給湯器交換の補助金「賃貸集合給湯省エネ2024事業」を解説! 補助額・対象機器・申請方法まとめ | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
給湯器交換の補助金「賃貸集合給湯省エネ2024事業」を解説! 補助額・対象機器・申請方法まとめ
2025-09-22

「賃貸集合給湯省エネ2025事業」は、従来型給湯器を、エコジョーズやエコフィールといった小型の省エネ型給湯器に交換すれば、その交換費用を国に助成してもらえる制度です。賃貸オーナーが対象であり、賃貸経営に取り組むなかで、給湯器の老朽化に悩んでいる方には必見の制度となっています。
本記事では、賃貸集合給湯省エネ2025事業の補助額や対象者、対象給湯器、申請期間などを解説します。申請までの流れや2024事業との相違点についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次

賃貸集合給湯省エネ2025事業は、賃貸オーナーが設置済みの給湯器を対象メーカーの給湯器に取り換える際、費用の一部を助成してもらえる制度です。家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野で、特に賃貸集合住宅に対する小型の省エネ型給湯器の導入支援を図ることで、社会全体の省エネを推進することを目的としています。
また、本制度は、経済産業省、国土交通省、環境省の3省連携による「住宅省エネ2025キャンペーン」で実施される4事業のうちの一つです。条件を満たせば、4事業のうちの一つである「子育てグリーン住宅支援事業」との併用も可能となっています。
賃貸集合給湯省エネ2025事業が創設された背景
政府は、2030年度で年間1,200kl(原油換算)に上る家庭部門のエネルギー消費削減を目指す省エネ目標を掲げています。この省エネ目標を達成するため、家庭用高効率給湯器の導入推進を主な施策として挙げており、その施策の一環として賃貸集合給湯省エネ事業が2024年度に創設されました。
経済産業省資源エネルギー庁によれば、2018年度における家庭のエネルギー消費のうち、給湯が占める割合は28.4%です。動力・照明用のシェア増加により、1965年度比で5.4ポイント減少しましたが、給湯が家庭のエネルギー消費に占める割合は依然として高い状況となっています。


賃貸オーナーが賃貸集合給湯省エネ2025事業を活用するメリットには、次の3つがあります。
- 省エネ型給湯器の導入コストを削減できる
- 光熱費を節約できる
- 省エネ設備の導入により物件の価値向上ができる
メリットを把握すれば、本事業の利用に対して前向きになれるでしょう。ぜひ参考にしてください。
省エネ型給湯器の導入コストを削減できる
賃貸集合給湯省エネ2025事業を活用すれば、省エネ型給湯器の導入コストを削減できます。
削減できる導入コストは、最大で10万円です。省エネ型給湯器の交換費用はおおよそ15万円〜40万円であるため、本事業の活用により、25%〜66.6%の交換費用を削減できるでしょう。
光熱費を節約できる
賃貸集合給湯省エネ2025事業の活用により省エネ型給湯器を導入すれば、光熱費の削減が期待できます。
実際、リンナイの試算によれば、エコジョーズは熱効率が高いことから、給湯に必要なガス消費量を約13%削減でき、ガス料金が年間にして約1万7,000円安くなるとのことです。

省エネ型給湯器の導入で賃貸住宅の光熱費を削減できれば、入居者が月々支払う光熱費の負担も軽減します。この点、賃貸集合給湯省エネ2025事業の活用を通じた省エネ型給湯器の導入は、入居者の物件に対する満足度向上にも寄与するかもしれません。
省エネ設備の導入により物件の価値向上ができる
賃貸集合給湯省エネ2025事業の活用により省エネ型給湯器を導入すれば、収益物件の価値向上が期待できます。近年は不動産の価値に大きく関わる要素として、省エネルギー性能が挙げられつつあるためです。
実際、賃貸物件の販売・賃貸事業者が省エネ性能を不動産広告などにわかりやすく表示する「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が2024年4月にスタートしました。省エネ型給湯器を導入すれば、同制度における建築物の省エネ性能が上がる可能性があります。
このように、収益物件の価値向上を図るうえでも、省エネ型設備の導入は有効な投資になり得ます。もし出口戦略や空室率の高さなどでお悩みがある場合は、賃貸集合給湯省エネ2025事業の活用を検討しましょう。

賃貸集合給湯省エネ2025事業では、基本額に加算額が加算された補助額の合計が補助されます。
1.基本額
基本額は、1住戸につきエコジョーズ/エコフィールどちらか1台に対して補助されます。具体的な補助額は次のとおりです。
設置する給湯器 | 追い焚き機能 | 補助額(定額) |
---|---|---|
小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ/エコフィール) | なし | 5万円/台 |
あり | 7万円/台 |
2.加算額
加算額では、補助対象の給湯器に加算対象となる工事を実施した場合、台数に乗じた金額が補助されます。
追い焚き機能 | 加算対象となる工事 | 補助額(加算額) |
---|---|---|
なし | 共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事 | 3万円/台 |
あり | 浴室へのドレン水排水工事(三方弁工事、三本管(二重管含む)工事) |

