付け型大規模盛土造成地
盛土をする前の地盤面の水平面に対する角度が20度以上で、かつ、盛土の高さが5m以上のもの

大規模盛土造成地マップを通じて、大規模盛土造成地を把握することで、大規模災害の発生リスクの高い大規模盛土造成地のあるエリアを把握することが可能です。ただし、大規模盛土造成地ではないエリアがすべて安全というわけではありません。
そのため、地盤の安全性を確かめるうえでは、ハザードマップを活用することが大切です。たとえば、国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」をなどを活用して、候補地の液状化リスクや土砂災害リスクを調べるとよいでしょう。
宅地造成等工事規制区域に該当するかを確認する
候補物件の建っている場所が、宅地造成等工事規制区域に該当するかも確認しましょう。
前述のとおり、宅地造成等工事規制区域は、盛土規制法に基づき、宅地造成に伴い災害が発生するおそれの大きい市街地または市街地となろうとする土地の区域です。該当区域における宅地造成工事に許可が必要であったり、地盤の安全確保に資する擁壁の設置が求められたりするなど、一定の規制が設けられています。
候補地が宅地造成等工事規制区域に該当するかは、自治体が発表する規制区域図で確認可能です。また宅地造成等工事規制区域における技術的基準を満たしているかどうかは検査済証で確認できるため、候補地が宅地造成等工事規制区域に該当している場合は検査済証を入手するようにしましょう。
実際に現地確認する
候補物件の建つ場所が盛り土造成地である場合は、必ず現地確認をしましょう。現地確認をすることで、土地の状態だけでなく、周辺環境を把握できます。
現地確認後に不安が残る場合は、地盤調査を専門業者に依頼して地盤の安全性を確認すると良いでしょう。
地盤強化を目的とした補強工事がどのように行われたかを不動産会社に確認する
盛り土造成地に建つ収益物件を購入する場合は、地盤強化を目的とした補強工事がどのように行われたかを不動産会社に確認しましょう。
補強工事が施されていても、締固めなどの適切な地盤改良工事を実施していない盛り土造成地は、不同沈下が発生する可能性があります。一方、適切な地盤改良工事を実施していれば、盛り土造成地であっても、安全性が担保されているといえるでしょう。
盛り土は、元の地盤面の上に新たに土を盛り足す工法です。斜面の造成宅地では、盛り土によって平坦な敷地が作られているケースが多いため、斜面の造成宅地上の収益物件を購入する場合は、地盤が十分に締め固められているかを確認する必要があります。
とはいえ、盛り土造成地が安全かどうかを適切に判断するには、専門的な知識と現地確認が欠かせません。そのため、盛り土造成地に建てられた収益物件の購入を検討されている方は、不動産会社や建築士など専門家の力を借りながら、慎重に判断することをおすすめします。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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