定期借地権付きマンションとは?売却を成功させるためのポイントも解説! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産

定期借地権付きマンションとは?売却を成功させるためのポイントも解説!

2025-05-13

 

定期借地権付きマンションは、不動産開発業者(デベロッパー)が地主から土地だけを借りて、建てたマンションです。

マンションの分譲価格が高騰し、開発できる土地が限られるなか、近年は買い手が付きやすい価格感や、土地を手放したくない地主のニーズなどを背景に、首都圏を中心に開発や販売が相次いでいます。

それでも、定期借地権付きマンションは供給数が所有権付きマンションと比べて多くないため、その仕組みやメリットについてご存じない方も少なくありません。

そこで、本記事では、定期借地権付きマンションと所有権付きマンションとの違いやメリットについて解説します。デメリットや、売却を成功させるためのポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

そもそも借地権とは?

旧法借地権は定期借地権と普通借地権が新設された1992年の借地借家法が施行される前の借地法に基づいた権利のことです。旧借地権とも呼ばれています。

旧法借地権は1992年8月よりも前に土地が賃借されていた場合に発生し、借地権者(借りる側)の権利が手厚く保護されているのが特徴。土地を貸し出す所有者(地主側)に正当な事由がない限り、契約更新すれば借地権者は半永久的に土地を借り続けられます。

また旧法借地権では、存続期間に定めのない場合、建物が朽廃すると借地権も同時に消滅します。一方、存続期間に定めがある場合、建物が朽廃しても借地権が消えず、再築が可能です。

定期借地権とは

定期借地権は1992年の借地借家法改正で新設された借地権です。契約の更新が認められないのが特徴で、契約期間の満了時には更地にして必ず地主に土地を返還しなければなりません。

定期借地権には、一般定期借地権と事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3つに大別されます。

  • 一般定期借地権:50年以上の借地権存続期間を設定し、期間満了時には、借地人が土地を更地に戻して返還したり、建物の買取請求をしなかったりする条件を定める借地権。
  • 事業用定期借地権:使途が事業用に限定された借地権。借地権の存続期間は10年以上50年未満で設定可能。
  • 建物譲渡特約付借地権:借地にある建物を地主が買い取るという特約がついた借地権。存続期間は30年以上で設定可能。

なお、近年の借地権付き新築分譲マンションは、その多くが一般定期借地権に基づいて建設されます。

普通借地権とは

普通借地権は、定期借地権と同様に1992年の借地借家法の改正とともに新設された借地権です。契約期間の期間満了後に借地権者が希望すれば契約を更新できます。

普通借地権は存続期間に上限がないものの、当初は30年以上、最初の更新で20年以上、2度目で10年以上の存続期間を設けなければなりません。借地契約の契約期間が満了しても、借地権者は建物が存在している限り更新を請求できます。

対して、地主は、正当な事由がなく更新を拒めず、従前の契約と同じ条件で更新したものとみなされます。つまり、借地権者は定期借地権と異なり、契約を更新すれば半永久的に土地を借りられます。

定期借地権付きマンションとは

定期借地権付きマンションは、不動産開発業者が定期借地権に基づいて、地主から借りている土地に建てたマンションのことです。

定期借地権付きマンションでは、契約期間満了時には建物を解体し、更地にして地主に返還するのが原則。そのため、居住者は契約期間が終了するまで住めますが、満了時には権利消失に伴い退去する必要があります。

不動産投資では、契約期間満了時に、地主からマンションを購入した区分所有者に立退料が支払われません。そのうえ、区分所有者は建物を取り壊す費用も負担することから、毎月管理費・修繕積立金に加え、建物取り壊し準備金*を負担する必要も生じます。

*解体準備金または解体積立金と呼ぶこともあります。

所有権付きマンションとの違い

所有権付きマンションは、区分所有者が建物と土地の両方について所有権を持つマンションです。所有権付きマンションと定期借地権付きマンションは、次のような違いがあります。

