新中間省略登記「三為(さんため)契約」とは? 規模拡大を目指す投資家が知るべきメリット・デメリット | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
新中間省略登記「三為(さんため)契約」とは? 規模拡大を目指す投資家が知るべきメリット・デメリット
2026-07-21

不動産投資の規模拡大を狙っているなかで、「三為(さんため)契約という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
三為契約とは、「第三者のためにする契約」の略語で、主に投資用ワンルームマンションや一棟アパートの売買などで使われています。一部取引では一般的になりつつあるものの、一般的な不動産仲介と異なり、仕組みが複雑なため、不安に感じる投資家 もいらっしゃることと思います。
そこで、本記事では、三為契約の定義や契約の流れ、不動産仲介との違いについて解説します。本記事を読むことで、契約当事者として三為契約を利用するメリット・デメリットについてわかるため、規模拡大に向けた物件選びの指針としてぜひ参考にしてください。

三為契約とは、「第三者のためにする契約」の略称です。この第三者のためにする契約は、民法第537条に規定され、主に不動産売買に利用されています。
(第三者のためにする契約)
第537条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
不動産の売買契約は通常、売主と買主の二者の間で直接結ばれ、実行されます。しかし、三為契約では、売主と買主の間に三為業者(不動産業者)が入り、売主と三為業者、買主と三為業者という2つの契約が結ばれるのが特徴です。
一見すると、三為契約では、三為業者に対しても所有権の移転登記が行われるように見えるかもしれません。しかし、売主から不動産を購入した三為業者は自ら登記をせず、指定した買主へ直接所有権を移転させます。
三為契約は違法ではない
不動産登記の世界では、中間省略登記が禁止されています。中間省略登記とは、不動産の所有権がAからB、BからCと順次移転している場合に、中間者Bへの移転登記を省略し、AからCへ直接所有権を移転する登記のことです。
そのため、三為契約は従来の中間省略登記と混同されることがあります。しかし、三為契約により、実体上も売主から最終買主へ直接所有権を移転させる構成をとる場合は、一定の要件のもとで直接の所有権移転登記が認められています。
三為契約誕生の背景にある事実上の中間省略登記の禁止
三為契約が誕生した背景には、2005年3月の改正不動産登記法の施行による、事実上の中間省略登記の禁止があります。
法改正前も、中間省略登記は認められていませんでした。しかし、申請書副本(登記申請書の写し)の添付で登記申請が受理されていたことから、法務局の登記官には中間者の存在がわからず、事実上、中間省略登記が横行していたのです。
しかし、法改正後は登記申請の際に登記原因証明情報(*1)の添付が必須となり、中間省略登記がいかなる方法によっても禁止されることになりました。
中間省略登記の禁止を受けて、活用されるようになったのが、中間者を中心とする三為契約です。
当初、三為契約で中間者が宅建業者の場合、宅建業者による他人物売買を禁止する宅地建物取引業法33条の2に抵触するのではないかとの問題がありました。
しかし、2007年の同法施行規則の改正により、宅建業者が売主と第三者のためにする売買契約を締結している場合は、宅建業者が買主との他人物の売買契約を締結できるようになりました。これにより、宅建業者が中間者となる場合は、第三者のためにする契約など一定の契約構成をとれば、売主から最終買主への直接移転登記が可能になりました。
(*1)登記原因証明情報:登記の原因となった事実または法律行為とこれに基づき現に権利変動が生じたことを証明する情報
三為契約の流れ
三為契約は次の流れに沿って進めていきます。
1. 売主と三為業者(不動産業者)が、「第三者のためにする不動産売買契約(三為契約)」を締結する。
2. 三為業者が、売主が所有する不動産を売却するための他人物売買契約を買主と締結する。
3. 他人物売買契約に基づき、買主が三為業者に不動産の購入代金を支払う。次に、三為業者が購入代金の一部を使い、元の売主へ不動産の購入代金を支払う。
4. 上記2つの決済の完了が確認された後、売主から買主への所有権の移転登記手続きが行われる。
このように三為契約では、三為業者が売主、買主双方と売買契約を締結している点、三為業者を経由せず、所有権が売主から買主へと直接移転される点が特徴的です。
三為契約は契約書や登記情報から確認する
三為契約かどうかは、契約書の特約事項などから確認できる場合があります。三為契約の場合、「第三者のためにする契約である」ことや、売主から買主へ直接所有権を移転すること、または所有権の移転先を指定できる旨が記載されていることが一般的です。
特約事項の記載は専門家でなくとも読み解けますが、契約書の内容に疑問や不安がある場合は弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するとよいでしょう。
また、登記情報から、三為契約が用いられている可能性を推測できる場合もあります。
たとえば、三為契約の場合、契約書上の売主が三為業者になっている一方で、登記簿上の所有者(登記名義人)は売主のままとなっています。建物や土地を問わず、不動産の登記簿は法務局の「登記・供託オンライン申請システム」から登記事項証明書の交付を請求し、郵送などで取り寄せることが可能です。
ただし、登記上の名義人と契約上の売主が異なるケースは他にも存在するため、登記情報だけで三為契約と断定せず、契約書の内容や重要事項説明書とあわせて慎重に確認することが大切です。