ドレン水は、給湯器が排出する熱をリサイクルする際に生じる凝縮水です。共用廊下を横断してドレンレールを敷設した場合や、浴室へのドレン水排水工事を実施した場合、基本額に3万円が上乗せされます。
賃貸集合住宅給湯省エネ2025事業の補助対象者
賃貸集合住宅給湯省エネ2025事業の補助対象となるのは、2024年11月22日以降に着工したエコジョーズ、エコフィールの交換工事です。
そのうえで、補助対象者については、給湯器の交換工事(リース利用を含む)を発注する賃貸集合住宅のオーナー等となっています。
ここでいうオーナー等には、一部(賃貸住戸を2戸以上)を所有する区分所有者や、オーナーから管理委託を受けている者も含まれます。また、既存集合住宅を所有しており、給湯器の設置工事を補助事業者として行う者も補助対象者です。
なお、本事業の補助対象となるリースについては税務上、法定耐用年数(6年間)以上のリース期間がされた、ファイナンスリースです。契約期間に合わせて分割払いで販売し、契約終了後に賃貸オーナーの資産となる自社割賦や、レンタルは、リース対象に含まれません。
賃貸集合住宅給湯省エネ2025事業の対象となる既存賃貸集合住宅とは?
賃貸集合住宅給湯省エネ2025事業の対象となる既存賃貸集合住宅は、次の要件を満たす住宅です。
1. 1棟に2戸以上の賃貸住戸を有する建物
2. 建築から1年以上が経過している、または、いずれかの住戸で人が居住した実績がある建物
既存賃貸集合住宅でも、事業用に貸し出されている場合は補助対象になりません。また、賃貸借契約を締結していない、オーナーや親族等が居住する住戸も対象外です。

賃貸集合給湯省エネ2025事業の対象となる給湯器は、それぞれの性能要件を満たしたうえで、補助対象製品として事務局に登録されているエコジョーズ・エコフィールです。
ここからは、補助対象となっているエコジョーズとエコフィールの性能要件について解説します。
エコジョーズ
エコジョーズは、少ないガス量で効率よくお湯を沸かせる省エネ性の高い給湯器です。排気熱の再利用により、給湯熱効率が従来型と比べて15%程度高いほか、ガス使用量が従来型と比べて約13%少ないという特徴があります。
補助金が支給されるエコジョーズの性能要件は次のとおりです。
給湯単能機 | モード熱効率が90%以上のもの |
---|---|
ふろ給湯器 | モード熱効率が90%以上のもの |
給湯暖房機 | 給湯部熱効率が95%以上のもの |
エコフィール
エコフィールは、従来廃棄していた排気熱を回収して再利用する石油給湯器です。高い熱効率により、年間約89Lの灯油を節約できるほか、二酸化炭素排出量が従来機種よりも約13%少ないという特徴があります。
補助金が支給されるエコフィールの性能要件は次のとおりです。
油焚き温水ボイラー | 連続給湯効率が95%以上のもの |
---|---|
石油給湯機(直圧式) | モード熱効率が91%以上のもの |
石油給湯機(貯湯式) | モード熱効率が80%以上のもの |
補助対象のメーカー製品
補助対象となるエコジョーズ/エコフィールは、対象とされる製品が決まっています。
補助対象製品については、住宅省エネ2025キャンペーンのウェブページ「補助対象製品の検索」から検索可能です。
ただ、実際に検索すると、メーカーによっては、膨大な検索結果が表示されるため、リフォーム業者に相談して具体的なアドバイスをもらうとよいでしょう。
賃貸集合給湯省エネ2025事業の申請期間
賃貸集合給湯省エネ2025事業の申請期間は次のとおりです。
交付申請期間 | 申請受付が始まった2025年3月31日から予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日) |
---|---|
交付申請の予約期間*予約は任意 | 申請受付が始まった2025年3月31日から予算上限に達するまで(遅くとも2025年11月14日まで) |
表をご覧いただくとおわかりのとおり、交付申請は期間内でも予算上限に達すると、その時点で受付が終了する可能性があります。
したがって、本事業の利用を検討されている方は、早めに準備し、申請されることをおすすめします。

