買付証明書とは?メリット・デメリットや記載事項を解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産

買付証明書とは?メリット・デメリットや記載事項を解説!

2025-12-03

 

買付証明書は、収益物件の買主が、売主に物件を購入する意思を伝えるための文書です。当事者を拘束する法的効力はありませんが、買主は買付証明書の提出を通じて収益物件を購入する権利を得るとされています。

しかし、収益物件の売買で買付証明書に関するトラブルは後を絶ちません。法的拘束力がないことをいいことに、安易な気持ちで買付証明書を提出する買主が多いためです。

こうした実情を踏まえ、本記事では、買付証明書の記載項目のほかに、買付証明書を提出する際の注意点について解説します。買付証明書を売主に提出するメリット・デメリットについて解説するため、ぜひ参考にしてください。

買付証明書とは?

買付証明書とは、不動産の売買で買主が売主に対して購入希望の意思を伝える書類です。「買受証明書」や「購入申込書」などと呼ばれ、買主に収益物件を紹介する宅建業者(客付業者)と、売主から売却依頼を受けた宅建業者(元付業者)との間で取り交わされます。

買付証明書の持つ役割

買付証明書には、買主の持つ購入の意思を客付業者を介して元付業者や売主に伝える役割があります。

そのため、買付証明書には、購入希望者の氏名や住所、勤務先、年収といった個人情報だけでなく、購入を希望する収益物件の情報や購入希望価格、売買契約日などを記載します。

支払い方法や融資してくれる金融機関名、有効期限など、細かい条件も記載しなければなりません。

買付証明書を提出するタイミング

買付証明書を提出するタイミングはさまざまですが、一般的に多いケースは、買主が収益物件を内覧し、不動産を購入する意思をある程度固めたときです。

不動産を購入する意思を客付業者の担当者に伝えると、その担当者が買付証明書を提示してくれます。買付証明書を受け取った買主はその内容を熟読し、納得すれば記入、押印し、担当者に提出します。

その後、担当者が元付業者宛てに買付証明書をファックスやメールなどで送付することで、買主は当該の収益物件を購入する権利を取得します。

このように不動産売買における物件購入の原則は、基本的に買付証明書が届いた順です。しかし、最近は、買付証明書が届いた順番よりも、融資が早く通った順が重要視されるようになっています。

買付証明書の法的拘束力

買付証明書には、法的拘束力はありません。売買契約書や重要事項説明書といった提出が必須な書類と異なり、実務上の必要性から生まれた文書であるためです。

したがって、買付証明書には原則として契約の申込みや承諾の効力は認められません。買付証明書を提出後、売買契約の締結に至らなかったとしても、買主、売主双方は不動産の引渡義務や売買代金の支払義務などを負わないとされています。

ただし、買付証明書を取り交わした後、売主、買主どちらか一方の不誠実な対応により、売買契約が不成立に終わった場合には、その当事者は相手方に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

買付証明書を出すメリット・デメリット

ここからは、買付証明書を売主に提出するメリット・デメリットについて解説します。

買付証明書を出すメリット

買付証明書を提出するメリットは、収益物件の売主に購入の意思をしっかり伝えられることです。

不動産売買では、気に入った収益物件を見つけても、売主が100%交渉に応じてくれる保証はありません。そこで、買付証明書を通じて、購入意欲を明確に伝えることで、売主側の心象がよくなり、交渉に応じてもらいやすくなります。

また同時に複数の買主から購入申込みがある場合、早期に買付証明書を提出していれば、優先的に交渉を進めてもらえる可能性があります。売主によっては、買付証明書の早期提出により、該当物件の値下げ情報を優先的に教えてくれる場合も少なくありません。

買付証明書を出すデメリット

人気の収益物件では、最初に買付証明書を提出したとしても、後に提出された購入希望者の買付証明書の条件がよければ、売主に交渉を後回しにされる場合があります。

売主はできるだけ高い金額かつ早い日程で、「融資が確実に受けられる買主」または「現金購入の買主」との契約を希望しています。そのため、買付証明書の提出順とは関係なく、条件が良い購入希望者に、収益物件を売りたいと考えるのは自然といえるでしょう。

また買主が買付証明書を提出後、安易に取引をキャンセルすれば、買付証明書の提出を代行した客付業者は、元付業者や売主からの信用を失うリスクがあります。万が一、そのような事態を招けば、買主と客付業者との間にあった信頼関係は崩れ、買主は以後、客付業者に仲介を拒否される可能性があるでしょう。

買付証明書の雛形と記載項目

ここからは買付証明書の雛形を紹介するとともに、各記載項目について解説します。

買付証明書の雛形はネットからダウンロード可

買付証明書は基本的に客付業者が用意してくれるため、購入希望者が自分で用意する必要はありません。

ただ、買付証明書の雛形自体は、ネットからもダウンロード可能です。たとえば、マンションの売却情報を中心に掲載している「マンション売却の達人」では、誰でもダウンロードできる買付証明書が無償で公開されています。

