不動産投資の初心者向けシミュレーション方法を解説 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産投資の初心者向けシミュレーション方法を解説
2024-11-22
不動産投資を検討するときには、収支やローン返済の可否についてシミュレーションが必要です。今だけでなく将来の見通しを持つことで、より精緻な投資判断が可能となります。
今回の記事では、不動産投資を検討するときのシミュレーション方法を解説します。初心者でもエクセルなどで計算を実践できるよう、簡易な計算を実例と共にまとめました。不動産投資を検討するときの参考にしてください。
不動産投資の意思決定においては、主につぎの3点を把握するためにシミュレーションを策定することが大切です。
- 資金がタイトになるタイミングを把握する
- ローンを最後まで返済し続けられることを確認する
- 目標通りリターンが期待できるかを認識する
それぞれのポイントについて詳しく紹介します。
資金がタイトになるタイミングを把握する
不動産投資では、10年単位の長期投資を計画する方が多いです。投資開始時点では収支に問題がなく、資金に余裕があって見えても、将来のどこかのタイミングで収支が悪化する可能性があります。
そのときに資金が枯渇して困ることのないように、あらかじめ潤沢な資金を用意しておかなければなりません。精緻な資金計画を立てるために、まずはシミュレーションを立てるのが大切です。
ローンを最後まで返し続けられることを確認する
二つ目に、ローンを最後まで返済し続けられることを確認するためにシミュレーションを行います。ローン返済を滞らせないことは、不動産投資を続ける上で最低限必要な点のひとつです。
もしローンの返済が困難になれば、物件の売却して投資を終了せざるを得なくなります。また、将来の収入の悪化や支出の増加により、返済が厳しい時期を経験する可能性があります。そのときに備えて、返済原資を用意しておかなければなりません。
目標通りリターンが期待できるかを認識する
最後に、目標のリターンが期待できるかを確認します。資金が枯渇しない、ローン返済が滞らないというのは、不動産投資における必要条件でしかありません。投資の意思決定を下す上では、投資期間を通じて自分が期待するリターンを獲得できるかを確認する必要があります。
その瞬間や直近1年間の収益性は利回りで確認できますが、将来の収益性を捉えるためには、シミュレーションを実施して将来の収支まで加味するのが大切です。
将来のシミュレーションをするうえでは、次の要素を考えて計算する必要があります。
- 初期投資額
- 賃料収入
- ローン返済額と金利の見通し
- 減価償却費
- 税金や経費(メンテナンス・修繕コスト含む)
- 大規模な修繕の頻度とコスト
- 所得税や住民税
それぞれのポイントについて、簡単に紹介します。
初期投資額
期間全体の投資収益を考えるときには、初期投資額が必要です。これについては投資開始前にある程度精緻に見積もりが可能なので、今投資を考えている物件の条件を確認しておきましょう。
物件本体の価格だけでなく、諸費用まで加味してシミュレーションをしてください。投資に対する考え方にもよりますが、シンプルに投資効果を捉えるうえでは、総額からローン借入を差し引いた自己資金額を使用すると良いでしょう。
賃料収入
賃料収入は、不動産投資における収益の主な源泉となります。ポータルサイトや不動産会社の紹介により、投資を検討する物件の賃料収入は確認できますが、将来を見据えるとつぎの不確実性がある点に注意が必要です。
- 空室リスク
- 賃料の減少
資料で確認できる賃料は、基本的に満室前提となっています。実際に投資すると、空室発生により賃料収入が減少します。一つの目安として、年間で10%ほどの空室が発生する想定で計算するのが一般的です。もし、空室率についてより精緻なデータが得られるなら、そちらを参照しましょう。
また、基本的に経年劣化と共に、物件の賃料収入は下がる傾向にあります。年間0.5%~1.0%程度は賃料が下落する想定で、毎年の収入を予測するのがよいでしょう。
ローン返済額と金利の見通し
投資開始時点のローン返済額は、Webサイト上のシミュレーションツールなどで簡単に確認できます。しかしながら、もし変動金利でローンを契約する場合、将来金利変動と共に返済額が変わる可能性があります。
近年の日本は歴史的に見て金利が低い環境が続いているため、どちらかというと金利上昇による返済額増大のリスクを警戒する必要があるでしょう。ただし、将来の金利変化を予測するのは困難です。そのため、実際に適用される金利に一定のバッファを置いてシミュレーションを立てるのがよいでしょう。
減価償却費
年間の収支はつぎに紹介する税金額に影響を与えるため、費用部分も一定の制度で予測を立てる必要があります。減価償却費は、実際の現金支出を伴わず費用計上して見かけ上の所得圧縮が可能です。個人の不動産投資では、基本的に物件の建物部分の価格を元に毎年定額で費用計上していきます。
