不動産の「長期譲渡所得」とは? 保有5年超で税率が変わる仕組みと税額の計算方法を解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産の「長期譲渡所得」とは? 保有5年超で税率が変わる仕組みと税額の計算方法を解説!
2026-08-10

「今売ると税金で損をするのか?」「“5年超え”の正確なカウント方法は?」「半年待てば税率が半分近く変わるなら、待ったほうが得なのか?」
物件価格の上昇で利益確定を意識しはじめた保有4〜6年目の不動産投資家のなかには、売却タイミングを前にこうした疑問を抱えている方もいらっしゃいます。
本記事では、「長期譲渡所得」の定義や「短期譲渡所得」との違いについて解説します。売却益にかかる税額を自分でシミュレーションできる力をつけ、納得のいく売却判断を下すためのステップとして、ぜひ参考にしてください。

長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える土地や建物などを譲渡したときの譲渡所得です。
たとえば、2020年9月1日に購入したマンションを2026年5月1日に売却する場合は、2026年1月1日時点で所有期間が5年を超えているため、売却益が長期譲渡所得に分類されます。
なお、土地や建物の譲渡日は、原則として土地や建物を相手に引き渡した日を基準に判定されます。ただし、納税者の選択に基づき、農地以外の資産については契約の効力発生日、農地については譲渡に関する契約の締結日を譲渡日とすることが可能です。
そもそも譲渡所得は、土地や建物などの資産を譲渡することによって生じる所得
譲渡所得は、一般的に土地や建物、株式、ゴルフ会員権などの実物資産、金融資産などを第三者に譲渡することによって生じる所得です。
ただし、事業用の商品といった棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得とみなされません。
譲渡所得に対しては、所得税と住民税が課され、これらの税金を「譲渡所得税」と呼びます。譲渡所得税は、他の所得金額と合算せず、分離して税額を計算する分離課税です。ただし、ゴルフ会員権をはじめ、総合課税となる譲渡資産もあります。
| 譲渡資産の種類 | 課税方法 | |
|---|---|---|
| 土地(土地の上に存する権利を含む)及び建物等 | 分離課税 | |
| 株式等 | 短期所有土地の譲渡とみなされるもの | 分離課税 |
| ゴルフ会員権の譲渡 | 総合課税 | |
| 上記以外の株式等の譲渡 | 分離課税 | |
| その他の資産 | 総合課税 | |
短期譲渡所得との違いは所有期間と税率
長期譲渡所得と短期譲渡所得との違いは、おもに所有期間と税率です。
まず所有期間については長期譲渡所得が5年超なのに対し、短期譲渡所得が5年以下です。また、所得税と住民税を合わせた税率については長期譲渡所得が20.315%なのに対し、短期譲渡所得が39.63%となっています。
これらの違いを表にまとめると、次のとおりです。
| 所得の区分 | 長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 |
|---|---|---|
| 所有期間 | 5年超 | 5年以下 |
| 税率 | 20.315% 所得税:15% 住民税:5% 復興特別所得税:0.315% |
39.63% 所得税30% 住民税:9% 復興特別所得税:0.63% |

