2025年1月「宅建業法施行規則」改正で不動産の囲い込み規制がスタート! | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産

2025年1月「宅建業法施行規則」改正で不動産の囲い込み規制がスタート!

2025-03-27

 

国土交通省は2024年6月、宅地建物取引業法施行規則を改正し、2025年1月1日より、宅建業者に対してレインズへの物件の取引状況の登録を義務付けました。レインズへの取引状況の義務付けにより、実質的な不動産仲介の「囲い込み」規制がスタートしました。

これを踏まえ、本記事では、施行規則改正の内容や、改正が不動産業界にもたらす影響について解説します。囲い込みを可能にする不動産仲介の問題点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産取引における「囲い込み」とは?

囲い込みとは、売却依頼を受けた宅建業者(元付業者)が、自社のみで売買の取引を完結させるため、自社の仲介による購入希望者以外には意図的に物件を売らないようにすることです。

具体的には、虚言を用いて他の宅建業者からの購入の申し込みを拒んだり、購入判断に必要となる物件情報を購入希望者に求められても開示しなかったりする行為が囲い込みの典型例に挙げられます。

元付業者が囲い込みをするのは、売主と媒介契約を結んだ元付業者が買主を見つければ、売主と買主の両方から仲介手数料をもらえる「両手取引」ができるためです。実際、不動産仲介の手数料は、売買であれば片手取引で一般的に「(売買価格×3%+6万円)+消費税」が上限ですが、両手取引をすれば2倍の手数料を受け取れます。

両手取引自体は、決して脱法行為というわけではありません。しかし、他社からの購入希望を排除する「囲い込み」は、禁じられています。

それでも金銭上のインセンティブ(動機付け)の大きさから、一部業者による囲い込みが後を絶たないのが実情です。

囲い込みが生まれる原因 不動産取引における情報の非対称性とは

不動産仲介で囲い込みが可能なのは、元付業者と買主側を仲介する宅建業者(客付業者)との間に情報の非対称性が存在するためです。

情報の非対称性が生まれるのは、元付業者が、客付業者からの「物件確認」や「資料請求」といった依頼に対して情報を100%開示する法的義務がないことに起因します。

情報を開示する義務がなければ、元付業者は、両手取引の実現を妨げる要素を排除しようと行動します。その行動が加速する結果、囲い込みを企てる元付業者は、物件の販売図面を作成しないといった形で、客付業者側の購入希望者に具体的な情報を提供しなくなります。

さらに悪質化した結果として起きるのが、問い合わせの拒否です。この手口では、元付業者は、客付業者からの問い合わせに対し、「商談中のため紹介できない」「売主の都合で内見できません」などといい、虚偽を用いて拒否するようになります。

こうした情報の非対称性により客付業者による囲い込みが発生するのは、ひとえに不動産仲介の仕組みが複雑なことに端を発しますが、実際はそれだけではありません。宅建業者が利用する不動産情報共有システム「レインズ(REINS)」の持つシステムの脆弱性も、囲い込みの発生要因の1つです。

1社にのみ売却の仲介を依頼する「専属専任媒介契約」か、「専任媒介契約」を売主と締結した元付業者は、通常であれば、レインズ上のデータベースに物件を登録しなければなりません。

しかし、ステータス管理の登録には法的根拠が存在せず、物件を登録するかどうかは元付業者の判断に左右されていました。そのため、元付業者は登録してもすぐに情報を削除したり、レインズに物件を登録しなかったりすることで、客付業者に物件を売却しないようにすることが可能だったのです。

不動産の囲い込みが売主にもたらすデメリット

不動産の囲い込みは売主に売却価格の低下と売却期間の長期化というデメリットをもたらす可能性があります。

前者の売却価格の低下が発生するのは、囲い込みによって、物件の情報が周知されず、購入希望者の数が限られてしまうためです。購入希望者が少ないと、買い手同士による価格競争が起きません。結果として、売却価格が下がってしまうのです。

一方、後者の売却期間の長期化は同じ原理で発生します。囲い込みによって、ひとつの仲介会社という非常に限られたなかで購入希望者を見つけようとするため、売却にかかる時間が長引くことは容易に想像できるでしょう。

売却期間が長期化する間に、維持費や税金がかかり、最終的には、売却条件が悪くなるケースがあります。

宅地建物取引業法施行規則の改正内容

ここからは、囲い込みの規制がスタートする宅建業法施行規則の改正内容について解説します。

囲い込み規制の鍵を握るとされるレインズについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

囲い込み規制の鍵を握るレインズ(REINS)とは?

レインズとは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、不動産仲介業務を担う宅建業者間の物件検索システムです。宅建業法の改正により、1988年に導入されました。

レインズでは、元付業者が、売却物件や賃貸物件の情報を登録すると、全国の宅建業者もシステムを通じて、当該物件情報を閲覧することが可能です。

レインズでは、2016年より、物件の売主やほかの宅建業者が、当該物件への取引の申し込み状況を確認できる「ステータス管理機能」が導入されています。ステータス管理機能により、売主が自ら「売主専用画面」にアクセスし、登録された物件の状況を「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3区分から確認することが可能です。