記載項目をご自身で決めたい方は、ネットからダウンロードした雛形をもとに、ご自身で作成すると良いでしょう。

買付証明書の記載項目

買付証明書の記載項目には、次のようなものがあります。

  • 購入希望者の個人情報
  • 購入希望金額
  • 物件情報
  • 残代金
  • 有効期間
  • 契約希望日・引き渡し希望日
  • 融資情報
  • その他の条件

ここからはそれぞれ記載項目について解説します。ぜひ参考にしてください。

購入希望者の個人情報

購入希望者の個人情報は、売主に「買主が収益物件を売却する相手としてふさわしいかどうか」を判断してもらうための項目です。書面にもよりますが、具体的に次のような情報を掲載します。

  • 氏名
  • 住所
  • 職業
  • 勤務先
  • 年収
  • 預貯金

年収は勤務先から発行される源泉徴収票の「支払金額」の欄に記載されている金額を記入しましょう。

また、自己資金が潤沢な場合は、支払い能力をアピールするため、「自己資金:有価証券1,000万円、預貯金1,000万円」といった形で、具体的な金額を記載することをおすすめします。

購入希望金額

購入希望金額は、あくまでも購入希望者が希望する金額を記載する項目です。

そのため、4,000万円で売り出されている一棟アパートに対し、3,000万円という購入希望金額を提示しても問題ありません。

しかし、購入希望者が複数いる場合、番手争いでいかに優位に立てるかが重要です。したがって、希望物件を必ず購入したい、番手争いで他者に負けたくない方は、客付業者からアドバイスを受けながら、高めの金額を記入しても良いでしょう。

不動産売買では、買付証明書に記入した金額を必ず支払わなければならないものではありません。しかし、実際は買付証明書に記載された希望金額をもとに交渉が進められるため、当初、買付証明書に記載した金額から大幅に値下げするのは現実的に難しいのが実情です。

したがって、買付証明書には、実際に支払う、支払える金額を記入しておくのが重要だといえます。

物件情報

物件情報では、次のような項目を記載します。

  • 所在地
  • 物件の名称
  • 木造や鉄筋コンクリート造など建物の構造
  • 延床面積
  • 家屋番号
  • 地番
  • 地目

このうち、家屋番号は法務局が一つ一つの建物を識別するために不動産登記法上の建物に付与される番号です。法務局で取得する登記簿謄本で確認できますが、記載は必須ではありません。

家屋番号を含め、わからない情報があれば、客付業者に問い合わせましょう。

手付金

手付金は、売買契約時に買主が売主へ預けるお金です。民法上、契約締結時に支払う義務があり、支払った後はそのまま売買代金の一部に充当されます。

手付金の相場は物件価格の5〜10%です。ここから高額の手付金を提示すれば、買主は売主に物件購入の本気度をアピールできます。

手付金の持つ法的性質は、売主と買主の間で売買契約が有効に成立したことを示す証約手付だけではありません。買主都合で売買契約を解除できる解約手付という役割もあります。

解約手付という枠組みでは、契約締結後でも、収益物件の引渡しや残代金の支払いが完了していなければ、買主は手付金を放棄して違約金代わりに手付金の2倍の金額を売主に償還することで契約を解除できます。

なお、売買交渉の相手が元付業者ではなく、直接売主の場合、売主は手付金等の保全措置を講じなければなりません。具体的な保全措置の内容は次の通りです。

未完成物件の場合:売買代金の5%または1千万円の超える額
完成物件の場合:売買代金の10%または1千万円を超える額

ただし、売主が保全措置を講じていても手付金の上限は物件価格の20%までです。もし買主が手付金を放棄する場合、買主は売主に20%を超えて支払った超過分の返還を求められます。

残代金

残代金は、不動産の売買契約で、総売買代金から手付金と中間金を差し引いた金額です。契約の履行が完了したとき、収益物件の引渡しと同時に売主に支払われるのが一般的だとされます。

なお、残代金が決済されるのは、買主や売主、不動産会社の担当者、司法書士らが集まった不動産決済の場です。不動産決済の場で、司法書士が登記に必要な売主と買主双方の書類をチェックしたうえで、確実に登記できる旨を宣言した後、買主は売主に残代金を支払います。

買主が売主に残代金を支払った後、鍵を渡す形で目的物の引渡しが行われます。

有効期間

買付証明書には、見積書と同じように、有効期限を付けるのが一般的です。有効期限を付けておけば、売主からの返答を延々と待つ状態を回避できます。

買付証明書の有効期限は、一般的に1〜2週間、長くても1カ月程度です。ただ、買主のローン審査が長期化している場合や物件価格と購入希望額に差がある場合は価格交渉が長引くため、買付証明書の有効期限は長めに設定しておくと良いでしょう。

