「河川法」を知らないと建築不可のリスクも? 許可が必要なケースや注意点をわかりやすく解説 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
「河川法」を知らないと建築不可のリスクも? 許可が必要なケースや注意点をわかりやすく解説
2026-07-17

近年の豪雨災害を受けて、「所有物件や検討物件の安全性によく注意したい」と考えている賃貸オーナーが増えています。
そんな賃貸オーナーが押さえておくべき法律が、河川の氾濫防止を目的とした河川法です。この法律を理解しておかないと、国や都道府県が指定する区域で土地の掘削や工作物の新築・改築などをする際に許可を得られないという事態が起きかねません。
そこで、本記事では、河川法の概要や区域別に許可が必要なケース、申請方法などについてわかりやすく解説します。物件購入時のリスク管理として、ぜひ参考にしてください。

河川法は川を適切に管理するための法律です。河川について、洪水や津波、高潮などによる災害の発生を防止するとともに、河川の適正利用や流水の機能維持を促すことを目的としています。
旧河川法は1896年に制定されました。利水よりも治水に重点が置かれていましたが、戦後の発電や工業用水の需要が増えたことで、地表水や地下水を有効活用する「利水」の重要性が高まりました。
そのような時代の変化を受けて、1965年に現行の河川法が施行されました。その後も社会的要請から逐次改正が行われ、1997年に河川管理の目的として環境が追加されたほか、樹林帯制度などが創設されました。河川法に関連した他の法律には、特定多目的ダム法や水防法、砂防法などがあります。
河川法の管理対象となる3つの河川
河川法が適用され、管理対象となる河川は次の3つです。
河川法の適用を受けないのは、一級・二級・準用河川以外の普通河川です。普通河川は河川法に基づいて指定されない水路のうち、下水道法などの他の法律によっても指定されない水路で、各地方自治体が管理します。
河川が河川法の対象になるかは、管轄する地方自治体のウェブサイトで確認可能です。
河川法に違反すると懲役または罰金を受ける可能性がある
河川法に違反して無許可で工作物の新築や除却、土地の掘削といった行為を行うと、違反内容に応じて1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金などが科される可能性があります。
懲役または罰金の対象は個人だけでなく、法人にもおよびます。
また、罰則の対象となった工事は違法行為となるため、河川管理者から許可の取り消しや工作物の取り壊し、土砂の埋め戻しといった命令を受ける可能性があります。原状回復工事にかかる費用も多額に上るため、注意しましょう。
河川法による制限については重要事項説明での告知が義務付けられている
売買対象の土地や建物が河川区域、河川保全区域、河川予定地、河川保全立体区域などに該当する場合は、宅地建物取引業法に基づいて、重要事項説明で河川法による制限に関する説明を受けることになります。土地や建物が河川保全区域内にある場合は、水害が購入者や借主に与える影響が大きいためです。
河川保全区域内の土地や建物の購入者や借主となる場合は、重要事項説明書に次のような記載があるか確認しましょう。
- 対象不動産に河川法が適用されているか否か
- 河川法の適用による制限の具体的内
- 許可申請が必要な行為の範囲
- 河川法や条例に違反して受ける場合の罰則

