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証券アナリストが考える市場変動と今後の見通し
2024-09-23
7月の後半から8月にかけて株式相場が大幅に下落しました。足元はやや値を戻しているものの、円高も同時に起こる中で日本株は特に下落率が大きく、NISAをきっかけに投資を始めた個人の間では動揺も広がっています。
足元の下落は、米国の景気減速と、日米の金融政策に伴う金利差の縮小などが原因です。今回の記事では、市場変動と今後の見通しについてまとめました。
2023年末以来のドル円為替と日経平均株価の値動きは、次の通りです。
日経平均株価・ドル円為替レートの推移
日本の経済成長に対する期待感や新NISAによる個人投資家の購入需要の拡大などを背景に、株価は6月末頃まで年初来で堅調に推移していました。為替に目を向けると、2024年3月の日本の利上げ等のタイミングで一時的に円高に触れる局面もありましたが、アメリカと日本の金利差が維持される中で、6月末までは円安傾向が続いていました。
7月に入ると、アメリカの経済減速に対する懸念や、アメリカ大統領選挙の動向、日米の中央銀行の発言および政策変更などにより、円高と株安が急速に進みました。
株価は直近の最高値である2024年7月11日~8月5日にかけて、およそ25%下落しています。為替については、その間におよそ16円ほど円高が進みました。
今回の株安と円高には、大きく分けて3つの要因があります。今後の市場の見通しを考えるうえで、まずはこれらの変動の要因を整理しましょう。
- アメリカを中心とした景気減速懸念
- 日銀の政策変更
- アメリカ中央銀行FRBの動き
アメリカを中心とした景気減速懸念
一つ目はアメリカの景気減速懸念です。アメリカでは、過去3年ほど比較的経済環境が良好な状況が続いていました。しかし、足元は景気減速リスクを意識すべき局面となっています。
アメリカの中央銀行や市場参加者は、しばしば雇用市場に着目しています。たとえば失業率をみると、コロナによる離職が一巡してからは3%台で推移していましたが、直近の数ヶ月は上昇傾向で、6月の失業率は4.3%まで上昇しました。
アメリカの失業率推移
アメリカの景況感を示す指標の一つであるISM製造業景況感指数も7月において、景気拡大・縮小の目安となる50を下回っています。消費・投資抑制の影響が顕著に出ているとの見方で、まさに景気減速リスクが意識されている状況です。
参考:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/08/e0167c3a5cab9dd1.html
冒頭では日本の株式市場にクローズアップしていましたが、実はアメリカでもS&P500などの株価指数が下落しています。例えば、直近最高値を記録した2024年7月16日の終値は5,667.20でしたが、8月7日の終値は5,199.50でした。この間でおよそ8%下落しています。
アメリカの経済減速はグローバルにも波及するため、日本の株価にとってもネガティブな材料です。景気減速が本格化すれば、このあと紹介するFRBの金融政策方針にも影響を与えて、結果的に円高が進む要因にもなります。
アメリカ中央銀行(FRB)の動き
日米間の金利を考えるうえでは、アメリカの中央銀行であるFRBの動意にも注目する必要があります。FRBでは、定期的にFOMCという会議を行って、金融政策の動向を決めています。アメリカは、すでに日本と比べて政策金利が高い(2024年8月時点で5.25-5.50%)ため、いまは利下げのタイミングを模索する状況です。
2024年7月のFOMCでは、大きな政策の変更こそありませんでしたが、会合後の会見では、インフレが目標値を上回っていて消費がやや鈍化している、労働市場が沈静化しているなどの見解が示されました。さらに、9月には利下げの可能性があることも示唆されています。
FRBの慎重な見解を受けて、アメリカでは一段と景気減速への見方が強まりました。FRBは、景気が減速する中で、すでに高水準にある政策金利を引き下げて経済を下支えする考えがあることを示しています。
こうしたFRBの見解は、景気減速リスクが株安、利下げ示唆が円高の要因になりえます。二国間の為替の変動要因はさまざまですが、まず土台として両国の金利差は重要な要因の一つです。
