不動産投資の法人化はするべき?メリットデメリットを徹底解剖 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産

不動産投資の法人化はするべき?メリットデメリットを徹底解剖

2025-07-01

 

個人事業主として不動産投資を始め、ある程度軌道に乗ってきたなら法人化も検討すべきです。簡単にいうと会社を設立して代表に就任し、役員報酬を受け取る形で投資を続けることを指します。メリットがある一方デメリットもあるため、すべての人に向いているとは限りません。この記事では、不動産投資の法人化について、メリットとデメリットを交えながら解説します。行く行くは法人化を検討しているなら、ぜひ参考にしてください。

不動産投資の法人化とは

まず、そもそも不動産投資の法人化とは何か、基本的な意味から解説します。

資産管理会社を設立して法人になる

不動産投資における法人化とは、個人事業主として行ってきた不動産投資について、資産管理会社を設立し代表に就任し、役員報酬を受け取る形に変更することを指します。資産管理会社は、あくまで資産管理のみを目的とする会社であり、他に事業活動を展開しないのが一般的です。

資産管理会社を設立する流れ

資産管理会社を設立する基本的な流れは以下の通りです。なお、ここでは「株式会社」として設立する場合を想定しています。

  1. 商号など、会社の基本情報を決める
  2. 必要に応じて法人用の実印を作成する
  3. 定款を作成し、公証人の認証を受ける
  4. 法務局で登記申請をする
  5. 金融機関で資産管理会社名義の口座を開設する
  6. 設立後、オーナーが所有する株式を資産管理会社に売却する

不動産投資を法人化するメリット6つ

不動産投資を法人化する、つまり資産管理会社を設立して不動産投資をする具体的なメリットとして、以下の6点について解説します。

  • 節税に有利
  • 融資に有利
  • 資金調達の選択肢が増える
  • 損失の繰越が10年間可能になる
  • 決算月を自分の意思で決められる
  • 経費にできる項目が増える

メリット1.節税に有利

1つ目のメリットは「節税に有利」であることです。個人事業主として不動産投資により得られた利益=所得について所得税・住民を納めなくてはいけません。そして、日本の税法では、所得が高くなるほど適用される税率も高くなる仕組みになっています(累進課税制度)。

【所得税の税率】

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 194万9,000円まで 5% 0円
195万円 から 329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円 から 694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円 から 899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円 から 1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円 から 3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円 以上 45% 479万6,000円
参照:国税庁「No.2260 所得税の税率

そのため、適用される所得税の税率が、法人税の税率(23.2%、資本金1億円以下の法人と仮定)より高くなるタイミングで法人化をすれば、節税につながります。

たとえば、個人の所得が900万円を超えると33%以上の税率が適用されるため、法人化することでトータルの納税額を抑えられる可能性があります。

ただし、実際に法人化することでどれだけ節税ができるかは、税理士や税務署に確認しましょう。

メリット2.融資に有利

2つ目のメリットは「融資に有利」であることです。一般的に、個人事業主よりも法人のほうが信用力は高いとされています。法人を設立するには厳格な手続きを踏む必要があるうえに、法律上の存在として納税や定款による運営など一定の義務を負う必要があるためです。また、法人は個々の所有者や経営者とは独立して存在することから、万が一所有者や経営者が亡くなっても、長期的な契約や関係を維持できます。

このような背景があるため、個人事業主として融資を申し込むよりも、法人として申し込むほうが審査において有利なのも事実です。ただし、法人であっても、収益性が低いなど問題点があると判断されれば融資には通りません。あくまで加点要素の一つになりうる、程度に考えましょう。

メリット3.資金調達の選択肢が増える

3つ目のメリットは「資金調達の選択肢が増える」ことです。個人事業主と比べると、法人は資金調達に使える方法が多いという強みがあります。

代表的なものが投資型クラウドファンディングです。投資型クラウドファンディングとは、未上場の株式に対して希望者からの出資を募り、対象となる事業により得られた収益を出資者に分配する資金調達法を指します。投資型クラウドファンディングを使うには、金融商品取引法に基づき、金融商品取引業者として登録を済ませなくてはいけません。そのため、個人事業主として利用することは不可能となっています。

メリット4.損失の繰越が10年間可能になる

4つ目のメリットは「損失の繰越が10年間可能になる」ということです。不動産投資を含めた事業において損失が生じた場合、個人事業主・法人を問わず繰り越すことはできます。つまり、翌年以降に黒字化を達成して所得が発生したら、その金額から損失分を差し引いて、結果として節税ができる仕組みです。

ただし、個人事業主の場合は青色申告をする必要があるうえに、最長で3年までしか損失の繰越ができません。一方、法人であれば最大で10年間にわたって繰り越せるため、その分節税効果も高くなります。

メリット5.決算月を自分の意思で決められる

5つ目のメリットは「決算月を自分の意思で決められる」ことです。個人事業主の場合、事業期間は毎年1月1日から12月31日までの1年間で固定されており、決算月を任意に決めることはできません。

一方、法人の場合は決算月から2ヶ月後までに申告・納税をするというルールがあるものの、基本的に決算月は自分の意思で決められます。本業の繁忙期を避けて決算月を設定することもできるため、両立がしやすくなるという意味でもメリットです。

メリット6.経費にできる項目が増える

6つ目のメリットは「経費にできる項目が増える」ことです。個人事業主とは異なり、法人であれば会社の「事業活動に関連する支出」であれば、すべて経費として計上できます。具体例として以下のものが含まれますが、かなり広範囲にわたることが分かるはずです。