ここからは、次の区域別に河川法の許可が必要となるケースについて解説します。
- 河川区域
- 河川保全区域
- 河川予定地
- 河川保全立体区域
各区域の定義と河川管理者による許可が必要な具体的行為についても解説するため、参考にしてください。
河川区域
河川区域は、堤防や河川敷など、堤防の法尻(*)から対岸の堤防の法尻までの間の河川としての役割を持つ土地です。具体的な次のような土地が河川区域に該当します。
- 通常河川の水が流れまたは留まっている土地(低水路という)
- 自然堤防を含む堤防、護岸、水門などの河川管理施設のある土地
- 堤防の内側の土地で、1.の土地と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した土地
(*)法尻:切土や盛土によって造られた人工的な斜面である法面の下端。法先とも呼ぶ。
河川区域では、次のような行為をする際に制限が課されます。
これらの行為は河川の流れを妨げたり、河川環境の悪化を招いたりする可能性があるため、河川管理者の許可なく行えません。
河川保全区域
河川保全区域は、堤防や護岸など洪水・高潮などの災害を防止するための施設や川岸を守るため、一定の制限を設けている区域です。河川区域に隣接した民有地も指定される場合があります。
河川保全区域の指定は、必要な最小限の区域とされ、原則として河川区域の境界から50mとなっていますが、地形や地盤などの特別の事情がある場合は50mを超えて指定されることもあります。
河川保全区域内で、次のような行為をする場合は、河川管理者の許可を受けなければなりません(河川法第55条)。
- 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状を変更する行為
- 工作物の新築または改築
河川予定地
河川予定地は、河川工事を円滑に施工したり、施工の損失を防止したりするために河川管理者が指定した土地です。河川工事によって、新たに河川区域になる土地が指定されます。
河川予定地で、次のような行為をする場合は、河川管理者の許可を受けなければなりません(河川法第57条)。
- 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状を変更する行為
- 工作物の新築または改築
河川保全立体区域
河川保全立体区域は、河川立体区域内の河川管理施設を保全するために、河川管理者が指定する立体的な区域です。ダムや水門、ポンプ施設など、河川に付帯する管理施設が立地する区域の一定の空間または地下が指定されます(河川法第58条の3)。
このような河川管理施設を保全するための河川保全立体区域で次のような行為をする場合は、河川管理者の許可を受けなければなりません(河川法第58条の4)。
- 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状を変更する行為
- 工作物の新築または改築
- 載荷重が1㎡につき政令で定める重量以上の土石その他の物件の集積

ここからは、河川区域や河川保全区域などに入る場合でも、河川法の許可が不要なケースについて、解説します。
河川区域内の土地の掘削等で許可を不要とする行為
河川区域内であっても、次の行為に該当する場合は、河川管理者による許可を必要としません。
- 河川管理施設の土地から10m以上離れた土地における耕うん
- 許可を受けて設置された取水施設または排水施設の機能維持のための土砂排除
- 河川管理者が指定した区域以外の竹木の伐採
- その他河川管理者が影響が少ないと認めて指定した行為
- 河川管理施設の敷地から10m以上離れた土地における茶の栽植(栽植の方法により明らかに治水上支障があると認められるものを除く)
- 河川管理施設の敷地から10m以上離れた土地における養蚕を営む目的で行う桑の栽植(新規に桑園を造成するために行う栽植その他明らかに治水上支障があると認められるものを除く)
河川保全区域内で許可を不要とする行為
河川保全区域内であっても、次の行為に該当する場合は、河川管理者による許可を必要としません。
- 耕うん
- 河川管理施設の敷地から距離が5mを超える土地における行為のうち、次に該当する行為
- 堤内地の土地における3m以内の盛土(堤防に沿って行う盛土のうち、堤防に沿う部分の長さが20m以上のものを除く)
- 堤内の土地における地表から1m以内の土地の掘削または切土
- 堤内の土地における工作物(コンクリート造、石造・れんが造等の堅固なものおよび貯水池、水槽、井戸、水路等、水が浸水する恐れがあるものを除く)の新築または改築。従って、これに該当する工作物は、木造、プレハブ、軽量鉄骨、ブロック造等の堅固でないもの


