キャッシュフローに関連する不動産投資のよくある失敗と対策 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
キャッシュフローに関連する不動産投資のよくある失敗と対策
2025-05-16

不動産は、うまくいけば安定的な賃料収入を得られる投資先です。堅実な投資を実現するうえでは「キャッシュフロー(CF)」の管理が重要となります。
しかし「利益」と「キャッシュフロー」の考え方の違いや、キャッシュフローの経年に伴う変化などが、不動産投資の失敗の元となるリスクがあります。今回の記事では、キャッシュフローの管理を原因としたよくある失敗例と対策をまとめました。
キャッシュフローとは、現金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことを指します。実際に手元に現金が入ってくればキャッシュフローがプラス、その逆はマイナスです。
個人や家計の収支を中心に考えていると「損益」と同じようなものと考えがちですが、不動産投資においては確定申告で表出する損益とキャッシュフローはすみ分けて考えなければなりません。たとえば、会計(および確定申告上)の損益とキャッシュフローでは、主に次のような違いが出ます。
損益 | キャッシュフロー | |
---|---|---|
賃料収入 | 収益計上 | プラス寄与 |
付帯設備収入 | 収益計上 | プラス寄与 |
賃料の滞納分 | 収益計上 | ゼロ |
敷金 | 損益計上されない | 受取:プラス寄与、支払:マイナス寄与 |
減価償却費 | 費用計上 | ゼロ |
借入金 | 金利支払い部分を費用計上 | 金利+元本返済がマイナス寄与 |
税金 | 固定資産税・都市計画税などは費用計上 | あらゆる税金がマイナス寄与 |
修繕費用 | 工事規模や資産価値向上への寄与度合いにより費用計上しない場合がある | マイナス寄与 |
修繕費用やローン返済額のように、利益とキャッシュフローで金額が大きく異なる項目もあります。堅実な不動産投資を実現する上では、両者を正しくすみ分けたうえで、長期の計画を立てるのが重要です。
キャッシュフローの管理に関連するよくある失敗としては、たとえば次のようなものがあります。
- 減価償却費計上のキャッシュフローインパクトの過小評価
- キャッシュフローマイナスに伴う黒字倒産
- 将来のキャッシュフロー減少リスクの過小評価
- 損益の赤字への過度な警戒
それぞれのポイントについて、詳しく紹介していきます。
減価償却費計上のキャッシュフローインパクトの過小評価
減価償却費の計上による税金の圧縮インパクトを、適切に評価する必要があります。減価償却費は、キャッシュアウトを伴わないにもかかわらず、確定申告においては赤字を計上して、税負担を軽減します。
このときのインパクトは、仮に物件を5年以上取得する場合で、簡略化すると次のように考えられます。
減価償却費計上のインパクト
=1年間の減価償却費 ×(所得税率+住民税率 - 20.315%)× 減価償却費の計上年数
この「20.315%」というのは物件を5年以上取得した場合の譲渡税率と譲渡益に対する住民税率です。減価償却費を計上して帳簿上の資産価値を下げると、この部分は売却時に「売却益」を増やす要因となります。
売却益の20.315%は税金として徴収されるため、投資期間中に抑えた税額のうち、20.315%の部分は投資期間全体で見れば実質的に負担する形となるのです。
所得税率は累進課税であるため、本業などの年収が高い=所得税率が高い方ほど、減価償却費の計上に伴う税金の圧縮効果が大きくなります。この金額は、税還付もしくは不動産投資をしない場合に支払わなければならなかった税金の圧縮として、間接的にキャッシュフローにプラスの効果をもたらします。
その金額は意外なほど大きくなる場合もあります。たとえば、所得税率33%、住民税率は簡略化して10%のケースでシミュレーションしてみましょう。この方が新築の木造物件、建物部分の価格2,200万円で取得して運用するとします。
この時の減価償却計上のキャッシュフローのプラスインパクトは、つぎのとおりです。
減価償却費計上のインパクト = 100万円 ×(43% - 20.315%)× 22年 = 約499.1万円
つまり、このケースでもし22年間投資した場合は、約500万円のプラス効果があります。不動産の投資効果をキャッシュフローで正確に評価する時には、この金額を加味する必要があります。この影響を見落とすと、不動産投資の効果を過小評価することになるので、注意が必要です。
キャッシュフローマイナスに伴う黒字倒産
二点目は、キャッシュフローが枯渇した結果、利益が出ているのに不動産投資を続けられなくなってしまうことです。冒頭で紹介した通り、キャッシュフローと利益の発生タイミングや金額は必ずしもリンクしません。確定申告での計算上は黒字が出ていて所得税が発生するのに、キャッシュアウトが進む局面もあります。

