アパート大規模修繕のいろは 費用・頻度から資金準備のポイントを解説 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
アパート大規模修繕のいろは 費用・頻度から資金準備のポイントを解説
2024-12-26
10〜15年程度に1度実施される大規模修繕は、アパート経営の年間のキャッシュフローや投資の成否を大きく左右するプロセスです。
この修繕は、他の年と比べて大幅な支出増大要因となるため、あらかじめ計画を立てて、資金準備を進めておく必要があります。今回の記事では、大規模修繕において整理すべきポイントについて紹介します。
目次
大規模修繕とは、アパートやマンション等集合住宅で実施されるメンテナンス・修繕のうち、高額で規模の大きい工事や設備交換の総称です。細かいメンテナンスや修繕は、必要に応じて定期的に行います。入居者の退去時には、その部屋の原状回復や修繕も実施しています。
しかし、外壁塗装や防水機能など、頻繁に修繕できないものの、定期的に更新しなければならない箇所も存在します。大規模修繕は、10年〜15年に1度程度のサイクルで建物全体の大掛かりなリフォームや修繕を実施するものです。
適切な大規模修繕により、建物の機能や居住環境を維持できます。資産価値の改善や入居者の獲得や賃料維持にも効果を発揮するでしょう。また、設備の破損による事故や火災・停電などいくつかの災害を予防するうえでも重要です。
大規模修繕ではまとまった金額の費用がかかるため、実施年のキャッシュフローは大幅に悪化することとなります。これ自体は避けられないため、事前に大規模修繕に対応する余力を残しておくのが大切です。
大規模修繕の主な施工内容と実施周期の目安は次のとおりです。
周期 | 主な実施内容 |
---|---|
5年ごと | ベランダ・廊下・手すりの鉄部塗装・防水処理、給排水管の高圧洗浄 |
10年ごと | 外壁の塗装・防水処理、屋根の塗装・葺き替え・防水処理、土台の防蟻処理、給水ポンプの交換 |
10〜15年 | 給湯器・エアコン・浴室設備・キッチンの交換 |
30年〜 | 給排水管・貯水槽・エレベーターの交換 |
この目安によると、およそ5年ごとに「ベランダ・廊下・手すりの鉄部塗装・防水処理、給排水管の高圧洗浄」が発生する周期がある計算となります。いわゆる大規模修繕の実施時期のほかに、5年程度のサイクルで中規模のメンテナンスコストがかかるタイミングがあることを認識しておきましょう。
国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」では、周期ごとの施工内容と費用の目安が1戸あたりで掲載されています。こちらを参考にしつつ、主な施工の実施内容をまとめると次のとおりです。
築年数 | 5〜10年 | 11〜15年 | 16〜20年 | 21〜25年 | 26〜30年 |
---|---|---|---|---|---|
ベランダ・階段・廊下 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ |
室内設備 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | ||
浴室設備 | ⚫︎ | ⚫ | |||
給湯器 | ⚫︎ | ⚫ | |||
排水管の洗浄 | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | ⚫︎ | |
給排水管の交換 | ⚫ | ||||
屋根・外壁塗装 | ⚫︎ | ⚫ | |||
1Kの1戸あたりのコスト目安 | 7万円 | 52万円 | 18万円 | 80万円 | 18万円 |
1LDK〜2DKの1戸あたりのコスト目安 | 9万円 | 64万円 | 23万円 | 98万円 | 23万円 |
以上の修繕で、1Kであれば1戸あたり合計175万円、1LDK〜2DKであれば合計217万円の費用がかかる想定です。一般には11年〜15年および21〜25年のタイミングで実施するものを「大規模修繕」といいます。総額はアパートの規模によりますが、しばしば数百万円単位の出費となるため、注意が必要です。
上記で紹介した大規模修繕の施工について、その内容をさらに詳しく紹介します。
ベランダ・階段・廊下
これらの設備については、5年程度のサイクルで局所的な修繕が発生すると考えておきましょう。階段の手すりの修繕、塗り直しや内装の壁紙の張り替えなどが想定されます。放置すると一気に多くの施工を余儀なくされるので、5年サイクルをめどに順次更新していくのが適切です。
室内設備
室内設備は、10年程度のサイクルで更新するのが一つの目安です。基本的に設備の交換が中心となります。たとえば以下のような設備の交換を、住民の退去時などに実施します。
