不動産投資における1棟アパート購入の注意点① 失敗しない役所調査のポイントは | 全国の不動産投資・収益物件|株式会社リタ不動産
不動産投資における1棟アパート購入の注意点① 失敗しない役所調査のポイントは
2024-09-22
一棟アパートの購入は、大きな買い物です。立地や利回り、空室など気になる点はいくつもありますが、購入前の調査では見落としがちなポイントがあります。調査には大きく役所調査と現地調査があります。今回は役所調査での注意点について解説します。特に、法令や権利関係については、失敗や後悔のないよう、事前にしっかりと準備を進めることが重要です。
役所調査とは、不動産を購入する際、その不動産に関する情報を役所や法務局で調べることを指します。特に一棟アパートのような大きな不動産を購入する際には重要なプロセスです。
目に見える状態や仲介業者と所有者の情報だけの重要事項説明で売買契約を締結すると、後にトラブルが発生してしまう可能性があります。現地調査では確認できない道路の種別や法令上の制限などについて確認しておくことが必要です。
役所調査は、物件所在地の管轄する役場や法務局で行います。ネット上で公開されている項目もありますが、すべてを調べることはできません。実際に窓口へ出向いて個別のケースで確認することでリスクを把握することができます。
物件所在の役場
物件所在地の管轄する役場では、都市計画法、建築基準法など、不動産に関する様々な法律や条例でどのような規制がかかっているかを確認します。さらに土地・道路に関する権利・法令上の制限を把握することで、用途地域や接道義務に対する問題点を早期の段階で発見できるといった役割もあります。
物件の購入後に「建築に制限があり、建て替えができなかった」「計画道路があり、建物にかかってしまう」といったトラブル防止につながります。
主なポイントをみていきましょう。
1.用途地域(制限・建ぺい率・容積率)窓口は都市計画課
対象となる1棟アパートなどの建物が建っている場所が、商業地域、住宅地域など、どのような区域に指定されているかを確認します。アパートなどの集合住宅が建っている場所はほとんどが市街化区域(建築を進めて市街化を促進するエリア)ですが、もし市街化調整区域(原則として建築を抑制するエリア)であれば建て替えが認められないので注意が必要です。
また、市街地に多い商業区域などでは、防火・準防火指定区域もあり、建物に耐火系の素材を使用しなくてはならないこともあります。
建ぺい率・容積率は、用途地域によって異なります。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。簡単に言うと、土地の面積に対して、建物が占めることができる面積の割合を表します。
例えば、建ぺい率が60%の土地の場合、その土地の60%の範囲までしか建物を建てることができません。容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積(建物の各階の床面積を全て合計した面積)の割合のことです。簡単に言うと、土地の面積に対して、建物全体で使える床面積の割合を表します。
例えば、容積率が200%の土地の場合、敷地面積の2倍までの床面積を建てることができます。現在建っている建物の各面積は規定内に収まっていることがほとんどですが、増築部分があったり、未登記部分があるケースでは子細な確認が必要です。
都市計画では計画道路が策定されています。当該敷地に計画道路が通るケースは多くはありませんが、計画のレベルによっては近い将来に立ち退きを求められる可能性もあります。敷地にかからなくても、周辺を通る場合は交通量など少なくない影響を受けることがあります。
2.建築基準法による制限 窓口は建築指導課
建築指導課では、建築基準に関する規制を確認します。建物の構造、高さ、用途など、建築基準法で定められた基準を満たしているかを確認します。ほかに斜線制限や外壁後退など建築物に関わる項目が複数あります。
都市計画課や次の道路管理課などで調べた内容で、建ぺい率・容積率、計画道路関係など、詳細にかかわる事項を建築指導課で確認することがあります。
仮に現在建っている建物が規制から外れているとして、将来的になんらかの対応が必要になるか、あるいは既に指導を受けているか。もちろん建て替える際にどのような点を変更しないといけないのか、などの確認ポイントがあります。
建物が古いケースでは、現在の規制に違反はしているが前からあったために許されている、既存不適格になっていることがあります。このケースでは建て替えではなくても大規模なリフォームなどの際に適法を求められることがあります。
3.道路の種類、接道義務 窓口は道路管理課
面している道路の種類や管理幅員を確認します。種類は主に公道か私道があり、もし私道(民間の個人で所有している道路)のケースではトラブルの元になりかねません。幅員は道路の幅ですが、役場で登録されている数値と現地で計測した数値では異なるケースがあります。原則は管理幅員が基準になり、4メートル以下であればセットバックの対象になります。また、道路斜線制限にもかかわってきます。
4.自治体が定める条例(建築や道路に関する制限)窓口は建築指導課
建築基準法や都市計画法のほか、所在する自治体独自の条例が定められているケースがあります。たとえば、日影規制、緑化の基準、駐車場や自転車置場の附置義務、建築面積の制限など。建築基準法以外に「〇メートル以上の幅員道路に〇メートル以上接道していない場合は、〇㎡以下の建物しか建てられない」といった条例が定められていることがあります。
5.災害リスク等 窓口は防災課