契約希望日・引き渡し希望日

契約希望日・物件の引き渡し希望日は、買主の希望日を記載する形で構いません。

契約日・引き渡し日の融通を効かせられる場合は、その旨を付記しておくと良いでしょう。

融資情報

融資情報は、借入先の金融機関や融資金額に関する情報です。

借入先が決まっていない場合は「未定」と記載したうえで、申し込み候補となる借入先を複数社記載しておきましょう。「未定」と記載していなければ、売主側から融資を受けられる金融機関との取引の有無を確認される可能性があります。

また、交渉に際して融資特約を提示されていない場合は、その他の項目に「融資特約を入れてください」と記載しておくと良いでしょう。

融資特約は、不動産売買契約上で用いられる契約停止条件であり、買主が金融機関から融資を受けられない場合に、不動産契約を無条件に解除できる特約です。この特約があれば、不動産投資ローンが下りなかった場合にトラブルを防げるため、買付証明書を通じて不動産売買契約書への追記を求めておくと良いでしょう。

その他の条件

その他条件として、自己の資産状況や信用力についてアピールする情報を記載することも有効です。

具体的には、「一部上場企業の管理職である」「メガバンクから今まで3回の融資を受けている」といったアピールポイントを記載すると良いでしょう。

買付証明書を提出する際の注意点

買付証明書を提出する際の注意点には、次の3つがあります。

  • 一方的に打ち切れば損害賠償責任が生じる可能性がある
  • 安易なキャンセルは信用を失う
  • 買付証明書の提出を強要してくる業者には注意

これらの注意点に留意すれば、買付証明書に関するトラブルを未然に回避できます。ぜひ参考にしてください。

一方的に打ち切れば損害賠償責任が生じる可能性がある

買付証明書には法的拘束力がありませんが、一方的に打ち切れば買主側に損害賠償責任が生じる可能性があります。契約当事者の一方による不合理かつ一方的な交渉中止行為には、契約締結上の過失が認められる場合があるためです。

実際、福岡高判平成7.6.29では、分譲マンションの用地売買につき、売買契約書等の作成と代金決済を行うことや地鎮祭の日取りまで確認された後に、買受希望者が契約締結を拒んだ事案において、契約締結上の過失が認められ、売渡予定者から買受希望者に対する損害賠償請求が肯定されています。

安易なキャンセルは信用を失う

安易なキャンセルは、売主や元付業者のみならず、買主に収益物件を紹介した客付業者からの信用を失うリスクがあります。

客付業者は買付証明書を準備するだけでなく、買付証明書を売主側に提出したうえで、買主の希望条件を売主側に伝えてくれます。

客付業者が買主に代わってしてくれているのは、購入希望の意思や条件の伝達だけではありません。客付業者は、売主側にほかの購入希望者への売却を待つよう伝えるなど、交渉がうまくいくよう調整もしてくれます。

そうしたなか、買主が自己都合でキャンセルすると、買主と客付業者の間にある信頼も失いかねません。客付業者との信頼関係にヒビが入れば、買主が同じ客付業者からほかの収益物件を買うとき、マイナスの影響が出る可能性があるでしょう。

買付証明書の提出を強要してくる業者には注意

買付証明書の提出を強要してくる業者には注意しましょう。業者のなかには、買主が買付証明書に法的拘束力がないことを知らないことを逆手に取り、買付証明書の提出をもって購入契約の締結を迫る業者もいるためです。

そのようなリスクを踏まえ、買付証明書の提出を強要してくる業者との取引は避けましょう。

まとめ

買付証明書は、売主に収益物件の購入意思を伝える文書です。法的拘束力はありませんが、不動産取引の状況を進展させるきっかけになることから、重要な文書として位置付けられています。

買主は買付証明書を提出したことで、収益物件を必ず購入できるわけではありません。それでも、買付証明書の提出を契機とした売買取引を通じて、客付業者との間に信頼関係が構築されます。

信頼関係が構築されれば、買主は客付業者の担当者から希望に合致した収益物件を優先的に案内されるようになります。結果、買主は希望に合う収益物件を手中に収めやすくなるでしょう。

 
私たちリタ不動産は、全国の不動産投資・収益物件(投資物件・収益不動産)を取り扱う不動産会社です。社名の『リタ』は「利他の精神」「自利利他」から名付けられたもの。その背景には、自分の利益を最優先するのではなく、お客さまの利益を最優先としたサポートや提案を行うというスタンスがあります。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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弊社の目的はお客さまの資産形成をお手伝いすることです。収益物件の売買を通じてお客さまのビジネスパートナーとして「常に誠実である」ことをお約束します。不動産投資は長い目線で取り組まねばならない投資です。棟目の購入・売却から資産入れ替えの再購入まで末永くお付き合いするために、メリットのみならずリスクやデメリットもしっかりと告知します。 物件情報は精査したもののみ発信するほか、節税相談や金融機関のご紹介など、不動産投資を通じた資産形成をトータルサポート。お客さまが安心して不動産投資に取り組めるように尽力いたします。気になること、不安なことがあればいつでもお気軽にご相談ください。
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ページ作成日2025-12-03
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