  定期借地権付きマンション 所有権付きマンション
分譲価格・流通価格 相場より2〜3割安い 相場どおり
立地条件 都心の好立地にある場合が多い 一般的な住宅街に多い
契約期間 50年以上の期間を設定できる なし
契約期間満了時の対応 建物を解体し、更地にして地主に返還する なし
支払義務 建物固定資産税、地代、建物取り壊し準備金(解体積立金) 建物固定資産税、土地固定資産税

表を見ると、定期借地権付きマンションは、立地条件に利点があることがわかります。立地条件に優れているだけでなく、間取りも広いため、不動産投資の目線で隠れた人気物件を探したい投資家におすすめだといえるでしょう。

ただし、定期借地権付きマンションは、所有権付きマンションに比べて分譲価格・流通価格が安かったり、地代や建物取り壊し準備金の支払い義務が生じたりする点に注意が必要です。

そのうえ、契約期間満了時には建物を解体し、更地にして地主に返還する必要があることから、契約の残存期間が短ければ短いほど売りにくくなる点にも注意しなければなりません。

定期借地権付きマンションの供給実態

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公益財団法人日本住宅総合センターの最新データによれば、1993年2月から、2024年3月31日までの間に収集した定期借地権付きマンションの分譲事例数は、810件、2万8,235戸に上ります。

出典:公益財団法人日本住宅総合センター「年度別収集事例数(戸建て住宅[区画]、マンション[戸])

上図を見てわかるように、定期借地権付き住宅の分譲事例数は2004年度を境に急減。一方、定期借地権付きマンションは新築マンションの市況に呼応して増減しているものの、ある程度の分譲事例数を2023年度までに維持しています。

つまり、定期借地権付きマンションは通常の分譲マンションと比べて流通数が少ないとはいえ、一定程度の需要があるといえるでしょう。

契約期間を終えた定期借地権付きマンションはまだ存在しない

定期借地権付きマンションが誕生したのは1992年8月です。

一方、一般定期借地権の契約期間は50年以上に設定しなければなりません。つまり、1992年8月から50年が経過していないため、実際に契約期間を終えた定期借地権付きマンションは存在しないというわけです。この点、定期借地権付きマンションはそのデメリットを断定するのが難しいといえます。

定期借地権付きマンションのメリット

定期借地権付きマンションが持つメリットは、次のとおりです。

  • 土地に固定資産税や都市計画税がかからない
  • 相場より安く購入できる
  • 立地が良い物件が多い
  • 間取りが広い物件が多い

これらのメリットは不動産投資の観点から定期借地権付きマンションを購入する際のインセンティブ(動機づけ)になるため、ぜひ参考にしてください。

土地に固定資産税や都市計画税がかからない

定期借地権付きマンションでは、区分所有者は土地を借りているに過ぎないため、土地に対する固定資産税や都市計画税がかかりません。

固定資産税と都市計画税は、不動産の所有者が支払う税金です。建物と土地それぞれに課税されますが、定期借地権付きマンションの場合、区分所有者に課される徴税義務は建物部分の固定資産税と都市計画税のみ。土地に関する固定資産税と都市計画税は地主が支払います。

そのため、定期借地権付きマンションの区分所有者は、所有権付きマンションと比べて固定資産税と都市計画税を抑えることが可能です。

相場より安く購入できる

定期借地権付きマンションは土地の購入費がかからないため、建物と土地両方に所有権のある所有権付きマンションと比べて、安く購入できる傾向にあります。

立地条件や建物のグレード、築年数などにより異なりますが、定期借地権付きマンションは一般的な所有権付きマンションと比べて2〜3割安い価格で購入可能です。毎月の地代や購入時に借地契約にかかる権利金などを支払う必要がありますが、それらの諸経費を合わせても一般的なマンション購入よりも費用を抑えられます。