為替相場においては、基本的に金利の高い国の通貨は買われ、低い通貨は売られる傾向にあります。2024年7月ごろまでは、長きにわたりドル高円安トレンドが続いていましたが、その背景には日米の金利差の大きさがあると考えられます。
しかし、足元利上げが進むことによって、今度は日米間の金利差縮小が見込まれます。そのため、これまでの動きを巻き戻す形で、円高トレンドに移行したというわけです。
日銀の政策変更
日銀の金融政策の変更が、円高・株安の第二の要因です。日銀は中央銀行の立場で、経済成長や物価の安定性維持などを考えながら政策運営を実行しています。政策金利の操作や金融機関からの資産買い入れを通じて、市中に資金を供給したり吸収したりして市場および経済の過度な変動を抑制しようと努めているのです。
近年、日銀は長らく続けられてきた金融緩和政策を徐々に縮小させる方向に舵を切っています。日本の物価上昇率が日銀のひとつの目安である2%を安定的に上回ったことから、過度な金融緩和が不要なフェーズに入ったと考えているのです。
そこで2024年に入って3月にマイナス金利、さらに7月にはゼロ金利を解除して日本の政策金利は0.25%となりました。
ここまでの情報をもとに、筆者なりの市場の見通しをまとめました。要点は大きく分けて3点です。
- アメリカ経済の減速度合いがカギに
- 一定程度の円高進行は避けられない
- アメリカ大統領選挙がかく乱要因に
アメリカ経済の減速度合いがカギに
ここまで紹介した要素のうち、アメリカの経済動向がカギとなると考えています。一般に経済減速=不景気とネガティブにとらえられがちですが、経済は長期で見ると減速・加速を繰り返すものです。
その点でいえば、今回のアメリカの経済減速はある程度予見性があり、そのペースも緩やかであると考えられます。「ITバブル崩壊やリーマンショックのような経済の急変が起こるとは考えにくい」というのが現状の前提です。
だからこそ、アメリカ株の下落も現時点では緩やかなものとなっています。以上の前提が崩れなければ、少なくともアメリカの景気減速要因による株安のインパクトは限定的なはずです。
一定程度の円高進行は避けられない
日米の中央銀行のスタンスの違いを踏まえると、当面は円高圧力がかかりやすい状態が続きます。日本はしばらくの間利上げが継続する一方で、アメリカは近い将来、利下げサイクルに入る見込みです。当面は日米金利差が広がるとは考えにくく、むしろ縮小に向かう可能性が高いと考えられます。
現状のFRBの予測によると、2026年にはアメリカの政策金利が3%近くまで低下する見通しです。一方で、日本は1%程度が一つの目線となっています。すなわち両国の金利差が2%程度まで縮小する計算です。
直近で日米の金利差が2%ほどまで縮小したタイミングは、2019年の上期と2022年の6-8月ごろにありました。2019年上期の為替水準は110円台前半、2022年は急速な円安のさなかですが、およそ130円前後でした。どこまで円高が進むかを予測するのは困難ですが、少なくともいまより円高が進む可能性は相応に考えられます。
アメリカ大統領選挙がかく乱要因に
11月に予定されているアメリカ大統領選挙は、為替・アメリカ経済のかく乱要因となります。大統領選挙では、共和党候補のトランプ氏と民主党候補のハリス氏が熾烈な争いを継続しています。このうち、トランプ氏はアメリカ第一主義的な政策を掲げています。
保護主義的な政策と円安は相容れないことから、トランプ氏が大統領に就任する可能性が高まると、思惑で円高が一段と進行する可能性があります。
関税の増加などにより貿易における障壁が高まるため、最終的にはアメリカ経済に逆風をもたらす可能性もあります。大統領それぞれの支持率が、当面の間は相場や為替の変動要因の一つとなります。
8月に入って、日本の株式相場は乱高下が続いています。投資に不慣れだと、これ以上の損失を嫌気して損切りをする人も少なくありません。値動きの大きな個別株へ投資している方は、損失リスクを踏まえて一旦売却するのも一案です。
一方で、ファンド自体に分散効果があるインデックス投信などでは、長期保有を継続すれば収益を取り戻せる可能性があります。目先の損失で安易に売るようなことはせず、長期的な視点で投資を継続するのも一つの考え方です。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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