不動産投資におけるキャッシュフローの考え方とは?利益と現金収支の違い | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産投資におけるキャッシュフローの考え方とは?利益と現金収支の違い
2025-05-26

個人の不動産投資においては「キャッシュフロー」が重要になります。不動産投資では、利益の出方は現金収支を意味するキャッシュフローとは異なります。経営成績として黒字でも、現金支出が大きすぎてキャッシュフローが赤字だと、不動産経営が困難になるおそれがあるのです。今回の記事ではキャッシュフローの考え方と重要性について紹介します。
キャッシュフローとは、一般に「現金収入」のことを言います。すなわち、一期間の現金収入と支出の差がキャッシュフローです。
キャッシュフロー=現金収入(キャッシュイン)-現金支出(キャッシュアウト)
このようにみると計算式はシンプルですが、改めて不動産投資における基本的なキャッシュイン・キャッシュアウトの要因を簡単に整理しておきましょう。
現金収入(キャッシュイン) | 現金支出(キャッシュアウト) | |
---|---|---|
毎月 | ・賃料収入 付帯設備の収入(駐車場・太陽光など) |
・管理手数料 清掃などメンテナンス費用 |
年数回 | ・固定資産税・住民税 | |
年一回 | ・所得税の還付 | ・所得税 |
不定期 | ・敷金の受取 | ・敷金の返還 退去時の原状回復費用 数年に一度の修繕、大規模修繕費用 |
※投資期間中に焦点をあてたもの。売買時の動きは除く
キャッシュインとキャッシュアウトの発生タイミングは、このように要素によって異なる点に注意が必要です。
月々のキャッシュフローにて黒字を維持するのがもちろん重要ですが、年間でみたキャッシュフロー、投資期間全体でみたキャッシュフローなども見ておく必要があります。それぞれの要素について簡単に紹介しておきます。
毎月発生するキャッシュフロー
収入は入居者から毎月受け取る賃料収入が大部分を占めます。月々のキャッシュフローの観点だけでなく、投資期間全体で考える場合には、賃料収入が不動産の経営期間中の収益の重要な土台となります。また、物件に駐車場がある場合には、月極の駐車料金、太陽光発電が設置されていれば、売電収入もあるでしょう。

支出に目を向けると、管理会社に支払う管理手数料があります。管理手数料にメンテナンスコストが含まれていない場合は、清掃や消耗品の交換費用などの支出がかかります。
年数回発生するキャッシュフロー
固定資産税と住民税は、年4回支払う仕組みとなっている自治体が多いです。支払いスケジュールは自治体によって少し異なる場合があるので、スケジュールを正確に把握しておきたいなら、自治体に取り扱いを確認しておきましょう。
なお、投資成績を考える場合、固定資産税は物件ごとにかかるため、投資物件に対する税金全てが不動産投資の「支出」として考えられます。一方で住民税は不動産投資以外の所得も含めた「総所得」に対してかかります。不動産の投資成績を把握するうえでは、不動産投資によってどの程度税負担が増えたのかを正確に把握しなければなりません。
年一回発生するキャッシュフロー
確定申告を経て生じた所得税は、延納制度を用いるなどの例外を除くと、3月に一括で支払います。会社員の方ですと、所得税は源泉徴収されていて、自分で支払う場面が少ないため、払い漏れに注意が必要です。
なお、確定申告の内容において不動産経営が赤字だった場合には、逆に赤字額に応じて還付を受けられます。所得税と住民税の還付についても、基本的に年に一度実施されます。ただし、振り込まれる時期は厳密には決められていません。
不定期で発生するキャッシュフロー
不定期で発生するキャッシュフローには、まず住民の入退去のタイミングにのみ発生するものがあります。収入としては敷金・礼金の受取、支出としては敷金の返還や退去時の原状回復費用があります。
そしてもう一つは、より少ない頻度で発生する修繕費用です。一部の設備の交換や壁・共用部分の修繕などは、数年に一度程度の頻度で発生します。また、10~15年に一度程度の頻度で、外壁の塗り替えや壁やタイルの下地補修といった、大規模修繕への費用がかかります。