ただし、最近の定期借地権が付いた新築マンションは借地契約期間の延長化や昨今の建築費の高騰を受けて、一般的なマンションと比べて分譲価格に差がない物件も多く見受けられます。

立地が良い物件が多い

定期借地権付きマンションは、都心や駅の近くといった立地条件の良い物件が少なくありません。地主が手放したくないと考えている土地に建てられる場合が多いためです。

定期借地権付きマンションは立地条件が多いため、賃貸オーナーである区分所有者は賃借人を見つけるのが容易です。そのため、高い家賃を設定できます。家賃を高く設定できる反面、分譲価格が安いため、高い投資対効果を得やすいとされます。

ただし、定期借地権付きマンションが立地の良い場所に建てられているのは、あくまでも最近の傾向です。そのため、定期借地権が新設された借地借家法が施行されて間もない1990年代に建てられた物件のなかには、必ずしも立地条件がいいとはいえない物件もあります。

間取りが広い物件が多い

定期借地権付きマンションは間取りが広い物件が多いとされます。所有権付きマンションと比べて資産価値が上がりにくく、物件そのものの価値を間取りで高め、入居者を確保する必要があるためです。

間取りで物件の価値を高めている定期借地権付きマンションの代表例には、東京都文京区最大規模の物件とされる「リビオシティ文京小石川」があります。2026年11月下旬に竣工予定の同マンションを販売する日鉄興和不動産株式会社は現在、1億円〜1億3,000万円の分譲価格に対して広い2LDK〜4LDKの間取りを訴求ポイントの1つとし、入居者を募っています。

定期借地権付きマンションが売れない理由とデメリット

定期借地権付きマンションが売れない理由とデメリットは、次のとおりです。

  • 希望とする居住期間よりも短い期間しか住めない場合がある
  • 住宅ローンが組みにくい
  • 契約期間が満了したら土地を地主に返還する必要がある
  • 維持費が割高になる

いずれも不動産投資に取り組むうえでの懸念要素になりうるため、定期借地権付きマンションの購入をご検討の方はご留意ください。

希望とする居住期間よりも短い期間しか住めない場合がある

定期借地権付きマンションは入居者が希望とする居住期間よりも短い期間しか住めない場合があります。借地契約の残存期間が設定されている関係で、入居者はその希望にかかわらず、契約期間満了後に退去しなければならないためです。

借地契約の残存期間による制約は、不動産投資の可能性を狭めてしまう可能性があります。たとえば、入居希望者が賃貸契約を締結後15年程度は住みたいと考えているにもかかわらず、借地契約の残存期間が20年しかない場合、入居先の選択肢からその物件を外してしまうでしょう。

住宅ローンが組みにくい

定期借地権付きマンションは金融機関の審査が厳しく、住宅ローンを組みにくい傾向があります。土地部分の所有権が地主にあることから、土地に対する抵当権の設定は容易ではないうえに、借地契約の残存期間を超える借入期間で住宅ローンを組むことができないためです。

そのため、金融機関の多くは、定期借地権付きマンション向けのローンについて、融資期間を借地契約の残存期間内に設定しています。また完済時に借地契約の残存期間が10年以上あることを条件に課すローンを展開する金融機関も少なくありません。

他方、定期借地権付きマンションは担保評価額が低くなりやすいとされます。そのため、区分所有者は組めるローンの額が少なくなる反面、多くの頭金を求められる可能性もあります。

契約期間が満了したら土地を地主に返還する必要がある

定期借地権付きマンションは契約期間が満了したら、土地を更地にして地主に返還しなければなりません。

土地を返還する義務が生じることから、入居者は契約期間の満了後、マンションに住み続けられません。つまり、入居者はいくら住み心地がよくても、来るべきタイミングでマンションを退去し、次の住居を探して住み替えをする必要があるのです。

