企業価値を高める「CRE戦略」とは? 不動産を「稼ぐ経営資源」に変える経営戦略 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
企業価値を高める「CRE戦略」とは? 不動産を「稼ぐ経営資源」に変える経営戦略
2026-07-01

遊休不動産や稼働率が低い収益物件をいかに利活用するか。こうした問題に頭を抱えている企業経営者や資産管理会社のオーナーは少なくありません。
そんな経営者に知っていただきたいのが、「寝かせた不動産」を「稼ぐ経営資源」に変えるカギとなる「CRE戦略」です。CREは「Corporate Real Estate」の略で、日本語では「企業不動産」を指します。そしてCRE戦略とは、企業不動産の有効活用による企業価値の最大化の実現を目的として、経営的観点から構築された不動産戦略を意味します。
現在、人口減少による遊休不動産の増加が危惧されるなかで、CRE戦略を活用して経営効率や企業価値の向上を目指す動きが活発化しています。こうした実情を踏まえ、本記事ではCRE戦略の定義や導入効果、具体的な実践方法についてわかりやすく解説します。所有物件のポテンシャルを解放し、企業価値を高めるための手引書として、ぜひ参考にしてください。

国土交通省の「CRE戦略実践のためのガイドライン」によれば、CRE戦略は、次のように定義されています。
CRE戦略とは、企業不動産について、「企業価値向上」の観点から、経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方である。
わかりやすくいうと、CRE戦略は、不動産投資における不動産の活用を効果的にすることで、企業の価値向上を図る経営戦略上の取り組みといえるでしょう。
こうした定義を持つCRE戦略には、不動産にかかる経営形態を見直し、必要な場合は組織や会社自体の再編を行ったり、ITを最大限活用したりする特徴があります。
CRE戦略の普及が進む背景にある人口減少
CRE戦略の普及が進む背景には、人口減少という新たな不動産リスクの顕在化があります。
人口減少が不動産リスクになるのは、人口減少によって不動産の需給ギャップが供給側に偏り、空きテナントや空き家が増えるためです。空き家や空きテナントが増えれば、企業は不動産経営を現在の水準で維持することが困難になります。
こうした課題が目前に迫るなかで、不動産経営の存続に有効な手段として考えられているのが、CRE戦略です。CRE戦略の実行を通じた企業不動産のポートフォリオの見直しや老朽化施設の改修、不採算拠点の閉鎖といった取り組みが、企業を窮地から救ってくれると期待されています。

CRE戦略の導入によって得られる効果には、次の5つがあります。
- コスト削減につながる
- キャッシュフローが改善する
- リスクの分散化・軽減・除去につながる
- 顧客サービスが向上する
- コーポレート・ブランドが確立される
いずれも、企業経営にとってプラスの影響です。ぜひ参考にしてください。
コスト削減につながる
CRE戦略の導入により業務の外注化や立地の見直しを図り、必要に応じて拠点の統廃合が行われれば、コストの削減につながります。
削減につながるコストは、修繕費や改修費、管理費、賃料、共益費など不動産に直接かかわるコストだけではありません。物流コストや当該地域における人件費・人材募集費など不動産の立地条件に伴って発生してくるコストも、削減可能です。
キャッシュフローが改善する
CRE戦略の導入により企業不動産の売却・再投資や賃貸運用などによる利活用で、新たな収益源が創出できれば、キャッシュフローの改善につながります。
キャッシュフローの改善につながる取り組みは、企業不動産の売却・再投資や賃貸不動産などによる利活用だけではありません。CRE戦略による立地や業務の集積化、快適で機能的な職場環境づくりも生産性の向上につながり、キャッシュフロー改善を促すと考えられています。
リスクの分散化・軽減・除去につながる
CRE戦略は、不動産が経営に与えるリスクを分散化・軽減・除去してくれます。不動産のオフバランス化や、業務自体のアウトソーシング化により、企業が不動産のリスクマネジメントから解放されるためです。
また、企業不動産の建て替えや耐震補強により、企業は建物老朽化によるリスクを減らせるほか、帰宅困難者受け入れのスペースを備えることで災害時のBCP(事業継続計画)策定にもつなげられると考えられています。
顧客サービスが向上する
CRE戦略には、顧客サービスを向上させられる効果があります。
たとえば、店舗立地の改善といった企業不動産の適正配置により、企業は直接的な顧客サービス向上の効果を得られるでしょう。また、CRE戦略に伴うコストダウンにより適正な価格で製品・サービスが提供できるようになることも、間接的なサービス向上効果として考えられています。
コーポレート・ブランドが確立される
CRE戦略には、コーポレート・ブランドの確立を促す効果があります。
たとえば、駅前などの場所に限定した出店や、特定地域に特化した不動産投資、ランドマークとなる不動産の所有は、コーポレート・ブランドの確立ひいては、顧客満足度の向上に直接つながるでしょう。