防災関係の窓口では、災害関係のリスクを調べます。ハザードマップの取得、浸水履歴の有無、土砂災害警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域など。
近年は、ハザードマップなどで水害関係リスクを確認するのは自宅などでも一般的に行われていることですが、物件が山手にあるなどロケーションによっては土砂災害リスクをよく調べておいた方がよいでしょう。
ただし、あまりにも厳しく判定しすぎると買えなくなってしまいますので、リスクに対する対策なども同時に確認しましょう。立地が良いロケーションの物件ほど平地で海や河川に近くなる傾向があります。津波や水害などはリスクの高さと同時に物件の基礎の高さなどを考慮し、たとえば床下浸水リスクまでは許容するなど妥協が必要な物件もあります。
6.埋蔵文化財対象か 窓口は文化財課(生涯学習課)
文化財保護法の埋蔵文化財調査対象エリアは都市部でも意外に指定されていることがあります。
土器や貝塚、古墳など「遺跡」と呼ばれるようなものが埋まっている可能性があるエリアはすべて指定されています。指定されていると、建物解体時や建て替え時に調査が入り、発掘されると本格的な調査のため工事が止められることがあります。
さらに本格的な調査の場合、原則として土地所有者が調査費用を負担することになっています。あまり聞いたことがないケースではありますが、掘ってみないとわかりませんので、過去の発掘結果などから可能性を判断するしかありません。また、隣地から発掘された場合に影響を受けることもあります。
7.その他
上下水道、電気、ガスの引き込み状況は、上下水道局などで確認できますが、1棟アパート購入にあたっては現状使用しているケースがほとんどなので特に問題なければスルーして良いでしょう。
役所の担当窓口は基本的に最低限のことしか回答しません。たとえば、「〇〇できるか」という質問には「できる」「できない」としか答えません。たとえ「こうすればできる」ということが分かっていても自分から言うことはしません。聞かれれば答える、というスタンスです。
窓口で確認したことはメモに残し、重要なことは担当者の所属と氏名をヒアリングしておきましょう。できれば、各窓口で確認した後に所属と氏名をヒアリングすることで、対応時の相手の警戒感を立てずに済みます。
法務局
役所調査は役場だけでなく法務局も含まれます。登記簿謄本により所有者、抵当権の設定など、不動産の権利関係を明確にすることができます。
1.土地建物の所有者
登記簿謄本(全部事項証明書)を閲覧すると、所在地や地積などと共に所有者が表示されています。所有者と売主とが一致しているか確かめましょう。相続物件の場合は、決済までに相続登記を完了することを確かめ、売買契約に盛り込んでおくようにします。
また、所有者が複数存在する場合は、売主が複数ということになります。共有者以外には、公図を閲覧すると、土地が分筆されているかどうかがわかります。分筆されていればすべての所有者の売却意思があることが前提になります。この場合も、すべての物件を同時に取得できることが条件(一体契約)としておきます。
2.面積
多くの物件は地籍測量済みですが、地積測量図が登録されていない場合、公簿面積での売買になることがあります。
公簿面積と実測面積とは差異がでることがありますので、決済までに確定測量(民民筆界立会書と官民境界証明書)を完了させることを条件としておく必要があります。確定測量の結果差異が出た場合は、地籍更正登記と増減清算することを盛り込み、実測売買としておくほうが望ましいと言えます。
3.所有権以外の権利に関する事項
登記簿謄本(全部事項証明書)の権利部(乙区)には、所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
所有権以外の権利とは主に担保権があり、代表的な権利が抵当権です。抵当権とは、「債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、ほかの債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利(民法369条)」です。
平たく言うとお金を貸す代わりに、不動産を担保(保証)とする、ということです。設定されていれば返済していない残額があるということですので、売買金額で完済が可能かどうか、引き渡し時までに抹消する条件としなくてはなりません。いずれにしても売却前に必ず抵当権抹消登記を完了させる(担保責任/付着権利の除去)旨を売買契約書に盛り込みます。
役所は各自治体によって窓口や担当が異なることがあります。窓口については、ここではスタンダードなケースで書いてあります。自治体などにより担当や呼び方が変わったり、複数の内容を1つの窓口に集約しているなどそれぞれに異なるケースがあります。窓口などが分からない場合は、役場の総合窓口やインフォメーションにヒアリングしてください。市町村によっては、建築基準法関連の調査が都道府県の建築土木事務所などになるケースもありますし、自治体によっては、セクションごとに庁舎が異なるケースもあります。
法律や権利関係は複雑で、素人には理解が難しい部分も多くあります。重大な問題がありそうなケースでは、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
「お客さまの利益のために努力することが、自らの利益につながる」という考え方ですので、押し売りをはじめとしたこちら都合のアプローチは一切行っていません。
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