- エアコン
- 照明器具
- キッチン
- トイレ
- 防災設備
各種設備について性能の良い状態を保つことで、スムーズに入居者を獲得できるでしょう。
浴室設備
各居室の浴室は10年〜15年ほどをめどに改修や設備の交換・更新などを進める必要があります。浴室の環境は生活する上で重要な要素であるため、古い設備や不具合を放置すると入居者の獲得に影響が出るリスクが高いと言えます。
湯沸かし機能や蛇口、湯船、排水など基本機能に問題がないのは前提として、新しい浴室設備の導入を検討すべきケースも考えられます。
給湯器
給湯器も10〜15年程度で寿命が来ると想定しましょう。次第に不具合が多くなって、お湯が出にくくなります。古い給湯器を無理して使用すると住環境が悪くなりますし、光熱費高騰の要因にもなります。空室が出た時の原状回復のついでに、順次交換していくのが得策です。
排水管の洗浄
排水管の洗浄は、5年程度のサイクルでこまめに実施していくのが適切です。排水管に汚れが溜まると、つまりや悪臭の原因となります。メンテナンスを怠ると、本来は長期間にわたって使用可能なはずの設備であるにもかかわらず、劣化を早める危険性もあります。
給排水管の交換
30年ほど経過したら、給水管・排水管の交換を検討しましょう。適切にメンテナンスしていたとしても、こうしたパイプは徐々に経年劣化が進みます。放置していると水漏れや詰まりなど水道関連のトラブルが増える原因となるでしょう。
水道は生活する上で大切なライフラインの一つです。不具合を放置すると退去者の増加を招く恐れもあります。
屋根・外壁塗装
屋根や外壁の塗装は、10〜15年程度が目安です。雨風にさらされる塗装は、経年とともに徐々にはげ落ちていきます。見た目が悪くなるのはもちろんですが、塗料がもつ耐水性・耐候性などの効果も低下します。放置すると建物の劣化を早める原因となるのです。
屋根と外壁の塗装は、大規模修繕の中でもまとまった費用がかかる工事の一つです。前もって資金計画を立てていきましょう。
大規模修繕で必要になる資金は、計画的に準備しておく必要があります。ローンを借りられるケースもありますが、基本的にはアパート経営を通じて得た資金を充てるのが堅実です。
長期計画を立てて資金を積み立てる
長期の収支計画や返済計画を立てて、まとまった費用に対応しておけるようにしましょう。計画を土台として将来の費用を負担できるように、不動産で獲得した収益を全て使い切らずに積み立てましょう。投資資金を出し入れしている口座とは別の修繕資金の積立用口座を設定して、分けて管理するのも一案です。
また、これから投資をする場合には、大規模修繕によるコストが将来発生することを確認したうえで、それでも期間を通じて十分な収益を得られる物件に投資しましょう。
リフォームローンの活用を検討する
資金が不足したときは、ローンの活用も検討するのも一案です。物件購入時の不動産ローンと比べると数は減るものの、不動産のリフォーム費用に充てられるローンが一部存在します。
単純に修繕費用が足りないときや、戦略的に現金を残しておきたいときには検討しましょう。ただし、リフォームローンは借金なので、利用すると月々のローン負担が増えることになります。利用する際には、収支への影響を慎重に確認しましょう。
物件を売却して現金化する
大規模修繕が必要になる前に、物件を売却するのも一つの方法です。たとえ資金が足りるとしても、大規模修繕の費用負担は収支の悪化要因となります。当然ながら投資成績にも影響します。
市場環境や残債の状況次第ですが、売却して現金化することにより、将来の大規模修繕コストの負担を回避した方が経済的なケースも想定されます。特に木造アパートの場合、新築から保有した場合22年で減価償却が終了し、収支が大幅に悪化します。
21-25年の大規模修繕を実施するのか、その前に売却してしまうのかは重要な判断ポイントです。長期の収支計画を立てながら、あらかじめ方針を決めておくのがよいでしょう。
大規模修繕は、アパート経営を長期間続ける上で避けられないプロセスです。まとまった費用がかかるため、修繕を機に急速に経営がひっ迫するオーナーも少なくありません。
このリスクを回避するには、長期の収支計画を立てるときに、大規模修繕のコストを適切に見込むことが重要です。大規模修繕には多額の費用が必要となり、その金額は通常の年間収益を大きく上回ることがあります。そのため、単年の収支で吸収するのは困難なので、あらかじめ資金を積み立てておくことも大切です。日頃から手元資金の余裕度を意識して、堅実なアパート経営を維持しましょう。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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