不動産取引の節税効果を図るには「不動産M&A」がおすすめ! 直接売却より手残りを増やす仕組みと極意 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産取引の節税効果を図るには「不動産M&A」がおすすめ! 直接売却より手残りを増やす仕組みと極意
2026-04-01

「不動産を売却したいが、直接売却すると譲渡所得税の負担が大きすぎる」
収益物件の売却を検討している法人オーナーには、譲渡所得税の大きい負担に頭を悩ませている方が少なくありません。
そんな法人オーナーにおすすめなのが、不動産取得を目的として不動産保有企業や事業を承継する「不動産M&A」です。不動産M&Aは、不動産を直接売却する場合と比べて、大きな節税効果が期待できるとされています。
本記事では、不動産M&Aの定義や種類といった基礎知識から、オーナーが最も気になる「税負担の圧縮効果」、さらには特有のリスクまでを徹底解説します。直接売却という「従来の常識」以外の選択肢を持つことで、手残りのキャッシュを最大化する戦略的な出口が見えてくるはずです。ぜひ参考にしてください。
目次

不動産M&Aは、買い手が不動産の取得を目的として、対象企業の株式を購入する企業買収の方法です。
一般的なM&Aでは、法人の事業取得を目的として行われます。これに対し、不動産M&Aは、不動産を取得するために対象企業もまとめてM&Aで統合するのが特徴です。
不動産の取得が目的であれば、不動産のみを購入すれば良いのではないかと考えられるかもしれません。しかし、不動産M&Aを実施することで、不動産のみの売買と比べて大きな節税メリットを得られます。
不動産M&Aは、おもに不動産仲介を営む不動産会社同士で行われますが、不動産の立地や稼働率が高い場合は、不動産業界以外の一般事業会社でも積極的に活用されています。また、清算手続きを進めている会社に対して、不動産M&Aが実施されるケースもあります。
不動産売買との違いは企業の株式が譲渡対象になる点
不動産M&Aは、不動産のみを譲渡対象とする通常の不動産売買と異なり、条件の良い不動産を所有する企業の株式が譲渡対象になります。
不動産売買では、売買時に不動産のみの現況やリスクを把握すれば問題ありません。しかし、不動産M&Aは、不動産だけでなく、買収対象の企業の事業実態やリスク評価、企業価値を的確に分析しなければなりません。M&Aに先立つ調査プロセスはデューデリジェンス(Due Diligence)と呼ばれ、公認会計士や弁護士といった専門家が簿外債務や訴訟リスクの有無を精査してくれます。
また、売買にかかる課税対象も不動産売買と不動産M&Aでは異なります。不動産売買は不動産の売却益に課税される一方で、不動産M&Aは株式の譲渡益が課税対象となります。
| 譲渡の対象 | 課税対象 | |
|---|---|---|
| 不動産M&A | 不動産を所有する企業の株式 | 株式の譲渡益 |
| 不動産売買 | 不動産そのもの | 不動産の売却益 |

不動産M&Aは次の3種類に分けられます。
- 株式譲渡による不動産M&A
- 事業譲渡による不動産M&A
- 会社分割による不動産M&A
それぞれのスキームや特徴について解説します。ぜひ参考にしてください。
株式譲渡による不動産M&A
株式譲渡は、譲渡企業の株主(売り手)が、保有株式を譲受企業(買い手)に譲渡することで、会社の経営権を移転させる方法です。譲渡企業と譲受企業との間で株式譲渡契約が締結され、譲受企業が譲渡代金を譲渡企業に支払う一方、譲渡企業が譲受企業に対して株式を交付します。
株式譲渡では、譲受企業が全株式を取得すれば、譲渡企業の完全子会社化が可能です。完全子会社化により、譲受企業は子会社を通じて間接的に不動産を所有できます。
子会社にした譲渡企業を不動産管理会社として存続させる場合もあります。ただし、事業を継続する価値が乏しい場合は、目的の不動産を親会社にあたる譲受企業に移転した後、譲渡企業を解散させることもあります。いずれにせよ、譲受企業が不動産の収益性を高めてから、子会社の譲渡企業を売却するのが一般的です。
事業譲渡による不動産M&A
事業譲渡は、譲渡企業が事業の全部または一部を選択的に譲受企業に移転する取引です。譲渡企業は経営権を維持しながら、不動産の所有権を譲受企業に移転し、譲受企業は譲渡を受けた不動産の運営を引き継ぎます。
事業譲渡による不動産M&Aでは、譲受企業は不動産をはじめとした必要な事業のみを譲り受けるため、譲渡企業に紐づく税務リスクを回避できるといったメリットがあります。一方、事業譲渡は、包括的に譲渡する株式譲渡と比べて、個別の契約締結が発生するため、手続きが複雑になりやすい点に注意が必要です。
会社分割による不動産M&A
会社分割は、会社が営む事業に関する権利義務の一部またはすべてを引き離し、別の会社に承継させる組織再編行為です。株式譲渡を組み合わせれば、不動産のみを切り出して譲渡できます。
会社分割によるM&Aでは、新設分割を用いて譲渡企業の目的不動産のみを所有する事業とそれ以外の事業に分割した後、前者の事業を株式譲渡によって譲受企業に売却するのが特徴です。譲渡企業が別事業を展開していたり、譲受会社が特定の不動産のみの譲受を検討したりしている場合に実施されます。