河川法が影響する土地を購入する際の注意点には、次の5つがあります。
- 水害リスクが高い
- 物件を建築する際に河川管理者による許可が必要
- 河川区域を占用する場合は使用料が発生する
- 河川の水を利用する場合は水利権を得るための許可が必要になる場合がある
- 資産価値が下落するおそれがある
これらの注意点を押さえれば、河川法が影響する土地の購入後に起こりうるリスクを最小化できます。ぜひ参考にしてください。
水害リスクが高い
河川法が影響する土地は、河川に近接している場合が多く、水害リスクを確認することが重要です。
実際、一般人でも購入できる河川保全区域は河川の隣接地にあることから、大部分が洪水浸水想定区域に指定されている場合が少なくありません。つまり、河川が氾濫した場合に大きな被害を受ける可能性が高いのです。
したがって、河川保全区域に位置する土地は洪水の被害拡大リスクを踏まえ、購入に慎重になる必要があります。
物件を建築する際に河川管理者による許可が必要
前述のとおり、河川保全区域内で、住宅をはじめとした工作物を新築・改築する場合は、事前に河川管理者の許可を受けなければなりません。
また、河川保全区域内で、地下シェルターなど地下に工作物を新築・改築する場合も、河川管理者の許可を受ける必要があります。
河川区域を占用する場合は使用料が発生する
河川区域を占用する場合は使用料にあたる占用料を地方自治体に支払わなければなりません。
占用料が発生するのは、河川区域を一時的にバーベキュー広場や船舶係留施設、オープンカフェなどとして使用するケースが該当します。
河川の水を利用する場合は水利権を得るための許可が必要になる場合がある
河川の水を利用(占用)する場合は水利権を得るために河川管理者の許可が必要になる場合があります。
水利権とは、特定の目的のために河川の流水を排他的・独占的に利用する権利です。水利権の取得が求められる占用には、水力発電や水道水の利用などを目的とした自然流水による取水、ポンプ取水、ダムの貯留水の取水などが挙げられます。
資産価値が下落するおそれがある
河川保全区域を筆頭に河川法が影響する土地は、資産価値が下落する可能性があります。近年、大規模な洪水災害が頻発するなかで、洪水リスクの高い土地を保有するリスクが顕在化しているためです。
このようなリスクを踏まえ、まず当該土地が洪水浸水想定区域や浸水被害防止区域に該当していないかを確認することが大切です。確認のうえ、当該土地が浸水被害防止区域に指定されていると判明した場合は資産価値の下落リスクが高まりやすいため、注意が必要です。
最後に、河川保全区域にある収益物件を改築したり、土地の形状を変更したりすることなどを理由に、河川法の許可申請する場合の対応方法について解説します。
申請から許可までの全体像
河川法の申請から許可までの流れは次のとおりです。
- 事業計画の計画書や説明資料を持参して、管轄の河川管理者に事前に相談します。
- 相談内容に基づいて、許可申請書や事業計画概要書、設計図などを準備します。
- 書類が全部そろったら、管轄の河川管理者に提出します。
- 河川管理者による審査の結果を待ちます。提出書類に不備がある場合は補正が発生する場合があります。
- 審査の結果、問題がなければ許可書が交付され、工事に着手できます。
申請時に必要な書類
河川法の許可申請に必要な書類は申請目的によって異なりますが、河川保全区域内に住宅を建てる場合は次の書類を用意する必要があります。
- 事業計画の概要書
- 位置図
- 工作物の新築等にかかる土地の実測平面図(配置図)
- 工作物の設計図
- 工事の実施方法を記載した図書
- 土地の権限に関する図書
- 他行政庁の許認可書の写し
- 申請にかかる現場の現況写真
- その他参考となるべき事項を記載した図書
申請窓口
河川法の許可申請の窓口は河川の種類によって異なります。
国が管理する一級河川の申請窓口は、原則として、管轄の「地方整備局」や「河川事務所」です。一方、地方自治体が管理する二級河川と準用河川は、各都道府県や市町村の「土木事務所」や「河川課」が申請窓口となります。
ただし、一級河川でも、国土交通大臣の管轄外となる「指定区間」で工事する場合は、都道府県が申請窓口になる場合があるため、注意が必要です。
まとめ
外水氾濫の防止を目的とした河川法は、収益物件を保有する賃貸オーナーにとっても、無関係な法律ではありません。一級河川や二級河川の周辺にある土地は、水害リスクが高いと同時に、建物の建築や土地の掘削に対して厳しい法規制が敷かれている可能性があります。
こうした事情を踏まえ、不動産投資に取り組む賃貸オーナーも、河川法についてよく確認することをおすすめします。河川法が影響する物件のリスクを把握すれば、洪水被害や物件購入後の資産価値下落をうまく回避できるでしょう。
「購入を検討している物件が規制の対象かわからない」「水害リスクを含めた総合的な投資判断をしてほしい」とお悩みの場合は、ぜひ一度、信頼できる不動産会社へご相談ください。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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