CRE戦略は、次の手順に沿って進めていきます。
1. リサーチ:フレームワークの構築と総合的調査の実施
2. プランニング:CRE最適化施策書の作成
3. プラクティス:アクションプランの作成とCREの最適化
4. レビュー・アクト:アクションプランと実行情報の比較、リサーチへのフィードバック
国土交通省CRE研究会が発行した「CRE戦略を実践するためのガイドライン」などをもとに解説するため、参考にしてください。
リサーチ:フレームワークの構築と企業不動産の総合的調査の実施
CRE戦略を実行するためには、まず実践するための基盤を作る必要があります。
基盤づくりでまず取り組むのが、CREマネジメントを正しいルールにのっとり、実践するためのCREフレームワークの構築です。CREフレームワークの構築では、CRE関連業務の洗い出しやCREマネジメント基本方針、CREマネジメントマニュアルの作成などが行われます。
CREフレームワークの構築に並行して行われるのが、企業不動産の総合的調査です。この総合的調査では、土地・建物の現況等だけでなく、物件の現況や適用される法令・条例、修繕費等の支出情報、各種契約書、設計図、立地などが調べられます。
プランニング:CRE最適化施策書の作成
プランニングでは、自社ビルの売却や新設工場用地の取得といった経営的な意思決定をする際に活用する判断支援レポート「CRE最適化施策書」が作成されます。
CRE最適化施策書は、次の作業を経て作成されます。
| 作業 | 内容 |
|---|---|
| ポジショニング分析 | 企業不動産を「事業用・非事業用」「コア・ノンコア」の観点で分類したうえでマッピングし、さらに各象限それぞれに関して、設定する軸によるさまざまな詳細分析を行うものです。詳細分析には、企業不動産を実際に使用している組織部門を切り口とした「部門別CRE使用状況分析」や所有する企業不動産の使用価値や市場価値の差異を分析する「所有CRE有効活用率分析」などがあります。 |
| 個別不動産分析 | 個別の不動産を経営資源として捉え、その経営効率や重要性、リスクなどを分析する作業です。個別CREに関し、建築・設備の維持やメンテナンスなどにかかるコストが中長期的にどの程度必要とされるのかを把握するための「LCC(ライフサイクルコスト)分析」や個別CREにかかる収益とコストデータを統合し、その収益率を把握するための「個別CRE収益率分析」などの詳細分析が行われます。 |
| CRE最適化シミュレーションの実行 | 継続所有・使用、購入、売却などのケースごとに行う、企業不動産に関する所有・使用形態にかかる最適化シミュレーションです。 |
| CRE最適化施策後の財務影響分析 | CRE最適化シミュレーションに基づいて実施される継続所有・使用、購入、売却といった最適化が、企業の財務面にどのような影響を与えるのかを損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー表の三面で捉える分析です。 |
| CRE最適化施術書の作成および報告 | 経営者層が的確なCRE戦略を策定できるようシミュレーションの分析結果を取りまとめ、報告する作業です。CRE最適化施術書という形で取りまとめられます。 |
プラクティス:CRE最適化施策書の作成とCREの最適化
プラクティスでは、プラニングでまとめたCRE最適化施策書に基づく経営者層の判断を踏まえ、CRE最適化施策書を作成した後、CRE最適化が実行されます。
CRE最適化の具体的な施策には、「継続所有・使用(賃貸/賃借、アウトソースを含む)」「購入」「売却(証券化、セール&リースバックを含む)」の3種類があります。
レビュー・アクト:アクションプランと実行情報の比較、リサーチへのフィードバック
レビューでは、CRE最適化施策書と実行情報の比較を行います。具体的に行われる項目は次のとおりです。
1. 継続所有・使用物件のモニタリング
2. 購入価格の予算・実績分析
3. 売却価格の予算・実績分析
4. ポジショニング分析(事業方針と所有目的からの分析)の結果検証
5. ポジショニング分析(各象限の分析)の結果検証
6. 個別不動産から見た分析の結果検証
7. 財務影響の結果検証
8. CRE情報の確認
これらの検証結果をリサーチの「CREフレームワークの構築」「CRE情報の棚卸」へフィードバックのうえ、改善を促すことで、CREマネジメントサイクルが完成します。