賃貸集合給湯省エネ2025事業は、次の流れに沿って申請手続きを進めます。
- 施行業者と工事契約を締結する
- 対象機器の設置工事をする
- 工事完了後、交付申請をする
- 補助金の交付を受ける
申請手続きの流れを把握することで、手続きを計画的に進められます。ぜひ参考にしてください。
施工業者と工事契約を締結する
補助金の申請は、賃貸オーナーではなく、給湯器を設置する施工業者が行います。したがって、賃貸オーナーは、まず住宅省エネ2025キャンペーンの「補助金利用を相談できる事業者(住宅省エネ支援事業者)の検索」ページから、希望に合う施工業者を探してください。
施工業者が決まった後は、施工業者と本事業の対象機器を導入するための工事請負契約を締結します。
工事金額の多寡にかかわらず、工事請負契約の締結は、建設業法に規定された事業者の義務です。工事前後のトラブルを回避するために、必ずしましょう。
賃貸オーナーは施工業者と工事請負契約だけでなく、共同事業実施規約(兼自認書)も締結しなければなりません。共同事業実施規約は、補助金の受け取り方法や事業実施上の遵守事項などが記載された書類で、賃貸オーナーと施工業者両者による署名・押印が必要です。
共同事業実施規約は公式サイトからダウンロードできますが、基本的に施工業者が用意してくれるため、オーナーが手配する必要はありません。
対象機器の設置工事をする
契約締結後は、対象機器の設置工事を開始してください。
この段階で賃貸オーナーがするべきことはありませんが、工事前の写真が必須であることを施工業者と共有しておくと良いでしょう。
工事完了後、交付申請をする
工事完了後、施工業者が事務局ポータル上で交付申請します。交付申請時に必要な書類は次のとおりです。
●:必須 ○:該当する場合に提出
書類名称 | 工事施工者 | 工事発注者 |
---|---|---|
賃貸集合給湯省エネ2025事業共同事業実施規約(兼自認書) | ● | ● |
賃貸集合住宅の不動産登記事項証明書*1*区分所有の場合、給湯器を設置したすべての住戸(設置した住戸が1戸の場合、当該住戸と合わせて所有する別の住戸1戸以上) | ー | ● |
工事請負契約書(原契約) | ● | ー |
設置した給湯器の製品型番が確認できる書類〔仕入れ先納品書〕(設置台数分) | ● | ● |
工事【前】写真〔従来型給湯器〕*1(撤去台数分) | ● | ー |
工事【後】写真〔補助対象機器〕(設置台数分) | ● | ー |
銘板写真〔補助対象機器〕(設置台数分) | ● | ー |
加算対象となる工事が確認できる工事【後】写真*2*3(設置台数分) | ○ | ー |
賃貸集合住宅のオーナーと管理委託契約等を結んだ管理会社が、施工業者と工事請負契約を締結する場合 | ||
賃貸集合住宅の管理についての契約書(管理委託契約等) | ー | ○ |
*2 工事の着工日が2025年3月9日以前の場合、「工事【後】写真・提出免除依頼書(給湯器用 加算対象の工事)」の提出により、加算対象の工事後写真の提出が不要になります。
*3 基本額のみの補助を受ける場合は提出不要です。
なお、交付申請の予約時にすでに提出している書類の再提出は不要です。
補助金の交付を受ける
提出された交付申請に不備がなければ交付決定通知が発行され、賃貸オーナーに補助金が還元されます。
施工業者から賃貸オーナーへの還元方法は次の2つです。
いずれか | ①補助事業にかかる契約代金に充当する方法 |
---|---|
②現金で支払う方法 |
補助事業にかかる契約代金に充当する方法は、工事費から補助金分を差し引いてもらえるため、初期費用が軽減されます。一方、工事完了後に現金で支払われる場合は、賃貸オーナーが工事費を満額立て替える必要があります。
賃貸オーナーは、資金計画に合わせて適切な補助金の還元方法を施工業者に採用してもらいましょう。
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、賃貸集合給湯省エネ2024事業の後続事業ですが、以下の点で違いがあります。
- 対象となる給湯器の台数が1棟当たり2台以上から1台以上に減少
- 排水用のドレンレールや浴室へのドレン水排水工事も補助対象になり、最大補助額が増加
賃貸集合給湯省エネ2025事業は設置台数の要件が緩和されたほか、付帯工事も対象となっていることから、活用しやすい制度内容となっています。
賃貸集合給湯省エネ2025事業は他の補助金との併用ができない
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、同一のエコジョーズ・エコフィールに対して、2つ以上の補助金を利用できません。つまり、原則として併用不可です。
ただし、対象となる給湯器が重複しなければ、併用できます。給湯器を対象とした補助金は全国の地方自治体で実施されているため、確認するとよいでしょう。
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、省エネ型給湯器の普及に特化した賃貸オーナー向けの制度です。うまく活用すれば、省エネ型給湯器の導入費を軽減できるだけでなく、入居者が支払う光熱費の削減や物件価値の向上にもつなげられるでしょう。
集合住宅の給湯器の取り換えを検討されている賃貸オーナーは、ぜひ本事業を活用した省エネ型給湯器の導入に取り組んでみてください。

「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。

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