不動産の「減価償却」とは? 数字が苦手でもわかる正しい計算方法とメリット・デメリットを解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産の「減価償却」とは? 数字が苦手でもわかる正しい計算方法とメリット・デメリットを解説!
2026-07-13

減価償却は、固定資産の価値は時間の経過とともに減少するという考えに基づき、取得費用を分割して費用計上する会計処理です。不動産投資において、キャッシュフローを改善し、手元に利益を残すうえで、最も重要な仕組みと言っても過言ではありません。
ところが、これから収益物件を購入する人だけでなく、すでに収益物件を保有している人のなかにも、「計算が複雑そう」「どう節税につながるのかよくわからない」と苦手意識を持っている方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、不動産の減価償却の基本となる考え方から、メリット・デメリット、実際の計算方法まで、わかりやすく解説します。減価償却を正しく理解し、投資効率を最大化するための知識として、ぜひ参考にしてください。
目次

減価償却は、減価償却資産の購入費用を購入した年に全額経費計上するのではなく、何年かに分けて経費計上していく会計上の処理です。
身近な例で考えてみましょう。たとえば、200万円の社用車(軽自動車)を新車で購入した場合、購入した年に200万円すべてを経費計上するわけではありません。軽自動車の法定耐用年数は4年であるため、4年にわたって50万円(200万円÷4年)ずつ経費計上することになります。これが減価償却であり、減価償却の計算によって当該年度の経費計上にできる部分を減価償却費と呼びます。
不動産の減価償却には老朽化による資産価値の低下を数値化する目的がある
不動産の減価償却には、建物や機械設備といった減価償却資産の老朽化に伴う資産価値の低下を数値化する目的があります。
会計の世界では、購入直後の減価償却資産と購入から10年が経過した減価償却資産は、同一の価値を有していません。減価償却資産は、時の経過とともに損耗するとみなされています。
こうした会計の考えに即した費用計上を実行するために整備されたのが、減価償却というわけです。減価償却を通じて時の経過とともに価値の減少する固定資産の取得費用を有効期間内に公平に配分することで、収益との対応が正確になります。
減価償却の対象になるのは建物だけ
物件を購入した場合、減価償却の対象になるのは、建物だけです。土地は経年劣化による損耗という概念がなく、減価償却の対象から外れるためです。
したがって、物件を取得した場合は、建物だけを減価償却の対象にしなければなりません。減価償却に必要な建物の取得額は売買契約書や固定資産課税台帳などから把握できますが、それでもわからない場合は、計算が必要です。
土地と建物の情報が両方とも記載された売買契約書で消費税の記載がある場合は、消費税の額から逆算して求めます。土地は非課税なのに対し、建物には消費税がかかるため、消費税額を購入当時の消費税率で割れば、建物の本体価格(税抜)を割り出せます。
※実際の減価償却に用いる「取得価額」には建物の本体価格に加え、仲介手数料などの諸経費のうち建物対応分を含めることができます。減価償却費として毎年経費計上できるため、漏れなく計算に含めましょう。ただし、現在はインボイス制度への対応を含め、売買契約書等で土地・建物の対価が明確に区分されていることが実務上重要視されています。
減価償却費を正確に計算するには法定耐用年数への理解が欠かせない
減価償却費を正確に計算するためには法定耐用年数(*)への理解が欠かせません。減価償却は、法定耐用年数を利用して計算するためです。
個々の減価償却資産に設定された法定耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定められており、同省令に記載された耐用年数表や国税庁が公表している「主な減価償却資産の耐用年数表」で確認可能です。
なお、法定耐用年数は税法上の資産価値を評価するために用いる尺度であり、実際の減価償却資産の状態とは関係がありません。そのため、法定耐用年数を超えた減価償却資産も事業に使用できます。
法定耐用年数については、下記記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
建物の「法定耐用年数」とは? 不動産投資の収益を左右する減価償却費の正しい計算方法
(*)法定耐用年数:税法上で定められた固定資産(減価償却資産)の使用可能期間

ここからは、不動産の減価償却をするメリット・デメリットについて解説します。
不動産の減価償却をするメリット
不動産の減価償却をすると、まず節税効果が期待できます。減価償却費を経費算入することで、減価償却資産を購入していない年の課税所得額が減るためです。
課税所得額の減少による節税効果は新築物件よりも中古物件の方が高くなります。中古物件は、法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数に、経過年数の20%を加算して計算する「簡便法」が適用できることから、新築より短期間で大きな金額を償却できるためです。
減価償却はキャッシュの流出を伴わない費用であるため、手元の現金を残しつつ利益を圧縮できます。適切に償却を行いながら健全なキャッシュフローを維持していることは、金融機関等からの高い評価につながるでしょう。
不動産の減価償却をするデメリット
不動産の減価償却を活用すると、会計処理が複雑化するおそれがあります。ひとえに不動産といっても、構造や用途によって法定耐用年数が異なるためです。法定耐用年数だけでなく、取得時期によって適用できる償却方法や償却率が異なることも、会計処理の複雑化をもたらしています。
また、不動産の減価償却を適正に利用するためには、常に最新の税制に対応できるか注意を払わなければなりません。減価償却にまつわる税制は定期的に見直しや改正が行われるためです。
税制改正に伴う減価償却制度の変化に気づかないまま古い基準で計算してしまうと、申告内容に誤りが生じ、申告内容によっては管轄税務署による税務調査が入る可能性があるでしょう。このような事態を回避するためには、税理士をはじめ、外部のサポートを受けることが大切です。