ここからは、不動産M&Aのメリット・デメリットについて解説します。
売り手側のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
不動産M&Aでは、形態にもよりますが、課税対象が株式譲渡益に対する課税です。そのため、課税が約20%の株式分離課税の税率で完結でき、高い節税効果を得られるメリットがあります。
また、不動産M&Aは、不動産に関連する企業単位で売却手続きを進めるため、解散や清算結了登記などにかかる登録免許税や官報公告費用など、廃業コストが発生しません。
さらに、譲渡企業を譲受企業の子会社として事業を存続できれば、従業員や家族の生活を守れる可能性があります。
一方、不動産M&Aは、対象不動産のみならず、譲渡企業の税務や法務などのリスクを対象にデューデリジェンスを実施したうえで、売却価格を決定していくのが特徴です。そのため、通常の不動産売買と比べて手間と時間がかかる可能性があります。
また、譲受企業を早期に見つけるのは簡単ではありません。譲受企業にとってM&Aは社運を左右する大イベントであり、失敗が許されないためです。
さらに、不動産M&Aは、不動産仲介に比べて専門家に支払う手数料が高額になる傾向にあります。譲受企業とのマッチングやデューデリジェンス、企業価値算定などを専門業者に依頼する必要があるためです。
しかし、それでもなお、節税による「手残りの増加分」が手数料を大きく上回るケースが多いことが、不動産M&Aが賢い出口戦略として選ばれる最大の理由といえるでしょう。
買い手側のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
不動産M&Aでは、不動産取得税や登録免許税、司法書士に支払う報酬などのコストがかかりません。そのため、譲受企業は譲渡企業と同じように、税負担を軽減できます。
また、不動産の取得費用を抑えられるメリットもあります。譲渡企業にも高い節税効果が見込める分、柔軟な不動産価格の交渉が可能になるためです。
さらに、一般的な不動産売買と情報流通のルートやプロセスが異なることから、譲受企業は市場に出回らない物件を取得できる可能性があります。
一方、不動産M&Aは譲渡企業の事業全体を買収するため、譲受企業は簿外債務や訴訟リスクを引き継ぐ可能性があります。その結果、譲受企業は当初見込んでいた企業価値よりも減少した状態で譲渡企業を承継するリスクもあります。
不動産M&Aは、通常の不動産売買よりも手間と時間がかかる傾向にあります。譲渡企業の抱えるリスクを回避するため、税理士や弁護士、公認会計士といった専門家によるデューデリジェンスが必要になるためです。
ただ、逆に考えると、こうした入念な調査・精査のプロセスがあるからこそ、買い手はリスクを最小限に抑えつつ、市場には出回らない「真の資産価値」を納得感を持って取得できると言えるでしょう。

