不動産業界におけるDXとは? 必要性やメリット、成功事例も解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産業界におけるDXとは? 必要性やメリット、成功事例も解説!
2025-07-17

さまざま産業・業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されるなか、不動産業界もDXの波に乗る時代が訪れています。
しかし、不動産業界では、多くの企業が従来の商慣習から捨てきれず、DX推進に二の足を踏んでいるのが実情です。
DX化の遅れは、企業が長期的に市場内で競争優位性を獲得できない事態を招きます。それは、不動産投資業界でも同様で、DX化の遅れは収益物件の管理棟数を増やしたり、自社の財務体質を改善したりするうえで足枷になりうるでしょう。
こうした実情を踏まえ、本記事では、不動産業界におけるDXについて説明した後、DX化の必要性やメリットについて解説します。不動産業界におけるDXの例やDX推進の成功事例も解説するため、ぜひ参考にしてください。

不動産業界におけるDXとは、不動産会社が業務にビッグデータなどのデータやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)をはじめとするデジタル技術を活用し、業務プロセスを改善していくことです。
不動産業界におけるDXは、単に業務プロセスの改善を通じて、業務の効率化を図るだけではありません。最終的には、製品やサービス、ビジネスモデルにデジタル技術を活用することで、組織や企業文化をも改革し、競争優位性を獲得することを目的としています。
不動産業界は、厳しい競争環境にさらされにくいエリアビジネスであるがために、紙文化をはじめ、古い慣習が残り、DX化が進んでいないとされます。それでも、コロナ禍以降、IoiTによる非接触での製品操作やVR技術を活用したオンライン内覧などを活用し、DX化を積極的に推し進めている企業が首都圏を中心に存在するのもまた事実です。
不動産テックとの違い

不動産テックとは、不動産とテクノロジーを掛け合わせた造語で、テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商慣習を変えようとする仕組みを指します。
たとえば、すでに一般化している物件情報ポータルサイトといったウェブサービスのほか、不動産の業務支援ツールや、インターネット経由の不動産投資支援が不動産テックに該当します。
一見すると、不動産テックは不動産DXと同じ意味として捉えられるかもしれません。ただし、実際は、DXの方がより包括的な概念であり、不動産におけるDXの枠の中に不動産テックが含まれるイメージです。
日本における不動産DXの進捗状況
不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞が実施した「不動産業界のDX推進状況調査2024」によれば、不動産関連事業に従事する回答者1,320人のうち、64.3%が「DXに取り組んでいる(いた)・予定」と回答しました。つまり、DXへの意識が高まっていることは明白です。

他方、生成AIの活用状況については、18%が「業務で活用している」と回答。さらに、所属企業での生成AIの活用状況については、「個人判断で活用している」との回答が44.7%で最も多い結果となりました。

また、現在導入中または導入進行中の不動産テックシステムについては、「賃貸管理システム(不動産基幹システム)」が44.1%で最も多く、「入居申込システム」が41.8%、「内見予約システム」が34.8%、「電子契約システム」が32.7%と続く形となりました。

冒頭で申し上げたとおり、不動産業界では、全体としてDXが進んでいない反面、デジタルへの感度が高い企業を中心にDXが進んでいるのもまた事実です。「不動産業界のDX推進状況調査2024」では、その傾向が顕在化されたといえるでしょう。
不動産業界でDXが求められる理由には、次の3つがあります。
- 不動産業界特有の古い体質
- 長時間労働の常態化
- 顧客ニーズの多様化
これらの理由は、時代の変化について行けていないことで発生した課題といえます。それぞれ解説するので、ぜひ参考にしてください。
不動産業界特有の古い体質
不動産業界では、対面での書類のやり取りというアナログな商慣習が定着しており、依然として古い体質から脱却できてないといわれています。
その傾向は統計にも表れています。たとえば、国土交通省が2025年1月に実施した調査によれば、回答した1,815社のうち、オンラインによる重要事項説明の実績があるのは、13%に過ぎません。実績はないが導入済まで含めると33%に増えるものの、導入予定なしは66%に上ります。
また、賃貸・売買・媒介の契約締結時交付書面や重要事項説明書といった契約書面の電子化した実績があるのは、わずか9%です。実績はないが導入済まで含めると27%に増えるものの、導入予定なしは72%に上ります。