ここからは、三為契約と不動産仲介の違いについて、契約形態・契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)(*2)と利益獲得の仕組みの観点から解説します。
(*2)契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任):売却した不動産に後から不具合や欠陥が見つかった場合に、売主が問われる責任
契約形態・契約不適合責任の違い
不動産仲介とは、不動産会社が売主、買主双方の間に立って、契約手続きを進める取引手法です。三為契約と不動産仲介は、三為業者が売主と買主をマッチングさせたり、間を取り持ったりする点で共通しています。
しかし、三為契約は三為業者が売主と買主双方と売買契約を締結するのに対し、不動産仲介は三為業者が売買契約ではなく、媒介契約を売主または買主、もしくは双方と締結します。三為業者は仲介者に過ぎず、売主と買主が直接売買契約を締結するのが特徴です。
このような契約当事者の相違により、三為契約と不動産仲介とでは、誰が契約不適合責任を負うかが異なります。
三為業者が宅建業者として買主に対する売主となる場合、契約不適合責任について、買主に著しく不利な特約は宅建業法上制限されます。そのため、個人間売買で売主の責任が免責されるケースに比べると、買主が責任を追及しやすい場合があります。
一方、一般的な不動産仲介の場合、不動産会社はあくまで「仲介者」であるため、物件自体の契約不適合責任を負うのは元の売主となります。買主は原則として、売主に対して直接責任を追及することになります。ただし、仲介会社が事前の物件調査や重要事項説明を怠っていた場合は、仲介会社に対して損害賠償を請求できるケースもあります。
利益獲得の仕組みの違い
三為契約では、三為業者は売主からの仕入れ値と、買主への売値の差で生まれた売買差益によって利益を得ます。
一方、不動産仲介では、不動産会社は仲介手数料という形で利益を獲得します。ただし、不動産会社が受け取る仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づく国土交通省の告示により定められた上限額以内と決まっています。契約金額(税別)に応じた仲介手数料の上限を、簡易的に求める速算式は、次のとおりです。
| 契約金額(税別) | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | (契約金額×5%)+消費税10% |
| 200万円超400万円以下 | (契約金額×4%+2万円)+消費税10% |
| 400万円超 | (契約金額×3%+6万円)+消費税10% |