不動産M&Aで発生する税金は、次の4つに分けられます。
- 不動産売買にかかる税金
- 会社清算にかかる税金
- 株式譲渡にかかる税金
- 会社分割にかかる税金
それぞれ解説するため、参考にしてください。
不動産売買にかかる税金
| 譲渡会社にかかる税金 | 譲受会社にかかる税金 |
|---|---|
|
|
売り手である譲渡会社にかかる税金は、法人税や地方法人税、法人事業税などが課されます。企業の規模や所得額、所在する自治体によって異なりますが、税率は合計で30〜34%ほどです。土地のみの取引では、消費税がかからないものの、建物の取引では消費税が発生する点に注意が必要です。
買い手である譲受会社には、不動産取得税がかかります。不動産取得税は「固定資産税評価額×税率」で算出され、土地と家屋には3%、住宅以外の家屋には4%の税率が適用されます。
譲受会社は、所有権移転登記も行わなければなりません。所有権移転登記に際しては登録免許税が発生するほか、登記手続きを依頼するための司法書士報酬もかかります。
会社清算にかかる税金
会社清算は、会社の残余財産の分配や負債の整理を行い、法人格を消滅させる手続きです。
株式譲渡による不動産M&Aで、取得後に子会社(譲渡会社)を清算する場合、買い手の譲受会社は解散時の残余財産額から清算費用を差し引いた清算所得に対して課される法人税を負担する必要があります。ただし、子会社を清算する際、純資産の全額が負債の返済に充てられ、分配可能な財産がない場合、譲受会社は法人税を支払う必要がありません。
会社清算に伴い残余財産を株主に分配すると、株主には所得税が課せられます。所得税に対する課税は対象となるすべての所得を加算してその合計金額に対して課税する総合課税が採用されており、所得が多いほど税率が高くなる点に注意が必要です。
株式譲渡にかかる税金
| 譲渡会社にかかる税金 | 譲受会社にかかる税金 |
|---|---|
|
原則なし |
株式譲渡による不動産M&Aでは、売り手(株主)が個人である場合、株式譲渡益に対して申告分離課税(所得税15%+住民税5%)が課されます。売り手が法人である場合、ほかの損益と合算して売却益に対して約30%の法人税が課されます。
一方、譲受会社への課税は買収時点で基本的に発生しません。
不動産を直接売却すると、譲渡所得に対して約20〜40%の課税が譲渡会社に発生します。しかし、株主譲渡であれば株式譲渡益に対する課税は一律約20%で済むため、売り手にとって大きな節税メリットがあるといえるでしょう。
会社分割にかかる税金
| 譲渡会社にかかる税金 | 譲受会社にかかる税金 |
|---|---|
|
|
会社分割で不動産M&Aをする場合、譲渡会社は新設分割時に継承される資産や負債の損益に対する法人税、対価が株主に交付される場合の株主への配当所得に対する所得税を納税しなければなりません。
また、譲受会社は、不動産継承のための不動産取得税を納税する必要があります。
これらは新設分割時の課税原則ですが、組織再編税制の適格要件などを満たすことで譲渡会社は法人税と所得税の課税を回避できます。また、分割される事業に関して次の3つの条件を満たしていれば、譲受会社に不動産取得税が課税されません。
1. 分割事業にかかる主要な資産・負債が分割承継法人に移転していること
2. 分割事業が分割承継法人で当該分割後に引き続き営まれることが見込まれていること
3. 分割事業にかかる従業員のうち、その総数の約8割に相当する数の者が分割後に分割承継法人に従事することが見込まれていること

最後に不動産M&Aの事例として、トーセイ株式会社と株式会社ビーロットの事例を紹介します。
トーセイ株式会社:不動産M&Aを活用した収益ビル取得の事例
トーセイ株式会社は、首都圏1都3県での事業展開に軸足を置いた独立系の不動産会社です。東証プライムに上場しています。
同社は2001年から不動産M&Aを活用した収益物件の仕入戦略に力を入れています。2023年1月には、東京都千代田区に所在する不動産保有会社をM&Aに子会社化し、収益マンションや戸建て、区分マンションを含む12物件の不動産を取得しました。
同社は同M&Aを公表した際、不動産M&Aで取得した12物件の売上想定額について、約25億円を見込むと説明しています。
株式会社ビーロット:不動産M&Aを活用した不動産再生の事例
株式会社ビーロットは、不動産の投資開発や仲介、管理などを手がける独立系の不動産会社です。東証プライムに上場しています。
同社は不動産M&Aを活用したプロジェクトにも力を入れています。複数のプロジェクトのうち、代表的なプロジェクトとされるのが、2019年11月に売却を完了した渋谷区恵比寿のカプセルホテル「ドシー恵比寿」の不動産再生プロジェクトです。
同社は同プロジェクトの推進にあたって、ドシー恵比寿を保有する株式会社ヴィエント・クリエーションを株式取得により子会社化しました。その後、不動産M&Aを通じて取得したドシー恵比寿をリノベーション・リブランドにより高収益化した後、2019年に好条件での売却に成功しました。
不動産の取得を目的に企業ごと買収する不動産M&Aは、譲渡企業、譲受企業の双方にとって節税面でのメリットの大きい企業統合手法です。双方の条件を調整すれば、Win-Winの取引を実現できるでしょう。
ただし、不動産M&Aには、譲渡企業にとって買い手が見つかりにくい、譲受企業にとって簿外債務や訴訟リスクを引き継いでしまう可能性がある、といったリスクがあります。さらに、税務や法務、財務など専門性の高い知識が不可欠なため、独力での完結は容易ではありません。そのため、不動産M&Aに先立ち、アドバイザーや専門家を交えて慎重に検討することが大切です。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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