有名なCRE戦略の事例は、次の2つがあります。
- 日産自動車:販社不動産の一元管理の導入
- 東芝:コア事業でのタイムリーな設備投資に向けた工場適地の確保
いずれも大企業の事例ですが、CRE戦略の方向性としては、中小企業も参考にできる部分があります。ぜひ参考にしてください。
日産自動車:販社不動産の一元管理の導入
日産自動車は、ROIC(投下資本利益率)20%を達成するために、国内の連結販売会社52社が使用する不動産の一元管理という販売ネットワークの再構築戦略を実行しました。
具体的に同社は2006年4月に連結販売会社52社をおのおの販売事業会社と資産管理会社に分割したうえで、同年7月に資産管理会社側を不動産子会社である日産不動産に吸収合併させ、同社を日産ネットワークホールディングスに社名変更させました。この結果、日産ネットワークホールディングスが一括して連結販売会社の資産管理を担う体制が整備されたのです。

日産自動車による販社不動産の一元管理は、不動産管理を専任組織へ集約化するスキームの先駆けといわれています。
東芝:本社ビルの売却と不動産子会社の売却による本業強化
東芝は、不動産や不動産子会社の売却益をコア事業の投資に振り向けるCRE戦略の実行により、財務体質の悪化を乗り切りました。
その代表的な取り組みとされるのが、前身の「東京芝浦電気」として発足した際の本社所在地である銀座東芝ビルの売却です。東芝は、2007年に同ビルを東急不動産に売却し、売却で得られたキャッシュ(1,610億円)を半導体などコア事業の投資に振り向けたことで、借入金の増加を小幅に留めました。
キャッシュフローの健全化を目的とした同社のCRE戦略は、銀座東芝ビルの売却だけではありません。東芝は2008年、不動産子会社である東芝不動産の株式の65%を野村不動産ホールディングスに同年末までに約800億円で譲渡し、売却益を半導体事業を中心に発生した営業赤字に充当しました。
こうした事業の選択と集中により、負債資本倍率(*)の上昇が抑えられ、東芝は経営危機を乗り越えられたとされています。
(*)負債資本倍率:企業財務の健全性を見る指標の一つで、企業の借金である有利子負債が返済義務のない自己資本の何倍かを示す。

CRE戦略は、企業不動産を単に保有するだけでなく、戦略的に購入、売却、投資することで、企業全体としての価値を高めようとする取り組みです。戦略的に活用することで、経営効率の向上や収益強化を実現できるでしょう。
CRE戦略は、遊休不動産や稼働率の低い収益物件の利活用に頭を悩ませている企業にとって、「寝かせた不動産」から「稼ぐ経営資源」へと転換する手段になり得ます。こうした実情を踏まえ、物件オーナーや企業経営者の方は、専門家の力を借りながら、自社の価値を最大化させるCRE戦略に取り組んでみてください。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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