マンションは巨大地震に耐えられるか? 耐震性の基礎知識を解説 | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
マンションは巨大地震に耐えられるか? 耐震性の基礎知識を解説
2025-01-31

南海トラフ巨大地震のリスクが高まっています。2024年8月には、九州・日向灘の地震の発生で初めて「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意」という警報が出されるなど、巨大地震への関心と警戒が高まっています。
地震が起きた際、マンションの安全性が大きな関心事となります。日本は地震大国であり、マンションの耐震性は、オーナーや住む人にとって非常に重要な要素です。
本記事では、耐震構造や「新耐震」基準、地盤、地震が起きたときの電力問題などについて解説します。
マンションの耐震構造は、耐震構造、制震構造、免震構造の3種類があります。
- 耐震構造: 柱や梁などの建物の骨組みを強くして地震の力に耐える。
- 制震構造: ダンパーなどの建物の揺れを吸収する装置を設置し、揺れ幅を小さくして建物の被害を軽減する。
- 免震構造: 建物と地盤の間にゴムやオイルなどの免震装置・アイソレーターを設置し、地震の揺れを建物に伝わりにくくする。

耐震構造、制震構造、免震構造の3種類のイメージ
アメリカの失業率推移
構造の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
耐震構造 | 建物自体を強くして地震の力に対抗、杭基礎がスタンダード | 比較的安価、一般的な構造 | 地震の揺れをある程度は受ける |
制震構造 | 建物に制振装置を設置し、地震の揺れを吸収する | 揺れを軽減し、建物の損傷を抑制 | 耐震構造に比べて初期費用が高い |
免震構造 | 建物と地盤を分離し、地震の揺れを建物に伝えない | 地震の影響を大幅に軽減、マンションの安全性を高める | 初期費用が高く、構造が複雑 |
マンションは建築基準法の元でつくられているため、さまざまな工夫によって震度6~7でも倒壊しない計算になっています。
建物と地盤とを分離することで揺れを抑えるアイソレーターや振動を吸収するダンパーやスリットなど、装置や構造で揺れを軽減するタイプもあります。
現在、低層から中層のマンションのほとんどは耐震構造での設計になっています。初期コストが高い制震構造や免震構造はタワーマンションなどの高層マンションを中心に採用されています。
株価は直近の最高値である2024年7月11日~8月5日にかけて、およそ25%下落しています。為替については、その間におよそ16円ほど円高が進みました。

※倒壊したマンションのイメージ
マンションの耐震基準には、大きく2つあります。
- 旧耐震基準: 1981年5月以前の基準。中地震に対して崩壊しない程度を想定。
- 新耐震基準: 1981年6月以降の基準。中地震ではほとんど損傷せず、大地震でも倒壊しないことを想定。
2011年に発生した東日本大震災で、宮城県内の分譲マンションの被害状況をまとめたデータによればhttps://www.kantei.ne.jp/report/disaster/214、全1,460棟のうち、
- 旧耐震基準・・・被害なし47%、軽微33%、大破0.4%
- 新耐震基準・・・被害なし51%、軽微37%、大破0
ということです。
現在の新築基準である新耐震では半数が被害なしという結果でした。杭基礎が破損した「大破」の認定は旧耐震マンションの1棟のみでした。新耐震基準は、9割が「被害なし」または「軽微」で済んでいます。
しかし、マンションは仙台市内がほとんどで、震度は6弱なので、南海トラフ地震で名古屋などの沿岸部に多い6強想定ではどのくらいの結果になるかはなんともいえません。
一般的に、新耐震基準のマンションは、大地震に対して高い安全性を持つと言われています。しかし、構造や立地条件などによって安全性は異なります。
旧耐震基準のマンションは、東日本大震災では8割が「被害なし」または「軽微」で済んでいますが、新耐震基準のマンションに比べて耐震性が低い可能性があります。耐震診断や耐震リフォームなどを検討する必要があるかもしれません。
2024年の能登半島地震では、7階建ての鉄筋コンクリート造のビルが根元から転倒するというケースが発生しました。