長期譲渡所得にかかる譲渡所得額は、次の流れに沿って求めます。
1. 譲渡所得を求める
2. 税率を用いて譲渡所得税を計算する
それぞれ解説するため、参考にしてください。
譲渡所得を求める
まず譲渡所得を求める必要があります。譲渡所得を算出するための計算式は次のとおりです。
譲渡所得=譲渡収入額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
ここからは、譲渡所得の算出に必要な譲渡収入額と取得費、譲渡費用の求め方について説明します。
譲渡収入額を求める
譲渡収入額は、売主が土地や建物の譲渡の対価として買主から受け取る金銭の額です。いわゆる売却額を指します。
譲渡収入額に算入するのは、売却額だけではありません。買主から譲渡日から年末までの期間に対応する固定資産税・都市計画税に相当する額の金銭支払いを受けた場合、それらの清算金も譲渡収入額に算入されます。
取得費を計算する
取得費は土地や建物を購入する際にかかった費用全体を指します。原則として土地と建物の購入額ですが、次の費目も含めることが可能です。
1. 土地や建物の購入時に納めた登録免許税、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税
2. 借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料
3. 土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費
4. 土地の取得に際して支払った土地の測量費
5. 所有権などを確保するために要した訴訟費
6. 建物付の土地を購入した後、おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の購入代金や取壊しの費用
7. 土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
8. すでに締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金
建物を売却した場合は、購入代金または建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費を差し引く必要があります。
減価償却費の計算式は、次のとおりです。
減価償却費=取得価額×定額法の償却率×経過年数(*1)
(*1)1年未満の端数は、6月以上は1年、6月未満は切り捨てます。
なお、業務用建物の取得費から差し引く額は、保有期間中の減価償却費の累計額です(定額法の場合:「取得価額×定額法の償却率×経過年数」に相当)
なお、2007年3月31日以前に取得した業務用建物には、旧定額法が適用されます。詳細は税理士にご確認ください。
また、償却率は次のとおり、建物の構造によって決まっています(いずれも「住宅用」の耐用年数・償却率です。事務所・店舗用など用途が異なる場合は数値が変わります)。
| 建物の構造 | 法定耐用年数 | 償却率 | |
|---|---|---|---|
| 鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造 | 47年 | 0.022 | |
| 造金属 | 骨格材の肉厚4mm超 | 34年 | 0.030 |
| 骨格材の肉厚3mm超4mm以下 | 27年 | 0.038 | |
| 骨格材の肉厚3mm以下 | 19年 | 0.053 | |
| 木造又は合成樹脂造 | 22年 | 0.046 | |
建物の取得費がわからない場合や実際の取得費が譲渡価格の5%よりも少ないときは、売却代金の5%相当額が概算取得費として適用されます。
譲渡費用を計算する
譲渡費用は、土地や建物を売却するためにかかった直接的な費用を指します。具体的な譲渡費用の費目は次のとおりです。
1. 土地や建物を売るために支払った仲介手数料
2. 印紙税で売主が負担したもの
3. 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
4. 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
5. 既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
6. 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
このように譲渡費用は売却に直接かかった費用を指すため、修繕費や固定資産税など資産の維持や管理のためにかかった費用、代金の取立て費用などは譲渡費用に含まれません。
特別控除額を計算する
譲渡所得を算出した後、特別控除を適用できる場合は、特別控除額を差し引いて最終的な譲渡所得を求めます。収益物件を売却する際に得られる譲渡所得に対して適用される特別控除の特例については次のとおりです。
| 適用可能な特別控除 | 概要 |
|---|---|
| 収用等の場合の5,000万円の特別控除 | 土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合に、譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例です。 |
税率を用いて譲渡所得額を計算する
譲渡所得を算出した後は、長期譲渡所得で20.315%、短期譲渡所得で39.63%の税率をかけて最終的な譲渡所得税を求めます。

最後に税率を用いて長期譲渡所得にかかる譲渡所得税をシミュレーションしていきます。
【設定】
物件種別: 投資用一棟賃貸マンション(収益物件)
構造: 鉄筋コンクリート(RC)造(法定耐用年数:47年、償却率:0.022(*2))
所有期間: 10年(売却年の1月1日時点で5年を超えているため「長期譲渡所得」を適用)
売却時の条件:
・売却価格:9,500万円
・固定資産税清算金(買主から受領):10万円
・譲渡費用(仲介手数料・印紙税など):340万円
購入時の条件(10年前):
・土地購入価格:3,500万円
・建物購入価格:4,500万円
(*2)収益物件=業務用のため、定額法の業務用償却率「0.022」を使用しています。
最初に税額の計算式を整理します。
| 減価償却費 | 取得価額×償却率×経過年数 |
|---|---|
| 取得費 | 土地購入価格+(建物購入価格-減価償却費) |
| 長期譲渡所得税額 | {譲渡収入金額(売却価格+固定資産税清算金)−(取得費+譲渡費用)−特別控除}×税率 |
この計算式をもとに求めた減価償却費と取得費は次のとおりです。
| 減価償却費 | 4500万円×0.022×10年=990万円 |
|---|---|
| 取得費 | 3,500万円+(4,500万円-990万円)=7,010万円 |
さらに、長期譲渡所得税額を求めています。今回は、適用できる特別控除がありません。また固定資産税清算金は税務上、売却価格の一部として扱われます。
| 長期譲渡所得税額 | {(9,500万円+10万円)−(7,010万円+340万円)−0円}×20.315%=438万8,000円(所得税330万8,000円、住民税108万円) ※上記の計算は1000円未満を切り捨てています。 |
|---|
このシミュレーションでは、売主であるオーナーは売却した翌年の確定申告で約330万8,000円の所得税、同年の6月以降に約108万円の住民税を納めることになるでしょう。
長期譲渡所得は、売却した年の1月1日時点で、保有期間が5年を超えている場合の譲渡所得です。短期譲渡所得と比べて、譲渡所得税の税率が約半分と低く、売却後の手残りに大きな差が生まれます。
本記事で解説したとおり、長期譲渡所得にかかる譲渡所得税の求め方は体系化されています。しかし、実際の税額の算出については専門知識を要するため、まずは本記事のシミュレーションを参考に概算を把握したうえで、税理士をはじめとした専門家に相談することをおすすめします。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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