上記のように、不動産業界では、法改正によって不動産取引のオンライン化が可能になった反面、アナログな商慣習から脱却できていないのが実情です。不動産業界がアナログな商慣習から脱却できない理由については、説明・手続きが難しい法律や、取引時に動くお金が大きいことが影響しているといわれています。
長時間労働の常態化
不動産業界でDX化が必要な要因として、長時間労働の常態化による人手不足が挙げられます。
実際、パーソル総合研究所と東京大学の中原淳准教授が2018年に公表した残業実態調査の結果によれば、不動産業、物品賃貸業は30時間以上残業している人の割合が31.8%に上り、全14業種中4番目に高い結果になりました。
不動産業界で長時間労働が横行している要因については、内覧や商談、契約などで、実際に顧客に会わなければ進められない業務が多い点が挙げられます。勤務時間外でも顧客の都合に合わせて動かなければならない場面も多いため、長時間労働が頻発しています。
また、不動産営業では、営業成績が優秀だと歩合制に基づいて報酬が増えるため、休みを削ってでも、成績を上げたいと考える営業マンも少なくありません。そのような背景も影響し、長時間労働が常態化しているのです。
顧客ニーズの多様化
デジタル技術の進展やスマートフォンの高性能化で顧客ニーズが多様化していることも、DXを推進すべき理由として挙げられます。
実際、コロナ禍以降、現地に足を運ぶことなく、ウェブ会議システムを活用して自宅から物件の内覧や重説を済ませたいと考える方が増えました。また、リモートワークの普及に伴い、地方や都心郊外のリフォーム済み中古住宅の需要が高まるなど、顧客の求めるニーズが顕著に多様化しています。
このような顧客ニーズの多様化に対応するためにも、不動産業界でDXの推進が求められているのです。

不動産業界のDXを推進するメリットには、次の3つがあります。
- 業務効率化による生産性の向上
- 業務負担軽減による人手不足問題の解消
- 顧客満足度の向上
これらのメリットを把握することで、DXを推進するうえでのモチベーションが上がります。ぜひ参考にしてください。
業務効率化による生産性の向上
DXを推し進めると、業務効率化による生産性の向上が期待できます。
たとえば、ペーパーレス化により書面やデータがオンライン化されれば、顧客情報の管理や更新、業務の引き継ぎなどの円滑化が可能です。
また、DX化を通じて、これまでマンパワーに頼っていたアナログ業務や、業務プロセスの可視化・分析も可能になるため、印刷代や人件費の削減につながります。
業務負担軽減による人手不足問題の解消
DXによって、業務負担が軽減されれば、残業時間の削減や休日出勤の予防につながり、労働環境が改善されます。労働環境が改善されると、従業員の定着率が向上し、巡り巡って人手不足問題の解消につながるでしょう。
また、不動産管理や売却物件の価格査定など、経験者でなければできなかった業務も、DX化ツールを使うことで、新人ができるようになります。
顧客満足度の向上
オンラインサービスやAIを実装したツールを導入すると、顧客の要望に対して迅速に対応できるようになるため、顧客満足度の向上が期待できます。また、個別に最適化されたレコメンド機能やデータ分析の活用により、最適な不動産を顧客に提案できるようになるでしょう。
さらに、VR内見やIT重説を採用すれば、遠方に住む顧客が現地に足を運ぶ手間が省けるため、さらなるサービスの利便性向上につなげられます。