  • 不動産取得税、印紙税、登録免許税
  • 入居者募集の際の広告宣伝費
  • 司法書士・税理士への報酬
  • 物件の購入・交渉、金融機関や不動産会社の訪問、決済・面談に要した旅費・交通費
  • 新聞・書籍の購入代
  • セミナー受講代
  • コンサルティングフィー
  • 管理費(賃貸管理会社代行手数料も含む)
  • リフォーム費用
  • 修繕積立金
  • 税金
  • ローン返済額の利息分
  • 減価償却費
  • 管理会社との打ち合わせに要した交通費・通信費

また、家族を役員にして役員報酬や退職金を出す場合も、条件次第では経費として認められる可能性があります。これにより節税をしながら世帯収入を増やせますが、社会通念上妥当な金額であることが前提です。

極端な例になりますが「妻と実父・実母に毎月50万円の役員報酬を支払い、遠方にある金融機関や不動産会社を訪問する際は家族も同行させて高級ホテルに泊まっていた」といった場合は、認められない可能性が出てきます。具体的な扱いについては税理士や税務署に相談してください。

不動産投資を法人化するデメリット5つ

不動産投資を法人化にはさまざまなメリットがある一方、デメリットもあることに注意しなくてはいけません。ここでは具体的なデメリットとして、以下の5つについて解説します。

  • 手間と費用がかかる
  • 赤字でも税金を払わないといけない
  • 長期保有後の不動産売却において税制上不利
  • 勤務先からNGが出ることもある
  • 簡単に廃業できない

デメリット1.法人設立と維持に手間と費用がかかる

1つ目のデメリットは「費用と手間がかかる」ことです。法人の設立にあたっては、以下の費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 定款用の認証手数料
  • 定款の謄本手数料
  • 定款の収入印紙代
  • その他の費用(実印、名刺などの備品など)

株式会社の場合は電子定款を選ぶ、形態にこだわりがなければ合同会社を選ぶなど、工夫次第で費用を抑えることは可能ですが、それでも10万円以上はかかるのが一般的です。これに加えて手続きを司法書士などの専門家に依頼した場合は報酬が発生するため、さらに費用がかかります。

また、保有している不動産の名義を法人に切り替える必要も出てくるため、以下の出費も生じることに気を付けてください。

  • 印紙税(売買契約書に貼付する)
  • 登録免許税(所有権移転など、手続きの際に印紙で納付する)
  • 不動産所得税(不動産を譲り受けた法人が納める)
  • 司法書士報酬(不動産登記申請を依頼した報酬として支払う)

デメリット2.赤字でも税金(法人住民税)を払わないといけない

2つ目のデメリットは「赤字でも税金を払わないといけない」ことです。個人事業主として不動産投資を行い赤字になれば、所得税・住民税を払う必要はありません。

しかし、法人として不動産投資を行い赤字になった場合、法人税はかからないものの、法人住民税を納める必要があるため注意が必要です。 法人住民税は、法人が所得に応じて納付する「法人税割」と、所得の有無に関係なく法人の規模に応じて負担する「均等割」の2つの要素から構成されています。赤字の場合、法人税割の部分については納める必要はありませんが、均等割の部分については納めなくてはいけません。

例えば、東京都の場合、法人の資本金等の額が1,000万円以下かつ従業員数が50名以下の場合、均等割は7万円となっています*

なお、具体的な税額は都道府県や市町村によっても異なるため、事前に管轄自治体の税率を確認しましょう。

※参考:東京都主税局「均等割額の計算例」

デメリット3.長期保有後の不動産売却において税制上不利

3つ目のデメリットは「長期保有後の不動産売却において税制上不利」であることです。個人として不動産を売却する場合、長期間保有していた不動産であれば、「長期譲渡所得」として扱われ、税制上の優遇が受けられる可能性があります。

項目 概要 税率
短期譲渡所得 売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年以下 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
長期譲渡所得 売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年超 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

一方、法人として不動産を売却する場合、物件の所有期間が長いからといって優遇されることはありません。売却時に生じた利益に33.58%(標準税率が適用される中小法人の法定実効税率)の税金がかかります。5年以上保有した不動産を売却する場合は、税率が低いという意味で個人事業主のほうが有利です。

デメリット4.勤務先からNGが出ることもある

4つ目のデメリットは「勤務先からNGが出る」ことです。サラリーマン(会社員)の場合、資産管理会社を設立して不動産投資を行うことが、就業規則により禁止されている可能性があります。

本業に影響しないと認められれば許可されることもありますが、具体的な扱いは個々の企業により異なるのも実情です。資産管理会社を設立するのが就業規則違反になるかの判断が難しい場合は、勤務先の就業規則を確認したうえで人事・総務など担当部署に問い合わせてみましょう。

デメリット5.簡単に廃業できない

5つ目のデメリットは「簡単に廃業できない」ことです。将来的に何らかの理由で不動産投資を続けられなくなったなど、やむを得ない事情で法人としての資産管理会社を廃業することもありえます。

ただし、廃業にあたっては法人格を消滅させるために解散・清算結了の登記をしなくてはいけません。その際、登記手続きや官報への告知掲載のために8万円程度の費用がかかります。これらの手続きを司法書士に依頼した場合、報酬も含めて数十万円の費用がかかることにも注意が必要です。

まとめ

不動産投資の法人化=資産管理会社の設立には、メリットとデメリットの両方があります。結局のところ、自分にとってメリットがデメリットを上回ると思えれば、前向きに検討する価値はあるでしょう。

ただし、現実的には税制上のメリット、つまり法人化した方が節税になるタイミングで資産管理会社の設立に踏み切る人が多いのも事実です。個々人によって適したタイミングは異なるため、適宜税理士に相談してください。

 
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「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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ページ作成日2025-07-01

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