一方、区分所有者にしても、マンションを財産として未来永劫残せるわけではないことに留意する必要があります。

維持費が割高となる

定期借地権付きマンションには、地代と建物取り壊し準備金という一般的な所有権付きマンションにはない維持費が発生します。

地代は、不動産開発会社や区分所有者といった借地権者が地主に支払う土地の賃料です。金額はマンションによって異なり、契約内容によっては固定資産税や都市計画税よりも高くつくほか、地価の上昇に伴って値上がりするケースがあります。

一方、建物取り壊し準備金は、区分所有者が将来の建物の解体に備えて、積み立てていくお金です。さらに、定期借地権付きマンションは所有権付きマンションと同様に管理費や修繕積立金が発生することから、区分所有者は相当額の維持費を毎月支払わなければなりません。

定期借地権付きマンションの売却を成功させるためのポイント

定期借地権付きマンションの売却を成功させるためのポイントは、次の2つです。

  • 借地契約の残存期間が長いうちにマンションを売り出す
  • 定期借地権付きマンションの売却に強い不動産会社に依頼する

これらのポイントを押さえると、売却という出口戦略が成功しやすくなるため、ぜひ参考にしてください。

借地契約の残存期間が長いうちにマンションを売り出す

定期借地権付きマンションを売却する際は、借地契約の残存期間が長いうちに売り出しましょう。残存期間が長いうちに売りに出せば、次の買主が収益物件として使用できる期間が長くなり、好条件で売れる可能性が高くなるためです。

好条件で売れる可能性が高い残存期間の年数は10〜20年以上です。この年数であれば、借主が長期にわたってマンションに住めます。同時に、「希望とする居住期間よりも短い期間しか住めない場合がある」という定期借地権付きマンションのデメリットも最小化できるといえるでしょう。

定期借地権付きマンションの売却に強い不動産会社に依頼する

定期借地権付きマンションを売却する際は、定期借地権付きマンションの売却に強い不動産会社に売却を依頼しましょう。定期借地権付きマンションの売却に強みを持つ不動産会社は、独自の販売ネットワークやノウハウを持っている可能性が高いためです。

このような不動産会社に売却を依頼すれば、比較的売りにくいといわれる定期借地権付きマンションでも、好条件で売却できる可能性が高まるでしょう。

定期借地権付きマンションが向いている人

不動産投資の観点で定期借地権付きマンションが向いているのは高い維持費を加味しても、立地条件や間取りの良さを重視する人です。このような投資の判断基準を持つ人は、空室物件だけでなく、入居者の退去リスクが小さいオーナーチェンジ物件でメリットを享受しやすいでしょう。

また、定期借地権付きマンションは、収益物件を子どもに相続することを考えていない人にも向いています。このような人は、契約期間が満了した後の物件の取り扱いについて、気にする必要がありません。

まとめ

定期借地権付きマンションは一般的に売りにくいといわれますが、相場より安く購入できたり、立地条件がよかったりするメリットがあります。これらのメリットに加え、売却を成功させるためのポイントをおさえて売却活動を行えば、買い手を見つけるのに苦労しないでしょう。

また定期借地権付きマンションは家賃を高く設定できる反面、分譲価格が安いため、表面利回りも高い傾向にあります。この点、定期借地権付きマンションは投資効率が高いといえるでしょう。

しかし、定期借地権付きマンションは維持費が割高だったり、契約期間の満了後に土地を地主に返還する必要があったりするデメリットがあるのも事実です。そのため、収益物件として定期借地権付きマンションを購入する際は、メリットとデメリットを比較検討して判断することをおすすめします。

 
私たちリタ不動産は、全国の不動産投資・収益物件(投資物件・収益不動産)を取り扱う不動産会社です。社名の『リタ』は「利他の精神」「自利利他」から名付けられたもの。その背景には、自分の利益を最優先するのではなく、お客さまの利益を最優先としたサポートや提案を行うというスタンスがあります。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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ページ作成日2025-05-13

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