不動産業界におけるDXの例には、次の3つがあります。
- 不動産管理システム
- 電子契約システム
- ウェブ接客システム
いずれも不動産テックにも該当されるデジタル技術ですが、これらの活用により、自社の事業モデルを変革すれば、十分にDXになり得ます。これを踏まえ、上記事例について解説するため、参考にしてください。
不動産管理システム
不動産管理システムとは、物件情報のほか、賃貸・売買にかかる契約データや顧客情報など、不動産管理に必要な情報を集約した専用ツールです。このツールを導入すると、物件情報の管理や顧客対応といった業務を一元管理できるため、作業の効率を大幅に向上させられます。
たとえば、賃貸管理システム「賃貸革命10」は、登録した物件情報やオーナー情報、入居者情報などを一元管理できるため、業務の無駄を省くことが可能です。また、物件情報を店頭資料やチラシ作成といった広告掲載に転用できるため、販促活動も後押ししてくれます。
電子契約システム
電子契約システムは、紙の契約書に署名・押印する代わりに、インターネット上で電子ファイルに署名・押印することで契約を締結できるシステムです。2022年5月に不動産取引における書面の電子化が全面解禁されたため、物件の売買や賃貸借といった不動産取引で急速に利用が広まっています。
不動産業界で利用されている電子契約システムは枚挙にいとまがありません。国産の電子契約システムである「クラウドサイン」はテンプレート管理機能から一括作成機能、契約書管理機能まで必要な機能がひととおり実装されており、不動産業界でも重宝されています。
ウェブ接客システム
ウェブ接客システムは、オンライン上での接客を可能とするツールです。具体的には、ウェブ会議システムやVR内見システムが挙げられます。
ウェブ接客システムのなかで近年台頭しているサービスには、VRプラットフォーム「ナーブクラウド」があります。ナーブクラウドには、室内を360度映し出したパノラマ画像をもとに内見を案内できるビデオ通話ツールや、VRバーチャル内見機能などが実装され、賃貸仲介会社や売買仲介会社など、さまざま不動産会社に利用されています。
不動産業界におけるDX推進に成功したとされる企業は、次の3社です。
- 三井不動産
- 野村不動産ホールディングス
- GA technologies
いずれも上場企業であるため、中小の不動産会社はそのまま参考にするのが難しいかもしれません。それでも、自助努力でデジタル変革を図ろうとする企業姿勢は模範的であるため、ご一読されることをおすすめします。
三井不動産

三井不動産は、2024年8月に策定したグループDX方針「DX VISION 2030」に基づき、DX推進に向けた取り組みを加速させています。
同社がDXを推進させているのは、法人顧客と個人顧客、コミュニティ、自社の従業員の4領域です。
このうち、個人顧客向けの取り組みでは、同社は、港区の有料老人ホーム「パークウェルステイト西麻布」の共用部と全居室に顔認証システムを導入。顔認証システムの導入により、利用者のキーレスでの外出、施設内での移動を可能にさせました。また、安否確認システムと連携させることで、入居者の利便性と安全性の向上にも貢献しています。
野村不動産ホールディングス

野村不動産ホールディングスは、デジタル技術の活用により、今までにない利便性や新たな価値を創出することを「デジタルドリーム」と形容し、独自の路線でDXを推し進めています。
同社におけるDX推進の代表施策が、グループ会社の野村不動産ソリューションズで提供される対話型チャットサービス「ノムコムAIアドバイザー」です。不動産情報サイト「ノムコム」内で提供されるノムコムAIアドバイザーでは、生成AIがユーザーの質問に対話形式で回答してくれます。また、公開されている不動産価格(取引可能)や小中学校区のデータも提供してくれます。
このようなDX推進の持続的な取り組みが評価され、同社は2023年に経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定。2025年1月には、同事業者の認定が更新されました。
GA technologies

不動産テック企業のGA technologiesは、2017年に業界初の自社内研究開発部門である「AI Strategy Center(略称AISC)を立ち上げ、先進技術を用いた技術革新に取り組んでいます。
AISCによる代表的な成果とされるのが、テクノロジーを活用したAI不動産投資サービス「RENOSY(リノシー)」です。RENOSYにはAI査定が導入されていることから、ユーザーは物件登録時に即査定結果の把握が可能。所有物件の売却査定額も毎週通知され、「即時に×気楽に×定期的に」を兼ね備えた売却査定額の把握を可能にしています。
これらの先駆的な取り組みが評価され、同社は2020年〜2022年にかけて、経済産業省と東京証券取引所が優れたDX推進企業を選出する「DX銘柄」に選ばれました。
不動産業界におけるDXとは、データやデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズをもとに、サービスやビジネスモデルを変革する動きのことです。不動産投資業においても、DX化に取り組むことで、業務効率化による生産性の向上や顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
生成AIをはじめとするデジタル技術の進展やリモートワークの進展など、ビジネス環境の変化に鑑みると、社会のデジタル化が今後も進行するのは明らかです。
そのトレンドに乗り遅れないように、今からでもDXの導入を検討してみてください。

「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。

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