しかし、元付業者によってはレインズへの登録が厳守されていないこともあり、売主は確実に正しい情報を確認できるとは限らないという問題点もありました。

レインズ登録が義務化、取引状況の適切な報告が必要に

ステータス管理機能の実効性を確保するため、2025年1月1日より、宅建業者に対し、レインズへの物件の取引状況の登録が義務付けられることになりました。

取引状況が義務付けられても、売主がその状況を確認できなければ意味がありません。そこで、売主が自らの取引状況を確認しやすくなるよう、レインズが物件を登録した際に宅建業者から売主に交付される「登録証明書」に、2次元コードを記載するようシステムの仕様が変更されます。

なお、システムの仕様変更については、閣議決定された「規制改革実施計画」に基づく措置です。

ステータスの誤登録は指示処分対象に 不動産業者が注意すべき点

宅建業者がレインズに登録した物件について、物件の販売状況と登録ステータスに相違がある場合は、宅建業法第65条第1項に基づき指示処分の対象となります。

指示処分とは、宅建業者や取引主任者を対象にした行政上の不利益処分(監督処分)の1つです。違反行為の解消を目的とした処分命令で、宅建業者が受ける監督処分のなかで最も軽い処分ですが、従わない場合は業務停止処分の対象となる場合があります。

施行規則改正が不動産業界にもたらす影響

施行規則改正が不動産業界にもたらす影響には、次の3つがあります。

  • レインズ登録
  • 売主に対するレインズの利用方法の説明強化
  • レインズ活用における内部体制の強化

このうち、売主に対するレインズの利用方法の説明強化については、収益物件の売却を検討する賃貸オーナーにとっても関わりが深いため、ぜひ参考にしてください。

業者によるレインズ登録の徹底義務と運用上の注意点

物件の販売状況と登録ステータスが異なる場合だけでなく、更新が遅れた場合も指示処分の対象になる可能性があることから、レインズへの登録が徹底されると考えられます。

売主へのレインズ活用説明が義務化、説明義務の範囲と実務対応とは

今後は元付業者が売主に対して、レインズのステータス管理機能の利用方法をより丁寧に説明するようになると考えられます。

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の改正により、元付業者はレインズで取引状況の登録ステータスを確認できることを売主に分かりやすく説明するよう求められるようになるためです。

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の改正を踏まえ、国土交通省は、施行規則の改正内容を盛り込んだ売主向けリーフレットを発行しています。

社内体制の見直しが必要に レインズ対応の業務フロー改善ポイント

宅建業者各社では、レインズのステータス管理機能を正確に運用するため、内部体制が強化されると考えられます。

登録ステータスの更新が遅れれば、意図せず囲い込みとなって監督官庁より罰則を受けるリスクが高まるためです。リスクの高まりを踏まえ、宅建業者各社は、内部のチェック体制を強化するとともに、必要に応じて新たなシステムやサービスを活用するようになると考えられます。

2025年1月よりレインズシステムの改修も実施

2020年7月17日に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づき、2025年1月よりレインズシステムの改修も実施されます。

ここからは、システムの改修内容について解説します。

新たに追加されるレインズ必須項目とは 入力漏れ防止のポイント

規制改革実施計画に基づく、改修内容は次のとおりです。

  1. 売買物件の既存入力項目の必須化
  2. 物件削除時のメッセージ表示の追加
  3. 売買物件(専属専任および専任媒介)の証明書に売買確認画面への二次元コードの追加

このうち、留意すべきは、売買物件の既存入力項目の必須化です。必須化された項目については次のとおりとなっています。

引用:公益財団法人東日本不動産流通機構、公益社団法人中部圏不動産流通機構、公益社団法人近畿圏不動産流通機構、公益社団法人西日本不動産流通機構「レインズシステム改修のお知らせ

上記項目の必須化により、物件の登録に際してこれらの項目を入力しない限り、システムが受け付けなくなります。今回の改修は不動産関連データの量と質の向上が目的だとされますが、入力が必須な項目の増加により、取引の透明性が確保され、囲い込み防止にもつながると考えられます。

なお、登録必須項目の増加により、国土交通省が2024年4月1日に開始した「不動産情報ライブラリ」に掲載されている「成約価格情報」が充実し、不動産流通のさらなる活性化が期待されています。

まとめ

2025年1月施行の宅建業法施行規則改正は、これまで野放し状態だった「囲い込み」行為の規制につながる重要な措置です。

今回の措置だけで、不動産仲介のモラルハザードといえる囲い込みが撲滅にまで進展する可能性は低いですが、国土交通省が囲い込み規制に乗り出したこと自体が大きな変化といえます。

国土交通省は今後も囲い込み規制の強化に向けた法規制を新たに講じる可能性があるため、法改正の動向に注視しましょう。

 
私たちリタ不動産は、全国の不動産投資・収益物件(投資物件・収益不動産)を取り扱う不動産会社です。社名の『リタ』は「利他の精神」「自利利他」から名付けられたもの。その背景には、自分の利益を最優先するのではなく、お客さまの利益を最優先としたサポートや提案を行うというスタンスがあります。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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弊社の目的はお客さまの資産形成をお手伝いすることです。収益物件の売買を通じてお客さまのビジネスパートナーとして「常に誠実である」ことをお約束します。不動産投資は長い目線で取り組まねばならない投資です。棟目の購入・売却から資産入れ替えの再購入まで末永くお付き合いするために、メリットのみならずリスクやデメリットもしっかりと告知します。 物件情報は精査したもののみ発信するほか、節税相談や金融機関のご紹介など、不動産投資を通じた資産形成をトータルサポート。お客さまが安心して不動産投資に取り組めるように尽力いたします。気になること、不安なことがあればいつでもお気軽にご相談ください。
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