新築の場合は、以下の耐用年数がそのまま減価償却期間となり、1年あたりの償却額は「建物価格÷償却期間」となります。
- 軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合)|19年
- 木造|22年
- 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造|47年
中古の場合は「法定耐用年数×1.2 - 取得時点の築年数」が償却期間です。例えば、築10年の物件の償却期間は、22年×1.2 - 10年で計算して16年となります(端数は切り捨て)。
税金や経費(メンテナンス・修繕コスト含む)
不動産経営において発生する費用負担を適切に見積もっておく必要があります。まず、月々のつぎのような運営コストです。
- 管理費
- 小規模の修繕・メンテナンス費
- 入居者募集に伴う広告費
さらに、税金については以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 所得税・住民税
このうち、所得税・住民税以外は概ね物件の規模に比例して金額が大きくなる要素です。固定資産税は資産評価額の1.4%がベースとなるためシンプルですが、他の金額を把握するのは困難です。不動産会社などから有効なデータが得られない場合は、運営コストと固定資産税を合わせて賃料収入の20%と見積もるのがよいでしょう。
所得税は投資家自身の総所得によって税率が変わります。不動産投資だけでなく本業や他の投資に伴う所得も見積もったうえで、税率を予測しなければなりません。ちなみに所得と税率の関係は、「国税庁のWebサイト」でみることができます。最後に住民税ですが、これは所得の10%を想定しておけば充分です。
大規模な修繕の頻度とコスト
不動産投資では、長期投資するとなると10年~15年に一度程度大規模な修繕が必要です。一棟投資を行う場合は、自分で修繕タイミングや工事内容を見積もります。
防水対策や壁の大規模な補修、再塗装、内装設備の更新などが主な検討材料です。金額は工事内容によって大きく変わりますが、1戸あたり30万円~50万円というのが一つの目安となります。区分所有の場合は自分で修繕タイミングをコントロールできないので、毎月修繕積立金を積み立てて準備します。
ここでは次の条件でシミュレーションしてみます。今回は毎年のキャッシュフローと、最終的な総現金収入を計算してみました。
今回は木造アパートを新築購入するイメージで前提を設定しています。2024年10月現在、アパートローンは2%以下で組めるケースも少なくありませんが、将来の金利上昇のリスクを踏まえて2.5%で計算しています。
たとえば、最初の12年の毎年の現金収支と減価償却費は次のとおりです。
普段は毎年黒字が期待できそうですが、12年目には大規模修繕により320万円の収支悪化要因となるため、この年は一気に資金が不足します。この年に向けて資金を準備しておく必要があるでしょう。
なお、ローン返済が終わる35年目までの見通しは次のとおりです。
この物件では22年に減価償却期間が終わるため、その次の年からは減価償却費が計上できない分見かけの所得が増大します。これは所得税の増加要因となるため、23年目から急速に悪化する点に注意しましょう。この物件の場合は、23年目の現金収支が+54万円で申し分ありませんが、現実には償却期間経過後に赤字化してしまう物件も少なくありません。
累積の現金収支を見ると次の通りです。
もし35年間投資した場合、2,215万円の総収入となる見込みです。この投資は初期投資として2,800万円の自己資金を投じているため、キャッシュフローだけで、累積で初期投資額の79%のリターンが得られます。
ちなみに、減価償却切れ後は収益が悪化するため、実は22年時点で投資を辞めたとしても2,008万円の総収益となります。
その後10年以上投資期間を伸ばしても追加で得られる収入は200万円程度に留まることから、22年目に売却して他の投資手段を模索するのも一つの考え方となるでしょう。少し応用編となりますが、シミュレーションは売却タイミングを検討する上でも役立つのです。
不動産投資の意思決定においては、将来を見据えて検討を進めるのが大切です。検討時に得られる情報に一定の前提を置きながらシミュレーションを立てて、将来にわたってローンを返済しながら、満足のいくリターンが得られることを確認しておきましょう。
今回は比較的簡易なシミュレーション方法を紹介しましたが、これでも難しいと感じる方は、不動産投資会社に相談するのも一つの方法です。サービスが手厚い会社では、簡単な収支シミュレーションを立ててくれます。投資の意思決定をするうえで、心強い味方となるでしょう。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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