建物には大きな損傷がなかったにもかかわらず、揺れによって杭基礎の根元が破断して横倒しになってしまったのです。つまり、新耐震基準のマンションでも揺れが強ければ杭基礎が破断して横倒しになる可能性があることになります。杭基礎は基本的に上からの重量に耐える構造をしていますが、地震のような横揺れに強く設計されているとはいえません。
横揺れを増幅させたのが、軟弱地盤です。東京や大阪、名古屋などの大都市の都市部は軟弱地盤が多く分布しています。
地盤リスクマップはインターネットで公開されていて、防災科学技術研究所のJ-SHIS Mapで確認できます。
地震が発生した場合、マンションの水道や電力は、さまざまな要因によって影響を受け、生活に大きな支障をきたす可能性があります。

断水は受水槽で対策を
給水・排水の配管は、地震の揺れで壊れる可能性があります。地震の揺れによって水道管が破損し、水が漏れることで断水が発生します。特に古いマンションや、地盤が液状化しやすい地域では、被害が大きくなる可能性があります。
しかし、最近は地震の揺れで壊れるのを防ぐために工夫しているマンションもあります。配管が多少曲がっても大丈夫なようにジョイント部に柔らかい素材を使って揺れを吸収したり、クッション材を付けて設置しているケースがあります。
そもそも地震によって浄水場が被災、または埋設水道管が破損し水が供給できなくなる可能性も考えられますが、この場合は復旧を待つしかありません。比較的軽微な被害の場合、数時間から数日で復旧する可能性があります。大規模な災害の場合、水道管の修理や浄水場の復旧に時間がかかり、数週間から数ヶ月かかることもあります。東日本大震災では、一部地域で約30日の断水が続きました。
対策として考えられるのは受水槽方式です。水道水を建物内の受水槽で一時的に貯留し、そこから各戸へ給水する方式です。屋上にある高置水槽に水がたまっていれば、停電時でもしばらくは水を使用できますが、貯水量には限りがあります。
水が出なくて困るのは復旧までの生活のことですが、怖いのはそれ以前の地震に伴う火災発生です。スプリンクラーが作動しなければ火災が拡大する可能性があります。築年数が古いマンションでは配管の工夫はされていない場合がほとんどですので、配管のメンテナンスなどの際に可能な限り対策しておくといいでしょう。
蓄電池やソーラーパネルで最低限の電力を確保

マンションの屋上に設置したソーラーパネルのイメージ
地震が発生すると変電所や送電線が倒壊したり、断線したりすることで、エリア一帯が停電するケースがあります。あるいはマンション内の配電盤が損傷し、個々の部屋に電力が供給できなくなることもあります。
新しいマンションであれば、自家発電システムを備えていることがありますが、戸数の多い分譲マンションに限られた設備です。自家発電システムを備えるにはかなりの費用がかかります。停電の復旧時間は、被害の状況によって大きく異なります。数時間から数日、場合によっては数週間かかることもあります。病院や避難所など、緊急性の高い場所への電力供給が優先されるため、一般家庭への復旧が遅れることもあります。基本的には電力が復旧するまで我慢するしかないのが現実です。
考えられるのは、蓄電池やソーラーパネルです。供給できる電力には限りがありますが、需要ボリュームや天候などによっては最低限の電力がまかなえる可能性があります。
水害対策の備えは電気設備の設置場所に注意
地震と共に被害があり得るのが津波や水害です。過去には一階や地下にある電気室が浸水でストップしたケースがあります。海岸近くや浸水危険エリアではできるだけ電気設備は2階以上に設置するなど対策しておきたいところです。
また、地震や停電では高層階に水を供給するポンプが故障するなど、ポンプ設備のトラブルが原因で断水することもあります。上記水道の件で述べたとおり、揺れに対するクッションや最低限の電力供給ができるようにしておくとより良い対策になりそうです。
耐震性は立地と構造計算書の確認を
マンションの安全性やライフラインの確保は一定のレベルまで達しているとは言えます。しかし、構造や立地条件などによって安全性は異なります。マンションの検討では立地条件の確認が重要です。液状化現象や崖崩れなどの危険性がないか確認しましょう。
特にマンションの耐震性を具体的に知りたい場合は、構造計算書を確認することが大切です。専門家に見てもらうこともおすすめです。

「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。

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