三為契約を締結するメリットには、次の3つがあります。
- 取引の手間とコストを抑えられる
- 契約不適合責任を追及しやすくなる
- 宅建業者が売主となるという安心材料がある
メリットを理解することで、三為契約を活用しやすくなります。ぜひ参考にしてください。
取引の手間とコストを抑えられる
三為契約はまず取引の手間を削減できます。売主と買主の双方は不動産仲介と違い、三為業者と媒介契約を締結する必要がなく、単純な物件の売り買いで済むためです。
他方、三為業者は三為契約を活用することで、物件の仕入れコストを大幅に削減できます。三為契約の場合、三為業者は売主に手付金を支払う必要がある一方、残金は買主が支払うことで手付金の負担分が精算されるためです。
仕入れコストを抑えられる分、三為業者は利益を増やしたり、リフォームに費用をかけたりしやすくなります。
契約不適合責任を追及しやすくなる
三為契約では、買主は物件に不具合が発生した場合に契約不適合責任を追及しやすくなります。宅建業者である三為業者が売主になる場合、宅建業法の制約により、売買契約に買主が不利になるような特約をつけられないためです。
一般的な不動産仲介では、売買契約時に契約不適合責任を免責する特約がついているケースも少なくありません。特約がついている場合、買主は物件に契約内容にない不具合があった場合でも売主に契約不適合責任を追及することは困難です。
この点、三為業者に宅建業法に基づく契約不適合責任を追及しやすい三為契約は、買主が安心して取引できるといえるでしょう。
宅建業者が売主となるという安心材料がある
三為契約では、宅建業者である不動産会社が買主に対する売主となるケースがあります。この場合、重要事項説明や契約不適合責任など、宅建業法上の規制が及ぶため、買主にとって一定の安心材料になることがあります。
ただし、宅建業者が売主であるからといって、物件価格の妥当性まで当然に担保されるわけではありません。売主側の仕入れ価格と買主への販売価格に差がある場合もあるため、周辺相場や収益性、融資条件を確認したうえで、慎重に判断することが大切です。

三為契約を締結するデメリットには、次の3つがあります。
- 割高な取引となる可能性がある
- 利用できる融資の選択肢が多くない
- 取引相手の本人性・意思確認が難しい場合がある
三為契約はメリットが多い反面、不動産取引を生業とする三為業者が売買契約全体をグリップするため、思わぬ不利益を受ける可能性があります。不利な条件で取引を進めないよう、ここから紹介するデメリットに留意してください。
割高な取引となる可能性がある
三為契約では、買主にとっては割高な取引になる可能性があります。三為契約の内容は三為業者がまとめるため、取引の条件や金額が不透明になりやすく、結果的に買主にとっては高く、売主にとっては安い取引になるケースが多いためです。
こうした事態を回避するためには、不動産の相場を把握するだけでなく、売買契約や契約不適合責任などの契約内容を事前によく確認しましょう。
利用できる融資の選択肢が多くない
三為契約では、買主は利用できる融資の選択肢が多くありません。民法・宅建業法の例外ルールを用いた三為契約は取引の流れや適正価格の把握が難しいことから、金融機関から不動産投資ローンなどを受けられない可能性があるためです。
近年、シェアハウス運営会社スマートデイズによる投資詐欺事件「かぼちゃの馬車事件」で三為契約が悪用されました。この事件を機に三為契約のイメージが悪化しており、金融機関による審査が一層厳しくなっています。
取引相手の本人性・意思確認が難しい場合がある
三為契約では、取引相手に疑義があるかどうか見極めが難しいというデメリットがあります。売主と買主は三為業者を介して連絡を取り、互いに顔を合わせる機会がないためです。
こうしたデメリットにより、身元詐称や行為能力制限者などで取引の相手方に疑義がある場合でも、それらの事実が悪意で隠されるおそれがあります。また、売買契約の成立後も、取引自体が無効・取り消しとなるリスクもあるでしょう。
このように取引の相手方の顔が直接確認できない分、弁護士・司法書士などに双方の本人確認をしてもらうことが大切です。
三為契約は三為業者が取引の主導権を握りやすい契約形態であるものの、民法に則った決して違法ではない契約スキームです。宅建業者が売主となることで得られるメリットも存在します。
ただし、契約内容は三為業者が取りまとめるため、取引の流れや価格が不透明になりやすく、相場を知らないと「高値づかみ」などの買主が不利益を被るおそれがあります。
規模拡大を急ぐあまり不利な条件で契約しないよう三為契約のもとで不動産取引を進める場合は契約書を精査するだけでなく、利害関係のない信頼できる不動産会社等の専門家にセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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