たとえば、大規模修繕を行った年は注意が必要です。大規模修繕は、多くの場合資産価値を向上させる「資本的支出」とみなされます。その場合、この金額はその年の「経費」としては計上できず、資産の拡大と扱われます。
この出費分は「経費ではない」とみなされないため、税金額の抑制につながりません。その年は大規模修繕で多額の費用を支払って、さらにキャッシュフローに比して利益が多くなり、税負担も重くなる二重苦となるのです。
また、減価償却計上の期間が終了したあとの時期も、キャッシュフローと利益に乖離が生じます。ローン返済が続いていれば、減価償却の計上有無でキャッシュフローの金額に変化はありません。
一方で、減価償却が計上されないため、帳簿上の「利益」はキャッシュフローと比べて急増します。所得税の支払いによるキャッシュアウトが増大するため、黒字なのに現金が多く出ていく形となります。キャッシュアウトがあまりに大きくなった結果、投資を続けられず、意図しないタイミングで売却するケースも少なくありません。
将来のキャッシュフロー減少リスクの過小評価
キャッシュフローに目を向けて長期計画を立てないと、将来のキャッシュフローの減少リスクを適切に捉えられない可能性があります。不動産のポータルサイトで見られる利回りや満室時の賃料収入は、基本的に現時点の数値です。実質利回りなどを算出する時も、つい現時点の現金収入を重視してしまいます。
しかし、多くの場合不動産投資では、ローン返済期間の後半にかけて、主に次の3つの要因によりキャッシュフローが悪化しがちです。
- 減価償却費が計上できなくなることによる税負担の増大
- 大規模修繕費用の資産計上
- ローン返済における金利部分の縮小
このうち1点目と2点目は前の見出しで紹介したものです。いずれも投資を始めてから一定期間経過後に投資家のキャッシュフローを圧迫するケースが多いため、計画を立てるときには注意しなければなりません。

3点目ですが、確定申告においては、ローンの金利部分を「経費」にすることができます。他方、返済元本は負債の削減となるため、経費にはなりません。ローン返済は「金利部分+元本部分」で行うため、キャッシュアウトの方が経費の金額よりも大きくなります。
そして、投資家がローン返済方式において「元利均等返済」を選択していた場合、年々元本部分の返済額が増えて、金利部分は減っていきます。つまり、確定申告において経費計上できる部分が減り、利益が増えて税負担の増大要因となるのです。このとき返済額は金利が変わらなければ減少することはないので、キャッシュフローは変わりません。
以上のように、不動産投資では年々キャッシュフローが悪化する要因がいくつもあります。これらの要素を的確に加味してシミュレーションを立てなければ、不動産投資の効果を正確に評価できません。
損益の赤字への過度な警戒
損益の赤字とキャッシュフローの赤字を正確にすみ分けて考える必要があります。そうしなければ、やはり不動産投資に対する的確な判断が難しくなるでしょう。結論として、損益の赤字は必ずしも警戒する必要はありません。
特に、減価償却費の計上が大きいと、損益計算上は赤字になるケースがしばしばあります。そのときでも、キャッシュフローがプラスであれば、手元の現金が増えていくため、多くの場合は投資家にとって好影響となります。
一点だけ注意したいのは、物件の追加購入を行う時です。追加の物件購入をおこなうとき、金融機関は既存の保有物件の経営状況を評価します。保有物件が損益計算において赤字だと「経営状態が悪い」と判断されて次のローン審査に不利に働くリスクがあるのです。その場合には、黒字化を待つか、その物件を処分してから次の投資を検討しましょう。
手元の現金が減っていくキャッシュフローの赤字は基本的に避けたいですが、新築購入直後の客付けの時期や大規模修繕のタイミングなど、避けがたいケースもあります。
キャッシュフローが赤字になるタイミングや金額を見込んで、あらかじめ手元に現金を用意しておくことが大切です。手元資金が枯渇してしまうと、投資を継続できなくなるため、余裕資金の金額をしっかり管理する必要があります。
このように、次の物件購入を検討するタイミングを除いて、損益上の赤字は個人投資家にとって過度に警戒する必要はありません。一方で、キャッシュフローの赤字は、投資の継続性に影響を及ぼすため、あらかじめ対策を打っておく必要があります。
利益とキャッシュフローをすみ分けた考え方は、企業や個人事業の経営においてはごく一般的なものです。しかし、日常生活においては、個人の資金状況や家計について、両者を分けることはあまりないでしょう。
一方で、今回の記事で紹介した通り、不動産投資ではキャッシュフローと損益のすみ分けが重要です。個人の家計とは異なり「赤字だけど現金が増える」「黒字なのに現金は減っていく」といったように、キャッシュフローと損益の金額がマッチしない状況がしばしば発生するためです。
個人の規模で不動産投資を行う場合には、基本的にはキャッシュフローに着目した投資を行うのが望ましいといえます。着々とプラスのキャッシュフローを獲得できる投資が、堅実な不動産投資と考えるのがよいでしょう。また、どうしてもキャッシュフローが赤字になるタイミングを予測して、あらかじめ現金を厚めに持っておくのも重要です。
今回の記事をもとに、キャッシュフローを土台とした投資計画や投資管理を、実行してみましょう。

「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。

TEL.03-5357-7757
〒107-0052
東京都港区赤坂5-1-26 サンライズ赤坂ビル302号室
【営業時間】9:30~19:00
【定休日】土・日・祝
キーワード物件検索

Copyright (C) 全国の不動産投資・収益物件は株式会社リタ不動産 All Rights Reserved.