特に修繕コストは、支出金額が大きいため、投資期間全体のキャッシュフローに大きな影響を与えます。月々のキャッシュフローを見るだけでは、実態を把握できないため注意しましょう。
利益とキャッシュフロー(現金収支)は普段意識していないと同じようなものだと考えがちですが、不動産投資においては違いがあります。この違いを正しくとらえておかないと、利益は出ているのに現金が枯渇するような状況に陥りかねません。
損益計上の有無とキャッシュフローで違いが出る主な部分をまとめました。
損益 | キャッシュフロー | |
---|---|---|
賃料収入 | 収益計上 | プラス寄与 |
付帯設備収入 | 収益計上 | プラス寄与 |
賃料の滞納分 | 収益計上 | ゼロ |
敷金 | 損益計上されない | 受取:プラス寄与、支払:マイナス寄与 |
減価償却費 | 費用計上 | ゼロ |
借入金 | 金利支払い部分を費用計上 | 金利+元本返済がマイナス寄与 |
税金 | 固定資産税・都市計画税などは費用計上 | あらゆる税金がマイナス寄与 |
修繕費用 | 工事規模や資産価値向上への寄与度合いにより費用計上しない場合がある | マイナス寄与 |
このように、実は損益計上とキャッシュフローの増減の寄与度合いは、異なる部分が多いのです。特に不動産経営のなかで影響が大きいものについて、簡単に紹介していきます。
減価償却費|費用計上されるが現金支出がない
減価償却費は、損益を見るときには費用計上されますが、現金の支出がありません。そのため「損益は赤字だがキャッシュフローはプラス」となり、所得が圧縮されるという現象が発生します。
減価償却費は、保有する不動産資産の帳簿上の価値を年々減らしていくための費用です。あくまで、帳簿上の価値を減らすだけなので、償却額を誰かに支払う必要はありません。また、帳簿上の資産価値と売値は必ずしもリンクしないので、帳簿上の価値が減っていても相対的に高値で売却できるケースもあります。
現金支出はありませんが帳簿上で、年々減少していく資産価値は、損益計算上は「費用」として扱われるルールとなっています。これは、しばしば不動産投資の重要な目的の一つである「節税効果」を生み出すメカニズムです。
借入金|元本は費用計上できない
借入金の返済では、まず元本返済部分は、現金が出ていきますが費用計上されません。借入金は、購入時点でバランスシート上の負債に既に含まれています。元本の返済は「保有する現金で借入金(負債)を減らす」行動であるため、費用に計上されないのです。
一方で、個人の不動産投資の場合、金利については通常バランスシート上に計上がありません。金利の支払い額には負債を減らすような効果はなく、新たなコストを負担することになるため、これは「費用」として認識されます。
そのためローン返済部分については、経費計上され、損益の減少に寄与します。なお、不動産事業が赤字の場合は、土地部分の借入に対する金利も経費計上できなくなるため、注意しましょう。
税金|税金によって計上されるものが異なる
税金についても、不動産事業として経費計上できるもの、できないものがあるので注意が必要です。基本的に毎年発生する税金でいえば「固定資産税・都市計画税」は、事業用の不動産を所有していることで発生するとみなされるため、経費計上ができます。
一方で、所得に対して計上される所得税や住民税は、不動産事業の経費とはなりません。これらは、個人の経済活動に対する課税とみなされるため、不動産事業の経費の対象外となるためです。
修繕費用|費用計上可否が複雑なので注意
一番複雑なのは、修繕費用の取扱いです。キャッシュフローの観点からは費用が発生すれば現金が出ていきますが、修繕費用の経費計上可否は、修繕の性質によって異なります。これは「資産価値を高めると期待される修繕は資産計上するため、その年の経費にできない」という原則があるためです。
とはいえ「資産価値を高めているか」どうかを判断するのが困難なため、次のような原則で判断します。
チェックポイント | Yesの場合 | Noの場合 |
---|---|---|
①修繕費20万円未満 | 費用計上 | ②へ |
②3年以内に発生が見込まれる修繕 | 費用計上 | ③へ |
③明らかに維持管理・原状回復のための支出か | 費用計上 | ④へ |
④資産価値を高める、施設の使用可能期間を伸ばす効果があるか | 資本的支出 (費用計上しない) |
⑤へ |
⑤修繕費が60万円以上かつ取得価格の10%以上か | 資本的支出 (費用計上しない) |
費用計上 |
たとえば、数百万円単位の出費となる大規模修繕は、①~③がNo、④がYesとなるため、多くの場合はその年に経費計上ができません。修繕を行った年はキャッシュフローが大幅にマイナスなのに損益は黒字で税金も発生するという、不動産の経営上難しい状況に直面するケースが多いため、注意しましょう。
なお、資本的支出に含まれた場合は、その金額は年々減価償却することとなります。ただし、減価償却期間は対象となる建物の法定耐用年数となるため、修繕費で負担した額全額が償却費として経費計上されるまでには、十年単位の期間がかかります。
不動産投資においては、損益とキャッシュフローで大きく性質が異なる点に注意が必要です。実は、企業経営においても似たようなケースは多々あるのですが、個人投資家としてアパート経営をしている場合は、特性をつかみにくいポイントとなるので注意しましょう。
特に多額の支払いが発生してキャッシュフローは悪化するのに、経費計上されないケースでは、現金が減っているのに税負担も減らないという二重苦になります。不動産経営が立ち行かなくなるリスクもあるので、リスクを理解したうえで、充分な現金を確保しておくのが重要です。

「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。

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