不動産の減価償却を計算する方法には、定額法と定率法があります。
ただし、税制改正により、1998年(平成10年)4月1日以降に取得した「建物」、および2016年(平成28年)4月1日以降に取得した「建物附属設備・構築物」については定率法が廃止され、すべて定額法に一本化されています。それ以前に取得した設備などを保有している場合は、当時の規定が適用される点に注意しましょう。
定額法による計算方法
定額法は、償却費の額が原則として毎年同額となる償却方法です。具体的な計算式は次のとおりです。
減価償却費=取得価額×定額法の償却率
上記計算式でいう不動産の取得価額は、購入代金のうち、建物部分に相当する金額です。また、償却率については、国税庁が発行する「減価償却資産の償却率等表」を参考にします。
ただし、2007年3月31日以前に取得した不動産には旧定額法を採用します。旧定額法の計算式は次のとおりです。
減価償却費=取得価額×90%×旧定額法の償却率(ただし、漁業権や特許権などの無形固定資産には、90%を掛ける必要がありません。
一方、定率法は、毎年一定の割合を掛けて計算し、初年度ほど経費が大きくなる方法です。しかし、これから不動産投資を始める方が取得する建物や設備はすべて「定額法」となるため、定率法の複雑な計算式を覚える必要はありません。

不動産を減価償却する際の注意点には、次の3つがあります。
- 仕訳方法によって建物の帳簿価額への反映方法が異なる
- 年度途中に取得した不動産の減価償却費は月割りとなる
- 不動産の用途を変えた場合は減価償却の計算方法が変わってくる
これらの注意点を押さえることで、誤った方法で減価償却することがなくなるでしょう。ぜひ参考にしてください。
仕訳方法によって建物の帳簿価額への反映方法が異なる
不動産の減価償却では、仕訳方法によって建物の帳簿価額への反映方法が異なります。
減価償却費を会計帳簿に記録する仕訳方法には、直接法と間接法の2つがあります。
直接法は、減価償却費を減価償却資産の勘定科目から直接減額する方法です。不動産の減価償却では、建物の勘定残高が年々減少していくのが特徴であり、借方科目に「減価償却費」、貸方科目には「建物」をそれぞれ記入します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却費 100万円 | 建物 100万円 |
一方、間接法は、減価償却費を直接減価償却資産の勘定科目から減額せず、「減価償却累計額」という別の勘定科目を用いて処理する方法です。不動産の減価償却では、帳簿上の建物勘定に取得原価がそのまま記載されるのが特徴で、借方科目に「減価償却費」、貸方科目に「減価償却累計額」をそれぞれ記入します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却費 100万円 | 減価償却累計額 100万円 |
減価償却費を帳簿に仕訳する際は、直接法、間接法のどちらかに統一しなければなりません。統一せず、混在している場合は、確定申告や税務調査で帳簿の整合性が問われる可能性があります。
年度途中に取得した不動産の減価償却費は月割りとなる
事業年度の途中に不動産を取得した場合は実際に使用した期間を月単位で反映して計算し、減価償却費を月割で計算する必要があります。
たとえば、9月決算の会社が3月に不動産を取得した場合は、6カ月分(3月から9月)の減価償却費を計上しなければなりません。つまり、年度の利用期間に基づいた金額だけを費用として計上します。ただし、実際の減価償却費の計算では、償却率も掛けます。
不動産の用途を変えた場合は減価償却の計算方法が変わってくる
不動産の用途を変えた場合は、減価償却の計算方法が変わってくる点に注意が必要です。
たとえば、木造建物を事務所用(24年)から飲食店用(20年)に転用した場合、経過年数を踏まえながら、「20年」を新たな耐用年数として適用しなければなりません。
不動産を年度途中に転用し、新たな耐用年数を適用する場合は、原則として転用前と転用後の期間に分けて、それぞれの用途に応じた耐用年数に基づいて減価償却費を計算します。ただし、年度途中に転用した場合は、転用した日の属する年の1月1日から転用後の耐用年数により減価償却費を計算することも可能です。
たとえば、9月決算の会社が翌年3月に不動産を転用した場合は同年の1月から転用後の耐用年数で減価償却費を計算できます。
不動産の減価償却は適正な処理を通じて税負担が軽減し、キャッシュフローを改善できる強力な手段です。一方、耐用年数・仕訳方法の設定や年度途中の取得・転用を踏まえた計算などで処理を誤ると、管轄の税務署から修正申告や追徴課税が求められる可能性があるため、注意が必要です。
こうした留意点を踏まえ、「自分の物件の正しい減価償却費が知りたい」「節税効果の高い物件をシミュレーションしてほしい」とお考えの方は、税理士や不動産会社の担当者といった専門家に相談することをおすすめします。専門家への相談を通じて疑問点を解消すれば、正確な減価償却処理だけでなく、的確な財務状況の把握が可能になるでしょう。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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